キリンホールディングス(2503=証券コード、以下同)がファンケル(4921)をTOB(株式公開買付)で完全子会社化することになりました。日本経済新聞が今朝の一面トップで報じ、ファンケル株はストップ高となりました。「保有している株がTOBになったらどうしたらいいの?」と知人に訊かれたので、わたしの数少ない経験を共有します(2024.6.14)
【追記】ファンケル株がTOB価格を上回る上昇をみせましたので、本日売却しました(2024.6.17 17:45)
〈PR〉


「値上がり後、市場で売却」が簡単
保有している株がTOBになったらどうしたらいいかーー。最初に結論を書くと、「自身の証券口座でTOB価格ぎりぎりまで値上がりするのを待って売却する」のが最も楽な方法です。少なくともわたしは過去2度そうしていますし、今度のファンケル株もそうします。
TOBの説明は、auカブコム証券の「TOBまるわかり!~TOBってなに?活用方法や過去事例を詳しく解説~」から引用します。
TOBとは株式公開買付けのことで、不特定かつ多数の者に対して買付価格や期間などの公告等を通じて、その保有する株券等を売ってくれるように勧誘し、取引所外でそれらの株券等を買い付けることをいいます。企業を買収する場合や合併・子会社化など企業再編の際、またはMBO(経営陣による買収)で非上場化する場合などに利用されることが多く、投資者保護の観点に立った所要の要件の下に株式を買付けすることになっています。
auカブコム証券「TOBまるわかり!~TOBってなに?活用方法や過去事例を詳しく解説~」
TOBは、通常の株価に上乗せした買付価格が提示されるので、TOBの対象となった銘柄を保有していると、驚くほど株価が上昇します。
問題はそこからどうするか…ということですが、通常は、
株主は指定の証券会社に口座開設し、TOBの手続きを行うことで買付企業が提示したTOB価格にて保有銘柄を買い取ってもらことができます。
auカブコム証券「TOBまるわかり!~TOBってなに?活用方法や過去事例を詳しく解説~」
ということなのですが、これがはなはだ面倒なのです。
TOB価格ぎりぎりまで上昇する
わたしが保有する銘柄で最初にTOBとなったのは「日鐵商事」です。
2022年暮れに日本製鐵が上場子会社の日鐵商事の非上場化を目的にTOBを行うと発表しました。わたしは当時、楽天証券で日鐵商事の株を100株保有していました。
はじめてのTOBで、どうしていいかわかりません。ネットでいろいろ調べて、日本製鐵の指定証券会社はみずほ証券でしたので、みずほ証券に口座開設までしました。
ところが、日鐵商事の株価はみるみるうちにTOB価格ぎりぎりまで上昇したのです。

TOBに参加するには楽天証券からみずほ証券に日鐵商事株を移管しないといけないし、ここまで市場で値上がりするなら、TOBへの参加はやめて、市場で売買したほうがずっと楽だ!
という判断となりました(ちなみに、みずほ証券の口座は、結局一度も取引することなく解約しました)
auカブコム証券のサイトにも、この方式が出てきます。
TOB発表後も上場が継続する場合は、保有している証券会社に売却注文を出すことができます。その場合、ご自身の買付単価と、TOB銘柄の売買状況(板)やTOB買付価格を確認する必要があります。
auカブコム証券「TOBまるわかり!~TOBってなに?活用方法や過去事例を詳しく解説~」
わたしの2つめのTOBは「ローランドDG」で、この時もTOB価格ぎりぎりまで値上がりするのを待ってから楽天証券で売却しました。
発芽米が魅力だったのに…
日鐵商事もローランドDGもかなりの評価益となるプレミアム(上乗せ)でしたから、わたしとしては手放しで喜べたのですが、ファンケルの場合は複雑な気分です。
というのも、ここは株価が低迷してもなお、株主優待目当てで保有し続けようと思っていた銘柄だからです。
ファンケルの株主優待については、以前の記事を再掲しましょう。
3番目は、化粧品や健康食品を展開する「ファンケル」(4921)です。100株以上で3000円相当、200株以上で6000円相当の自社製品です。
株価は2730.5円ですから、200株保有するなら54万6100円必要です。
我が家はファンケルの「発芽米」を愛用しているので、わたしと妻で200株ずつ保有しています。200株で6袋なので、合計12袋です。
楽天市場で買えば、1袋あたり963円です。12袋なので、1万1556円相当です。
以前は楽天市場で購入していましたが、ファンケルの株を購入して以来、すっかり株主優待(+株主割引の購入)に置き換わりました。
株主優待も夫婦そろってやるのがお得:コスパ良い100株ずつ保有

ちょうど今週、ファンケルの株主限定特別割引販売の案内が届いたので、発芽米セット(1キロ×4袋、3704円のところを2900円で提供)を4セット(1株主2セットまでなので、夫婦で計4セット)申し込んだばかりです。
株主優待で12袋、株主割引で16袋。毎日食べるお米ですから、それでも足りない分は楽天市場のお買い物マラソンで補うスタイルでずっとやってきましたから、これがなくなるのは何とも残念です。
評価損は回避できたが…
それにしても、ファンケルのきのうまでの株価の低迷は目をおおうばかりです。上述の記事を書いた昨年8月時点の株価が2730.5円だったのに対して、きのう(6月13日)時点の株価は1884.5円です。

わたしは2600円で400株(夫婦合計)購入したため、きのう時点の評価損はふたり合わせて30万円近く。我が家の評価損ランキングのぶっちぎりトップでした。
日経スクープを受けた6月14日は一転、ストップ高で、終値は2284.5円。その後公表されたTOB価格が2690円ですから、来週以降、TOB価格ぎりぎりまで上昇していくでしょう。
なんとか評価損は避けられそうですが、わたしにとっては、我が家の主食に欠かせない発芽米の優待が受けられなくなるのが地味に痛いです。
一気に30万円近い評価損が解消しそうなのだから文句は言えませんが、こんな複雑な気持ちになったTOBははじめてです。
【追記】ファンケル株は6月17日終値で2774.5円。TOB価格を大きく上回り、取引時間中には2777.5円まで上昇しました。こういうこともあるのか!と不思議な感じです(株の世界は奥深いですね)。いずれにしましても、わたしは30万円近くの評価損が一気に解消、4万円超の評価益となったため、本日売却しました(2024.6.17 17:45)
(いしばしわたる)