君は独りじゃない…「ディア・エヴァン・ハンセン」日本上陸へ

感涙必至の傑作ミュージカル「ディア・エヴァン・ハンセン」が来年夏に日本人キャストで上演されるそうです。映画は観てもミュージカルは観逃したので、わたしとミュージカル好きの長女は「これは絶対に観に行こう！」と今から盛り上がっています（2025.10.31） 

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見逃したミュージカル版

わたしがミュージカル好きになったのは、2007年から08年にかけて、仕事でアメリカに1年単身赴任したのがきっかけでした。ニューヨークまで足を伸ばして「ライオンキング」や「ウィキッド」などを観に出かけました（そのことは以前記事にしています） 

帰国後に劇団四季の会員になり、そこで観た「ウィキッド」で当時中学生だった長女もミュージカル好きになり、コロナ前の2019年にはふたりでNY旅行を計画。ブロードウェイでミュージカルを5つも観てきました（当時まだ日本で上演していなかった「Frozen」（アナと雪の女王）が最大のお目当てで、ほか「ウィキッド」「オペラ座の怪人」「プリティ・ウーマン」「ビートルジュース」） 

2019年当時「ディア・エヴァン・ハンセン」も上演中だったのですが、当時はその評判を知らず、安直に英語が苦手なわたしでも理解できそうな演目ばかり選んだので、その後、長女と一緒に映画版の「ディア・エヴァン・ハンセン」を観て、2019年のNY旅行を悔しく思い返したものです… 

柿澤勇人/吉沢亮のWキャスト

そんな個人的に悔しい思い出のある「ディア・エヴァン・ハンセン」が、来年7～8月、ついに日本人キャストで上演されます！ 

主役のエヴァン・ハンセンは、柿澤勇人さんと吉沢亮さんのWキャストです。 

はじまりは、僕が僕に宛てた1通の手紙と、ひとつの嘘だった。
トニー賞６部門受賞の傑作ミュージカルがついに日本上陸！

残酷で混沌としたSNS時代に、自分の居場所を切実に求める青年の孤独感や葛藤、他人の悲嘆を自分の物語として共有したがる心理、大人たちの不器用な喪失との向き合い方などを見事に描き出した本作を、豪華キャスト・スタッフとともに日本で新たに創り上げる。
主演のエヴァン・ハンセンを演じるのは、柿澤勇人と吉沢 亮。社交不安障害を抱え孤独な日々を送るエヴァンが、クラスメイトの死ととっさについた嘘がきっかけで本当の自分に気づくまでの過程が描かれる。キャッチーで聞く人の心を揺さぶる名曲とともに、一人の青年の孤独と葛藤を舞台上で表現する。

〈思いやりでついた嘘〉

あらすじを紹介しましょう（映画版のBlu-ray背表紙から） 

エヴァン・ハンセンは学校に友達もなく、家族にも心を開けずにいる。ある日彼は、自分宛てに書いた”Dear Evan Hansen（親愛なるエヴァン・ハンセンへ）”から始まる手紙を、同級生のコナーに持ち去られてしまう。それは誰にも見られたくなかったエヴァンの「心の声」が書かれた手紙。後日、エヴァンはコナーが自ら命を絶った事を知らされる。悲しみに暮れるコナーの両親は、彼が持っていた〈手紙〉を見つけ、息子とエヴァンが親友だったと思い込む。彼らをこれ以上苦しめたくないエヴァンは、思わず話を合わせてしまう。しかし、〈思いやりでついた嘘〉は彼の人生を大きく動かし、やはて事態は思いもよらぬ方向に進むーー。 

日本版上演の告知文にあるとおり「キャッチーで聞く人の心を揺さぶる名曲」揃いですが、特に第一幕を締めくくる「You Will Be Found」は震えるほどの名曲です（長女なんて、メロディを聴くだけで涙がこぼれる…と言っています） 

この曲は、あらすじにある「やがて事態は思うもよらぬ方向に進む」場面で歌われます。 

SNSで拡散される〈嘘〉

〈思いやりでついた嘘〉がSNSを通じて拡散されてしまう。コナーとは親友でも何でもない、その真実を打ち明けられなくなってしまう、そのために終盤で迎える〈破局〉が避けがたくなる…という最重要のナンバーです。 

Have you ever felt like nobody was there?
誰もいない感覚を知ってるかい？
Have you ever felt forgotten in the middle of nowhere?
荒野で置き去りにされたような
Have you ever felt like you could disappear?
自分が消えてしまいそうな
Like you could fall, and no one would hear?
落ちても音すら届かない

Well, let that lonely feeling wash away
孤独な気持ちは捨て去ろう
Maybe there’s a reason to believe you’ll be okay
きっと大丈夫と思えるわけがある
‘Cause when you don’t feel strong enough to stand
もし立ち上がる強さはなくても
You can reach, reach out your hand
救いに向かって手は伸ばせるから

And oh, someone will come runnin’
そうすれば誰かが来てくれる
And I know they’ll take you home
君を家へと連れ帰ってくれる

Even when the dark comes crashin’ through
闇が押し寄せても
When you need a friend to carry you
友の支えがなくても
And when you’re broken on the ground
落ちても壊れても
You will be found
君は独りじゃない

So let the sun come streamin’ in
陽の光を受けよう
‘Cause you’ll reach up and you’ll rise again
手を伸ばせばまた立てる
Lift your head and look around
顔を上げて見回せば
You will be found
誰かがいる
You will be found
君は独りじゃない

この曲をエヴァンが歌う場面を、2021年に製作された映画版でごらんください。字幕はありませんが、曲の後半、SNSで〈思いやりでついた嘘〉がまたたくまに拡散されていく様は、字幕がなくても十分に伝わると思います。

しかし、〈思いやりでついた嘘〉は決して〈真実〉ではありません。

SNSで拡散されて〈真実〉を口にする機会を奪われたエヴァンは、SNSの矛先がおかしな方向に向かったとき、ついにコナーの両親に〈真実〉を言わざるを得なくなります。 

息子を抱きしめる母親

そんな絶望の淵に立つエヴァンを抱きしめ、シングルマザーのエヴァンの母が歌うのが「So Big / So Small」です。歌詞の部分を以前の紹介文から再掲します。 

エヴァンの母親が、深く傷ついたエヴァンを抱きながら、父親が出て行った日のことを歌う曲です。

I will never forget how you sat up and said
“Is there another truck coming to our driveway
A truck that will take mommy away”

あなたがその夜に言ったことを決して忘れない
「家に別のトラックが来たら
ママも居なくなるの？」

夜に聞くと心地良いミュージカル曲：ディア・エヴァン・ハンセンほか

来夏の日本版ミュージカルで、エヴァンの母親を演じるのは安蘭けいさんと堀内敬子さん。ミュージカル版は母と子の物語でもあるので、第二幕の事実上のラストナンバーである「So Big / So Small」も注目です。

雰囲気が伝わる英国上演版

「ディア・エヴァン・ハンセン」は英ウェスト・エンドでも上演され、その動画がユーチューブで観ることができます（前半に流れる曲は「Waving Through a Window」、後半は「You Will Be Found」） 

映画版を観て、ユーチューブで英ウェスト・エンド版を観て、来夏の日本版ミュージカルを楽しみに待とうではありませんか！ 

（しみずのぼる） 

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