緑川ゆき氏の人気漫画『夏目友人帳』の最新33巻が発売されました。妖怪が見える少年・夏目貴志が、祖母の遺品「友人帳」を通じて妖(あやかし)たちと心を通わせる本作。最新刊の内容を紹介しつつ、物語の原点である第1巻のエピソードから、長く愛され続ける本作の魅力を改めて振り返ります。(2026.4.9)
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目次
最新刊33巻のあらすじと登場人物の再確認
『夏目友人帳』の最新刊(33巻)は今月3日に発売されたばかり。32巻の発売が25年4月ですから1年ぶりです。
『夏目友人帳』33巻あらすじ
多軌の兄・勇とニャンコ先生が不思議な館に迷い込む。怪異否定派な勇と怪異そのものの先生、凸凹コンビの大冒険!――〈猫とあの日の道しるべ〉。
同級生に頼み込まれ、とある村の妖しげな行事に立ち会うことになった夏目&田沼。そこには意外な顔ぶれが勢揃いで!?――〈その匣とどめるなかれ〉。
夏目&田沼、七瀬を描いた特別編も収録。いとしさ深まるあやかし契約奇談第33巻!『夏目友人帳』33巻(白泉社)
基本プロットはわかっていても、ストーリーの連続性から前の巻から(今回は念を入れて31巻から)読み直しましたが、それでも登場人物でやや混乱しました。

うーん……タキ兄妹って誰だっけ?
ほかにも祓い屋の七瀬が主人公の特別編でも「七瀬って、誰だっけ?」みたいな混乱があったので、1巻から読み直してしまいました(さすがにまだ5巻までです…)
七瀬は3巻で登場、タキ妹は5巻で登場…と確認できましたが、最初のほうの巻を読み直していて、

