18歳の君へ~実践的「お金」の話をしよう【第3回】
連載「18歳の君へ~実践的「お金」の話をしよう」は、18歳の大学1年生の姪っ子に叔父さんの立場から「お金」の話をしていきます。第3回のきょうは「国内銘柄を指値注文してみよう」です(連載の狙いはこちらをごらんください) (2023.12.3)
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インデックス投資とは
「お金の大学」はおもしろかったようだね。とてもよかった。
この本はくだけた会話調で書かれているけれど、書いてあることは常識的な内容だ。お金にまつわる話は将来にわたって関係してくる。何度も繰り返し読むといいよ。
前回の説明も「お金の大学」を使って説明しよう。
まず、楽天証券とSBI証券で投資信託の積立設定をしてもらったね。「お金の大学」の204ページを開いてごらん。見出しは「インデックスファンドに投資しよう」。〇〇ちゃんに積立設定してもらった4つの投資信託は、このインデックスファンドだ。
インデックス投資とは
- 日経平均
- TOPIX(東証株価指数)
- S&P500
- ダウ平均
のような「指数」と同じ値動きを目指す投資方法や。
(略)
えっと、例えば「これを買えば日経平均って指数と連動してるよ!」っていうファンドがあるってこと?
その通りや!自分で指数と連動するように考えて、225社全部を1社ずつ買うのは大変やから、そこはプロにまとめてもらうというわけやな。
(略)
ワシは圧倒的にインデックスファンドをおすすめするで。今やインデックスファンドこそが資産運用の世界のスタンダードや。
ここで複利効果(202ページ)とドルコスト平均法(210ページ)が出てくるから、これはもう一度読んでおくといい。下記の記事も読んでごらん。
S&P500とオルカン
インデックスファンドの中でも、あの4商品をなぜ選んだか、その理由も書いてある。
216ページに「S&P500に連動したインデックスファンドが優秀」と出てくるね。219ページに「米国だけでなく世界中の投資したい人」向けの優良インデックスファンドが出てくる。 4商品のうち、
- eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
- eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
は、叔父さんもつみたてNISAで4年近く積み立ててきた投資信託だ。これまでの成績を見せてあげよう。
こちらが「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」だ。「評価損益」が+21万7259円で、積み立てた元本と合わせた「評価額」は70万4451円ですよ、ということだ。
もうひとつの「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」ーー通称「オルカン」は、評価損益が+16万2801円で、評価額が63万6356円だ。
分配金の扱いは「再投資型」で設定すること、って言ったよね。これが複利効果のことだ。折れ線グラフをみても、複利効果で評価益が徐々に増えているのがわかる。
わずか4年でこれだけ増えているんだから、〇〇ちゃんは今からコツコツと積み立てていけば、10年後20年後には複利効果で驚くほど増えていくよ。
毎日チェックする必要はないけれど、1週間に1度はみてごらん。評価益は上がる時もあれば下がる時もある。不景気の時はマイナスになって評価損になる時もあるだろう。
でも、長いレンジでみれば、経済は成長していく。特に米国経済は世界経済を牽引しているから、米国株や全世界株のインデックスに連動した投資信託をコツコツと積み立てていけば、右肩上がりで増えていくよ。
ポンジ・スキームとは
「お金の大学」は、ほかにもいろいろと参考になることが書いてある。例えば「ポンジ・スキーム」という言葉を知ってるかな?
196ページに出てくるけど、詐欺の手法だ。いまはSNSで投資詐欺を勧誘するケースが目立ち、詐欺に遭った女子大学生が自殺した事件も起きている。投資詐欺についてはこちらも読んでおくといい。
業界地図の使い方
次に、ほかの電子書籍の見方を説明しよう。
〇〇ちゃんは以前、広告会社に興味があると言っていたよね? それなら「業界地図」の202ページを開いてごらん。
- 1位:電通グループ
- 2位:博報堂DYホールディングス
- 3位:サイバーエージェント
- 4位・ADKホールディングス
と出てくるね。売上高を比較してみようか。
- 電通グループ:5兆8195億円
- 博報堂DYメディアパートナーズ:1兆6343億円
- サイバーエージェント:7105億円
- ADKホールディングス:3135億円
こうやって比較しても電通グループがガリバーなのがわかる。次に営業利益をみてごらん。
- 電通グループ:1176億円
- 博報堂DYメディアパートナーズ:554億円
- サイバーエージェント:691億円
- ADKホールディングス:153億円
2位の博報堂DYメディアパートナーズと3位のサイバーエージェントが逆転しているね。
パーフェクト活用術の使い方
売上高と営業利益の関係は「パーフェクト活用術」の133ページから137ページに出てくる。営業利益、経常利益、最終利益の違いが書いてある。 「パーフェクト活用術」はたんなる就活ガイド本ではなく、経済の基礎的知識も教えてくれるんだ。
「パーフェクト活用術」の138ページには、売上高営業利益率が出てくるよ。
「売上高営業利益率は」文字どおり売上高に占める営業利益の割合だ。「営業利益÷売上高×100(%)」で算出する。
