名曲が好演を引き出す「ベスト・フレンズ・ウェディング」 

名曲が好演を引き出す「ベスト・フレンズ・ウェディング」 

きょうは映画「ベスト・フレンズ・ウェディング」(原題:My Best Friend’s Wedding。1997年製作)を紹介します。前の記事で紹介した「恋のからさわぎ」同様に恋愛コメディであると同時に、音楽シーンがとても素敵で「小さな願い」に2度も心を癒されます(2023.8.23)

【追記】YouTubeの公式(認証済み)チャンネルに関連動画がありましたので加筆修正しました(2024.5.5)

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結婚阻止にあの手この手

「ベスト・フレンズ・ウェディング」のあらすじを紹介します(ウィキペディアから) 

料理評論家のジュリアンは、ある日、元ボーイフレンドのマイケルからの電話を受ける。二人は一時期交際し、別れてからも親友として付き合っており、しかも28歳まで二人とも独身だったら結婚しようと約束していた仲であった。しかしマイケルは今週末に結婚するという。しかも、相手は20歳の女子大生で、父親は富豪だという。未だにマイケルを愛していたという自分の気持ちにやっと気付いたジュリアンは慌て、マイケルの元に飛び、結婚式までの数日間、あの手この手で阻止しようとする。 

ジュリアン役がジュリア・ロバーツで、女子大生のキミー役がキャメロン・ディアス。「あの手この手で阻止」というのが、かなりあこぎなやり口で、正直、ジュリア・ロバーツには共感できず、いじめられる側のキャメロン・ディアスのほうに気持ちが向いてしまいます。 

それはダーモット・マルロニー演じるマイケルも同じで、つまり、阻止しようとすればするほどマイケルとキミーの愛が深まってしまうという展開に。 

映画を成功させた「親友」役

でも、このコメディを映画として成り立たせているのが、ジュリアンの親友ジョージの存在です。ルバート・エヴェレット演じるジョージが出てこなければ、この映画は相当つまらないものになったのでは?と思うほど。 

ジョージはジュリアンの料理本の編集者。ゲイであることを打ち明けているので、ふたりは仕事を通じて親友の関係に。ところが、ジュリアンから電話で、結婚妨害の手助けを頼まれてしまいます。わざわざシカゴまで駆けつけると、身勝手なジュリアンは事前の断りもなく「婚約者」と紹介。話をますます混乱させます。 

当然、そんな横恋慕が成功するはずもなく、ジュリアンも最後はマイケルとキミーの結婚を祝福するのですが、そのことはのちほど改めて触れます。 

MY BEST FRIEND’S WEDDING [1997] – Official Trailer (HD)

「小さな願い」を大合唱

この映画はなんと言っても音楽がいいのです。中でも有名なのがシーフードレストランの場面です。 

キミーは大富豪の娘ですから、結婚式に招待される親戚たちも大勢いて、シーフードレストランを借り切ってランチを予定し、そこにジュリアンと”婚約者”のジョージも招かれます。ふたりのなれそめを聞かれたジョージが語り出します。 

自分が精神病棟に通っていた時、ジュリアンを見かけたこと。たまたまディオンヌ・ワーウィックだと思い込む患者と一緒にいたので、この恋が成就するか訊ねたら、その”ディオンヌ・ワーウィック”が歌い始めた……というのです(”曲ありき”で書いた脚本ですね。相当無理がある設定です) 

The moment I wake up 

Before I put on my makeup 

(朝目覚めたとき お化粧する前に) 

ディオンヌ・ワーウィックの名曲「小さな願い」(I Say A Little Prayer)です。 

ジョージが最初の一節を歌うと、続いてキミーの従妹ふたりが唄い、さらに太っちょの親戚までも唄い……というように、レストランにいた親戚たちが次々と歌い始め、最後は大合唱となるのです。 

YpuTubeの公式(認証済み)チャンネルにビデオクリップがありましたので、これをごらんください。 

George Sings “Say a Little Prayer” | My Best Friend’s Wedding | Love Love

DVDのメイキング映像によると、この場面の製作は、歌合わせだけで3日かかり、撮影全体は1週間以上に及び、制作部門から撮影進行を懸念して何度も電話をかけてきたそうです。 

バラードの「今宵の君は」

映画のエンディングについて書きます。 

ドタバタの末、ジュリアンは披露宴でマイケルとキミーに祝福のスピーチとバラード曲を贈ります。 

ヘンな夢を見ました 

イカれた女が 

お二人の仲を裂こうと… 

幸い私は目が覚めて 

すべて願い通りになりました 

私の親友の腕に 

すばらしい女性が… 

さすが名女優。このシーンはジーンと来ます。そして、生バンドのメロウな演奏に合わせてキミーの従妹ふたりが「今宵の君は」(The Way You Look Tonight)を歌い出します。 

Someday, when I’m awfully low 

(気分が落ち込んですべてが灰色)  

When the world is cold 

(世の中が冷たい時)  

I will feel a glow just thinking of you 

(あなたのことを想うとなぜか心が温かくなる) 

And the way you look tonight 

(今夜のあなたの面影を思い出そう) 

エンディングを差し替え

ところが、このエンディングは試写会での反応がよくなかったのだそうです。 

ジュリア・ロバーツのせつなげな表情で終わるエンディングは、確かにコメディとしては……ということだったのかもしれません。 

その時、ジョージ役のルバート・エヴェレットが監督たちに映画のラストで「もう一度出演させてほしい」と頼みこみ、この”直訴”が実って撮り直しとなり、いまのエンディングになったのだそうです。 

さすがジョージ! やはりこの映画はジョージなしでは成り立たなかったですね。 

生バンドの演奏がいつしか「小さな願い」に変わり、ジュリア・ロバーツにも笑顔が戻るというエンディングです( YouTube公式(認証済み)チャンネルに感動のラストシーンがありました)

Scene City – My Best Friend’s Wedding: George and Julianne Dance (Julia Roberts & Rupert Everett Scene)

すてきな音楽をこころで味わいながら、ジュリア・ロバーツとルバート・エヴェレットの好演を愉しんでください。 

(しみずのぼる) 

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