連載⑥ 単元未満株を買ってみよう

連載⑥ 単元未満株を買ってみよう

18歳の君へ~実践的「お金」の話をしよう【第6回】 

連載「18歳の君へ~実践的「お金」の話をしよう」は、18歳の大学1年生の姪っ子に叔父さんの立場から「お金」の話をしていきます。第6回のきょうは「単元未満株を買ってみよう」です(連載の狙いはこちらをごらんください) (2023.12.23)

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「気になる会社」の10社

「業界地図」をみて「気になる企業」を10社を選ぶ作業も完了したから、楽天銀行にお年玉の残り5万円は振り込んだよ。でも、その前にNTT株の値動きをチェックしておこうか。 

購入した時の株価が173.2円、先々週末の終値が170.5円、先週末の終値が169.8円、そして今日が171.9円だ。ちょうど1か月たったから、1週間チャートと一緒に1か月チャートも確認してみよう。 

1週間チャート図
1か月チャート図

上がったら嬉しいのは当たり前だけど、下がっても落ち込まない。その企業の成長性を信じて買ったんだから、気長に眺めてごらん。 

さて、「気になる会社」選びについて、叔父さんなりのアドバイスを行ったね(第4回) 

  1. 業界全体の将来展望に注目する(業界天気予報で晴れマークをチェック) 
  2. 業界内の1位・2位企業に注目する 
  3. 海外市場でも上位企業に注目する 
  4. 海外売上高比率の高い企業に注目する 

5点目は「目にとまった企業はYahoo!ファイナンスのポートフォリオに登録する」という情報管理方法だから除外するとして、上記の4点を注目して〇〇ちゃんが選んだ「気になる会社」は次の10社だ(社名の後に証券コード) 

  1. サイバーエージェント(4751) 
  2. オリックス(8591) 
  3. リクルートホールディングス(6098) 
  4. 三菱商事(8058) 
  5. DMG森精機(6141) 
  6. 信越化学工業(4063) 
  7. 京セラ(6971) 
  8. Zホールディングス(4689、現社名=LINEヤフー) 
  9. セブン銀行(8410) 
  10. パン・パシフィック・インターナショナル・ホールディングス(7352) 

「業界地図」の記述

「業界地図」の該当ページと、選定の理由に関係しそうな記述を引用してみた。

サイバーエージェント(4751) 

注目業界「AI」(14ページ)から:20年に広告効果を予測する『極予測AI』を提供。23年に日本語特化型の独自LLM(大規模言語モデル)開発を発表し、一部をオープンソースで公開 

オリックス(8591) 

注目業界「万博・統合型リゾート(IR)」(20ページ)から:主力のリース型から保険、銀行、不動産へと領域を広げる金融コングロマリット。化粧品のディーエイチシー買収など事業投資も活発 

(認定第1号は)米大手とオリックスが組み、夢洲(ゆめしま)に1兆円余りを投じる計画だ 

リクルートホールディングス(6098) 

注目業界「DX」(26ページ)から:就職・転職支援サービスの最大手。子会社に求人検索エンジンの米indeed 

クラウド人材管理システム「カオナビ」を提供するカオナビはリクルートHDの関連会社 

三菱商事(8058) 

注目業界「脱炭素」(48ページから):オランダ大手エネルギー企業を買収し再エネ開発積極化。国内洋上風力の入札で3案件総取り 

DMG森精機(6141) 

「工作機械」(70ページ)から:世界最大級の工作機械メーカーグループ。2009年に欧州最大の独ギルデマイスターと提携。15年にTOBで連結化。16年に支配比率を上げ経営一体化を完了。5軸化、複合化に強み 

2023年4月より新卒初任給を大幅改定。中でも博士課程修了者は、初任給47.5万円と従来比で3割上昇した。年間有給休暇20日間全取得の推進なども行い、高度人材の確保と定着を図る 

信越化学工業(4063) 

「半導体材料」(77ページ)から:半導体向けウェハー世界首位。フォトレジストでも世界3強の一角。マスクブランクスも 

京セラ(6971) 

「電子部品」(80ページ)から:ファインセラミック技術を基に、半導体用セラミックパッケージで世界首位。半導体製造装置用セラミック部品にも強い。タンタルコンデンサーで高シェア。個人用スマホ撤退。「アメーバ経営」に特徴 

Zホールディングス(4689、現社名=LINEヤフー) 

「eコマース」(94ページ)から:物販系BtoC市場では、業界3位のZホールディングスの動向がカギを握る 

経済圏を表す1つであるポイント発行額では、ZHDがユーザー還元に用いている「PayPayポイント」が22年度、前年度比5割増の約6000億に達し、最大手である「楽天ポイント」の22年実績(約6200億)にほぼ並んだ。この勢いのまま、楽天や首位アマゾンの牙城を崩せるかに注目が集まっている 

セブン銀行(8410) 

