きょうは青春映画「恋のからさわぎ」(原題:10 things I hate about you)を紹介します。原題をそのまま訳せば「あなたがきらいな10の理由」。これほど原題とかけ離れた邦題も珍しいですが、わたしがこの映画に惹かれるのはストーリー以上に音楽です。ある年代の人にとっては、挿入される音楽が懐かしく心地よいでしょう(2023.8.19)
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ヒース・レジャー推しの映画?
手元にあるDVDの背表紙をみると、「あのヒース・レジャーの無邪気な笑顔に会える!」と書いてあります。アカデミー賞(助演男優賞)を受賞しながらこの世を去った「若き名優」の初主演映画、というのがうたい文句です。
…若き名優ヒース・レジャー。そんな彼が初出演に大抜擢され、無邪気な笑顔と共にその才能を開花させた記念すべき作品。
転校生のキャメロンは、学校のアイドル的存在のビアンカに一目惚れ。ところがビアンカは、姉のキャットがデートしない限り誰ともデートをしてはいけないと、父親に約束させられていた。キャメロンは、ビアンカとのデートを実現させるため、変わり者で男嫌いのキャットのデート相手を探すことに。そして、学校のはみ出し者パトリック(ヒース・レジャー)を買収し、キャットを誘い出すよういろいろ作戦に出るが…。
思わず胸がキュンとするような、若き日のヒースの魅力満載の最高のラブコメディ!
もう完全にヒース・レジャー推しの紹介文ですが、ストーリーはこの通りです。だから「恋のからさわぎ」という邦題もあながち間違っているとは思わないのですが、やはり、この映画はキャットから語られるべき映画のように思います。
金で雇われてキャットを追いかけるようになったものの、徐々に本気で好きになるパトリック。男嫌いで警戒心をなかなか解こうとしないキャットも、徐々にパトリックに惹かれていく。
そうして次第にデートを重ねるようになるふたりだが、物語の終盤で金で雇われていたことが露見。当然のごとく破局…。
それでも、一度惹かれてしまった自分の気持ちを裏切れない。ふさぎこむキャットになぐさめの声をかける父親(この父親がとてもいいのです)
キャットが読み上げる自作の詩
そして、キャットは、ヒースも出席している授業の席で自作の詩を読み上げる…。
この詩だけでもユーチューブにアップしている人が多数いるぐらいなので、原題でもあるキャットの詩はそのまま紹介します。
I hate the way you talk to me, (話し方がきらい)
and the way you cut your hair. (髪型がきらい)
I hate the way you drive my car. (わたしの車に乗るときの運転の仕方がきらい)
I hate it when you stare. (見つめ方がきらい)
I hate your big dumb combat boots, (そのでっかいコンバットブーツがきらい)
and the way you read my mind. (わたしの気持ちのうかがい方がきらい)
I hate you so much it makes me sick; (わたしを嫌な気分にさせるのがすごくきらい)
it even makes me rhyme. I hate it, (きらいなところはまだあるわ)
I hate the way you’re always right. (あなたがいつも正しいと思ってるのがきらい)
I hate it when you lie. (ごまかしてるあなたがきらい)
I hate it when you make me laugh, (笑わせるのもきらいだし)
even worse when you make me cry. (泣かされるのはもっときらい)
I hate it that you’re not around, (そばにいないのもきらいだし)
and the fact that you didn’t call. (電話に出ないのもきらい)
But mostly I hate the way I don’t hate you. (でもいちばんきらいなのは、あなたをきらいになれないこと)
Not even close, not even a little bit, not even at all. (まったく、すこしも、ぜんぜんきらいになれないこと)
キャットを演じるのはジュリア・スタイルズ。マット・ディモン主演の「ボーン・アイデンティティ」シリーズで重要な役どころを演じた女優です。
運動場でマイクを握る「君の瞳に恋してる」
さて、前書きで書いた音楽について書きます。おすすめの音楽シーンはぜんぶで3か所あります。
1曲目は、「君の瞳に恋してる」(原題: Can’t Take My Eyes Off You)。フォー・シーズンズのフランキー・ヴァリが1967年に発表したラブソングです。
映画では、ヒース・レジャー演じるパトリックが学校のグラウンドで、金を払ってブラスバンドにも協力してもらって、おおげさに求愛するシーンです。メイキングによると、演出ではなくヒース・レジャーの即興の演技だったそうです。
サウンドトラック盤には入っていませんが、ユーチューブで見ることができます。キャットの朗読する詩の場面と並ぶハイライトシーンであるのは間違いありません(どちらも「10 things I hate about you」で検索すればすぐにみつかります)
【追記】映画「ジャージー・ボイズ」の「君の瞳に恋してる」については、別記事(音楽との出逢いかた:ジャージー・ボーイズ)を書きました(2023.9.20)
ダンス会場で演奏される「恋するふたり」
2曲目は「恋するふたり」(原題:Cruel to Be Kind)。ニック・ロウが1979年に発表したポップスです。
高校のダンスパーティーで、ふたりがダンスをしているとバンドが演奏をはじめます。
「レターズ・トゥ・クリオ」(Letters To Cleo)というバンドが実際に映画に出演して演奏しています(これもユーチューブで「10 things I hate about you」と「Cruel to Be Kind」で検索すればダンスシーンを視聴できます)
エンドールに演奏される「甘い罠」
3曲目は、エンドロールで「レターズ・トゥ・クリオ」がビルの屋上で演奏する「甘い罠」(原題:I Want You to Want Me)
オリジナルは、ある年代の人にとってはとても懐かしいチープ・トリックです。日本で大ヒットして本国アメリカに逆輸入された1979年の曲です。
映画そのものは1999年の製作ですが、流れる曲は80年代に青春時代だった年齢層には、とても懐かしいだろうと思います。
でも、若い世代にもきっと「あれ、いい曲!」と思ってもらえるのではないでしょうか。いいメロディは、時代を超えて楽しまれるものと信じています。
(しみずのぼる)
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