そういえば、最近は夏目が友人帳に載っている妖(あやかし)の名前を返す場面が少なくなったなあ…
と思うと同時に、

最初のほうの巻は、人と妖の交流にまつわるストーリーがこんなに多かったんだ!
という感想を抱きました。
もし『夏目友人帳』を未読のかたは、

え~、33巻もあるの!? そんなに長いのはちょっと敬遠するな…
と思われるかもしれませんが、最初のほうは”やさしせつない”ストーリーばかりで、きっと気に入ると思うので、ぜひ1巻から手に取ってほしいと思います。
物語の原点:第1話で描かれるニャンコ先生との出会い
『夏目友人帳』1巻あらすじ
「妖怪が見える」という秘密を抱えた孤独な少年・夏目。強力な妖力を持っていた祖母・レイコの遺品である「友人帳」を手にして以来、妖怪たちから追われる羽目に!! 祖母が妖怪たちと交わした「契約」をめぐって、用心棒・ニャンコ先生とともに忙しい日々を送ることになった夏目は…!? あやかし契約奇談!『夏目友人帳』1巻(白泉社)
第1話(ニャンコ先生 登場!)は、主人公の夏目が相棒(?)となるニャンコ先生(妖怪名は班(まだらめ))と出会う回で、この回でニャンコ先生が祖母のレイコが遺した「友人帳」のことを夏目に教えます(…というかたちで読者も知ることになります)
夏目レイコがイジめた妖怪達の名前が書いてあるのさ
人とうまくつきあえなかったレイコはうさばらしに
見かける妖怪達にかたっぱしから勝負を挑んだレイコは強力な妖力を持っていて
…ほとんどイビリだったわけだが
相手を打ち負かしては、負けたほうが子分に
なるという約束を守らせるため紙に名をかかせた
名前の返し方もニャンコ先生が夏目に教えます。
あいつをイメージしつつ開いて念じろ
あとは自動的に友人帳が割り出すよ…我を護りし者よ
その名を示せ紙を咥え、手を強く打ち合わせ、
集中し ふっと息を吐く「ひしがき」
君へ返そう 受けてくれ
名前を返すたびにレイコと妖の交流の場面が夏目に思念として入ってきます。
さっきから気になっていたがその頬のキズはどうした
石をぶつけられたのよ 私は気味が悪いですって
あなたきれいな名前ね これであなたは私の子分
名前を読んだら飛んできてね
しかしレイコが亡くなり、妖を呼ぶ日がこないうちに、
レイコ レイコーー…
ああ 今日も呼ばないのかい?さみしい さみしい 前よりずっと
かえせ かえせ どんなに待っても
呼んでくれないのならーー…
ひしがきは名前を取り戻すと、夏目にこう訊きます。
レイコ もういいのかい?
もう一人でも平気かい?祖母はたぶんけして独りではなかったよ
ありがとう ひしがき
心やさしい 祖母の友人
友人帳に名前が載る妖たちに名前を返す行為を通じて、祖母と妖の心の交流を知るーーそんなストーリーが続きます。
第2話「露神」に見る人と妖のせつなく愛おしい境界線
第2話(露神)は、名前を返してほしいと夏目のもとへ訪ねてきたツユカミと、ツユカミが住む森の祠に唯一訪れる老婦人・ハナさんの交流の話です。
祠に住んでるって……あんた神サマだったのか!?
いやいや そう呼ばれているが元は
祠に住みついた宿なしの妖怪だよある旱魃の時 村人が祈っていってね
次の日たまたま雨が降った
それ以来 村人達はこの祠を「露神」と崇め
供物をどっさり置いていくようになった
気付くと私は力に溢れ、姿もみるみる立派になった
しかし、いまはとても小さい。「信仰で膨らんだ体は信仰が薄れるにつれて縮んだというわけさ」
「今日は暖かいなぁ」…一言でも声をかければよかった
露神の祠に蜜柑を備えるハナさんは、夏目に少女時代の不思議な出来事を打ち明ける。
笑わないでくださいね
私一度だけ「露神様」をお見かけしたことがある気がするんです女学校からの帰り道 その日はとても良い天気で
いつものようにお参りして目をあげようとしたら
祠のうしろに足が見えたんですおどろいたけれど 気付かないふりをしたわ
その翁の面を被った人は気持ちよさそうに
「今日は暖かいなぁ」って呟いていたの私思わず「そうですね」って言ってしまいそうになったけれど
きっと人間に姿を見られてしまったと気付けば
露神様はびっくりして消えてしまう気がして…けれど時々思うの
思いきって声をかけてみればよかったかしらって
「そうですね」とたった一言でも
第2話のラストシーンは、祠に立つ小さなツユカミの姿が消えていく場面です。
……そうか
ハナさんが逝ってしまうのかハナさんは私を信仰してくれた最後のひとり
彼女が逝けば私も消えるのさこれでいいんだ ハナさんと共にいける
長いこと長いことずっと見ているばかりだったが
これで人に 彼女に やっと触れることができる気がするよ
夏目が消えていくツユカミに「ハナさんは露神様の声が伝わっていた」と教えると、 すでに姿が見えないツユカミの声が夏目の心に響くーー。
昔も今も
人とは可愛いものだねぇーー…一度愛されてしまえば
愛してしまえば
もう忘れることなどできないんだーーー…
全巻を通底する「やさしくせつない」物語の魅力
最初の2話だけあらすじを書いてしまいましたが、こんな人と妖の心のふれあい、交流をめぐるストーリーが3話以降も、2巻以降も続きます。
もちろん、友人帳をめぐるふれあいだけではストーリーが単調になるため、夏目と同じ高校に通う同級生たち、夏目同様に妖が見える能力を持つ祓い屋たちも登場してきます。くせ者の祓い屋が登場する回では、人間の醜く汚れた気持ちが描かれるものもあります。
でも、基本は”やさしく、せつない”気持ちにさせてくれるストーリーです。ぜひ1巻から、じっくりと味わってほしいと思うシリーズです。
(しみずのぼる)
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きょう紹介するのは「夏目友人帳」で有名な緑川ゆき氏の短編漫画「蛍火の杜へ」です。山神の森に迷い込んだ少女が出逢ったのは、人でも妖怪でもない少年だったーー。人と人…hintnomori.com
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