「流通系・ネット銀行」(132ページ)から:セブン-イレブンの店舗中心にATMを全国展開。米国やフィリピンにも進出 

セブン銀行などの流通系はATMの維持費用から解放されたい金融機関からの受託が追い風だ。24年度には新紙幣が導入されるため、その対応を機に運営の受託はさらに増えそうだ 

パン・パシフィック・インターナショナル・ホールディングス(7532) 

「ディスカウント店・100円ショップ」(261ページ)から:「ドン・キホーテ」を運営する パン・パシフィック・インターナショナルHDは食品に加え、レジャー用品などが堅調で、海外出店でも攻勢をかける 

BtoBの会社に優良企業

〇〇ちゃんのコメントも書いておこう。

  1. サイバーエージェント(4751):広告会社から1社選びたかったことと、AIのページに載っていたから 
  2. オリックス(8591):大阪万博は注目だと思ったから 
  3. リクルートホールディングス(6098):DXからも1社選びたかったから 
  4. 三菱商事(8058):脱炭素はトレンドと思うことと、商社から1社選びたかったから 
  5. DMG森精機(6141):はじめて聞いた会社だけど、説明文読んですごいと思ったから 
  6. 信越化学工業(4063):はじめて聞いた会社だけど、世界首位はすごいと思ったから 
  7. 京セラ(6971):聞いたことある会社だけど、世界首位だそうだから 
  8. Zホールディングス(4689、現社名=LINEヤフー):LINEもPayPayもよく使うから 
  9. セブン銀行(8410):自分もよく使うATMだし、米国やフィリピンにも進出と知って、将来性もあると思ったから 
  10. パン・パシフィック・インターナショナル・ホールディングス(7352):知らない社名だったけど、「ドン・キホーテ」と知ってびっくり。アジア進出しているのもすごいと思ったから

はじめて聞いた会社、社名というのはその通りだろうね。でも、機械や化学、あるいは電子部分といった、いわゆるBtoBの会社には優良企業がたくさんあるんだ。就活でも「聞いたことある会社だから…」レベルで選んでいたらダメだよ。 

10社のポートフォリオ

さて、この10社でYahoo!ファイナンスに「気になる会社」のポートフォリオを作った画面がこれだ。保有数のところは、株価が1000円未満の1社が「5」、500円未満の2社が「10」、それ以外の7社は「1」にしてある。これで約4万7000円だ。 

NTT株を購入した際に、購入は100株単位が基本と書いたよね。この10社の株をすべて単元単位で買うのはお金がかかってしまう。 

でも、〇〇ちゃんみたいに資金的にまだまだ余裕がない人のために、単元未満株でも買えるサービスが用意されているんだ。楽天証券なら「かぶミニ」、SBI証券なら「S株」というサービスだ。

100株単位の時のように「指値」で注文できず「成行」注文になる(【注】)から、そのぶん割高で買うことになるけれど、それでも1株単位から購入できるのはとても魅力だ。 

【注】指値注文と成行注文:希望価格を指定する注文方法が「指値」、指定しない方法が「成行」で「いくらでもいいから買いたい(売りたい)」という時に使う。成行のほうが指値よりも優先的に約定される決まりだが、買い注文なら割高、売り注文なら割安で約定することが多い。 

〇〇ちゃんが「業界地図」で調べて、将来性があると見込んだ10社だ。きっと株価も上がっていくと信じて、単元未満株の購入サービスを使って購入したらいい。 

「かぶミニ」で注文してみよう

〇〇ちゃんはNISA口座に楽天証券を選んだようだから、楽天証券の「かぶミニ」で、実際にサイバーエージェントの買付注文をしてみよう。 

NTT株を100株注文した時はピンク色の「買い注文」をクリックしたね。今回はその右隣りの「単元未満買い」をクリックだ。すると、次の画面になる。

数量を選べば、あとは取引暗証番号を入力するだけだ。簡単だろう?

楽天証券には、積立投資信託と同じように毎月(あるいは毎週)1株ずつ購入していく「かぶツミ」というサービスもある。 

ふだんは学業に忙しい〇〇ちゃんなら、積立投資信託と同じように利用できる「かぶツミ」はとても便利なサービスじゃないかな。 

さて、お年玉も全額払い終えたことだし、次回が最終回だ。 

〇〇ちゃんが手伝ってNISA口座を開設したお父さんやお母さんの感想も聞いて教えてくれるとうれしいな。お父さんお母さんの感想や質問に答える形で締めくくろう。 

(いしばしわたる) 

連載「18歳の君へ~実践的「お金」の話をしよう」の各回記事はこちらから
【第1回】クレカ・銀行・証券の開設手続きをしよう
【第2回】インデックス型投信を積み立てよう
【第3回】国内銘柄を指値注文してみよう
【第4回】情報に騙されないようにしよう
【第5回】新NISAの仕組みを知っておこう
【第6回】単元未満株を買ってみよう
【最終回】新NISAを資産運用や就活に役立てよう
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連載「18歳の君へ」の狙いをお伝えします

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