会社の本業における収益性(稼ぎ力)をあらわす非常に重要な数字で、高いほど少ないコストで大きな利益をあげられるといえる。
「業界地図」に戻って4つの広告会社の売上高営業利益率を計算してみよう。高い順に並べると、
- サイバーエージェント:9.72%
- ADKホールディングス:4.88%
- 博報堂DYメディアパートナーズ:3.38%
- 電通グループ:2.02%
サイバーエージェントが本業の収益力はトップなのはネット広告の隆盛からそうかなと予想できるけど、意外なことにガリバーの電通グループが一番下なんだね。
でも、電通グループは、効率性では劣るけど、売上総利益は国内より海外が大きいなど、やはり伸びしろはありそうだ。「業界地図」の本文を読んでごらん。
国内最大の広告グループ。子会社の電通デジタルを軸にデジタルマーケティングを強化。2022年1月にセプティーニHDを買収、ネット広告でも国内取り扱いトップに。世界大手を目指し海外M&Aを加速、23年に英タグを買収。15年の社員の過労自殺事件を機に働き方改革に取り組む。
就職四季報の読み方
今度は「就職四季報」を見てみようか。叔父さんの手元にあるのは24年版だけど、電通と博報堂は93ページ、ADKは99ページに出てくる。サイバーエージェントは110ページだ。試験情報のほか、男女別採用者数だとか、3年後離職率とか一覧になっている。NAの文字が多いけど、これは未回答(not answer)のことだ。
3年後離職率というのは「パーフェクト活用術」の88ページに出てくる。「定着率が高い会社は働きやすい」と出てくるね。
いずれ就職に必要な情報が満載だから、今から辞書のように使いこなすといい。
Yahoo!ファイナンスの使い方
でも「業界地図」はマネー情報でも役立つんだよ。
「業界地図」に戻って、広告会社の202ページだ。電通グループの脇に【4324】と出てるね。博報堂DYホールディングスは【2433】、サイバーエージェントは【4571】だ。一方、ADKホールディングスには数字がない。
この数字は証券コードだ。電通など3社は上場していて、ADKは非上場ということだ。
上場している3社の株価は、前回インストールしてもらったYahoo!ファイナンスで見てみよう。ポートフォリオの名前は「広告会社」にして、検索窓に証券コードを入れて3社をポートフォリオに登録してみよう。株価はこうだね。
- 電通グループ:3941円
- 博報堂DYホールディングス:1091円
- サイバーエージェント:866.8円
こうやっておけば、「チャート」で株価の推移がわかるし、「リスト」から入れば、「業績」で売上高や営業利益の推移がわかる。「企業」のところを見れば、企業の特色がわかるし、海外売り上げの比率もわかる。就活で気になった企業は(上場していれば)ポートフォリオに登録しておくと便利だよ。
NTT株を指値注文してみよう
それではここから宿題だ。
1つ目の宿題は、楽天銀行に2万円のお年玉を振り込んだから、これで国内株を実際に買ってみよう。
銘柄はこちらで決めさせてもらうよ。日本電信電話(NTT)の株を100株だ。
NTTの証券コードは9432だから、検索窓に「9432」と打ち込めばNTTの買付注文ができる画面になる。
右側のピンク色の「買い注文」をクリックすると、次の画面になる。
株価は173.2円だけど、株の購入は原則100株単位だから、「数量」のところを「100」にして、価格の「指値」を「173.2」とすればいい。「取引暗証番号」を入力して「注文」すれば、この時点で銀行口座から1万7320円が引き落とされる。
株価が上昇すると「173.2」円で買えないけれど、その時は金額を訂正注文することもできる。買えたら「約定」となる。
ポートフォリオに登録
NTT株を買えたら、前回インストールしたYahoo!ファイナンスにポートフォリオを作ってごらん。ポートフォリオ名は「保有銘柄」とでもしておこうか。保有数は100、購入価格は173.2と記入しておけば、毎日の値動きで時価が変化する。買った価格より下がれば「損益」欄が赤字で「ー〇〇円」となり、買った価格より上がれば「損益」欄は青字で「+〇〇円」となる。
上がったり下がったりするけれど、あまり一喜一憂しないようにね。
「気になる会社」を選んでみよう
最後にもうひとつ宿題だ。
「業界地図」をよく読んで、どんな日本企業が将来有望か、自分なりに考えてみること。そして「気になる会社」というポートフォリオを作って、日本の上場企業から10社選んでみること。 ひとつだけ事前に注文しておくと、業界はなるべくバラけてほしい。同じページから2社選ばないようにね。
10社の社名と選んだ理由を書いてメールするように。それが届いたら、次のお年玉を振り込む。 お年玉10万円のうち最初に3万円、今回2万円を振り込んだから、あと残りは5万円だ。
(いしばしわたる)
連載「18歳の君へ~実践的「お金」の話をしよう」の各回記事はこちらから
【第1回】クレカ・銀行・証券の開設手続きをしよう
【第2回】インデックス型投信を積み立てよう
【第3回】国内銘柄を指値注文してみよう
【第4回】情報に騙されないようにしよう
【第5回】新NISAの仕組みを知っておこう
【第6回】単元未満株を買ってみよう
【最終回】新NISAを資産運用や就活に役立てよう
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連載「18歳の君へ」の狙いをお伝えします
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