ポイ活について興味深い調査結果が相次ぎ発表されました。わたしがメーンで貯めている楽天ポイントの底堅さがうかがえると同時に、いちばん話題になることが多いVポイントの課題も垣間見えます(2024.7.8)
〈PR〉
資格不要で稼ぐなら「クラウドワークス」残高把握の設問がポイント
その調査結果は、ICT総研が実施した共通ポイントの利用動向調査(7月4日発表)とNTTドコモが実施したポイ活に関する調査(6月26日発表)です。
ICT総研の調査がおもしろいのは、「貯めているポイント」を訊ねただけでなく、同時に「現在の残高をおおむね把握しているポイント」を訊ねている点です。両者の回答率の差が小さいほど、意識的にポイントを貯めている利用者が多いポイントであることが読み取れる、というわけです。
ICT総研のプレスリリース概要だけだと、個別の回答率がわからないところもありますが、下記の図を見るだけでも傾向がわかります。
5大ポイント経済圏でみると、貯めているポイント首位の楽天ポイントは、残高把握でも高い回答率です。次いでPayPayポイント、dポイントも回答率の差が小さく、意識してポイ活されていることがうかがえます。
一方、VポイントとPontaポイントは、両者の回答率の差が相対的に多く出ています。貯めてはいるけど、どのぐらい貯まったかあまり把握できてない、ということでしょうか。
Vポイントについては、わたしはポイント付与のわかりにくさが非常に気になるのですが、この調査結果は、Vポイント側に立てば「わかりにくさに気づかれてないからラッキー」だとも言えそうです。
通信キャリア別の利用動向
ICT総研の調査は、通信キャリア別のポイント利用も調査しています。
このグラフからは、3つのことが浮き彫りになっているのではないでしょうか。
1:通信キャリアのポイントによる囲い込み戦略は奏功している
ドコモユーザーがもっとも利用するポイントがdポイントで、ソフトバンクユーザーがPayPAYポイントであるのをみても、通信キャリアの顧客囲い込みにポイントが大きく寄与しているのがわかります。auは首位こそ楽天ポイントですが、Pontaポイントも肉薄しています。2:楽天ポイントがキャリアの別なく貯められているポイントである
楽天モバイル・ユーザー以外でも、楽天ポイントを貯めている人が1位(au)か2位(ドコモ、ソフトバンク)なので、キャリアの別なく利用されているのが楽天ポイントであることがわかります。ポイ活の絶対王者の地位はやはり楽天ポイントでしょう。3:Vポイントはキャリアの別なく健闘しているものの、キャリアの囲い込み戦略を崩せていない
Vポイントは楽天モバイル・ユーザーのみ2位ですが、他のキャリアはすべて3位。健闘しているのは間違いないでしょうが、各キャリアに紐づいたポイントに肉薄しているとは言えず、キャリアの囲い込み戦略を崩せていません。
「努力せず貯まるが理想」が9割
Vポイントの課題は、多くのポイ活ユーザーが「あまり努力せずに、いつの間にかポイントが貯まっているのが理想だ」と思っていることも影響しそうです。
NTTドコモが行った調査によると、「あまり努力せずに、いつの間にかポイントが貯まっているのが理想だ」と答えた人が87.1%にのぼっています。「いくつかの主要なポイントをゆっくりためたり使ったりできればいい」と回答した人も78.8%です。
ポイント目当てで買い物をいっぱいするようなヘビーユーザーは1~2割にとどまっていることがうかがえます。
「100万円修行」増える?
ということは、いわゆる「100万円修行」(注)のような、Vポイントのヘビーユーザーが増えるのは容易ではなさそうです。
(注)100万円修行:Vポイントの還元率が高い「三井住友カードゴールド(NL)」(年会費5500円)は、年間100万円以上利用すれば翌年の年会費が無料となるため、「100万円修行」という言い方がよくされている
ましてや、通信キャリアも年会費のかかるクレカへの誘導を意識して推進しているため、さらに「100万円修行」も……とはなりにくいだろうーーということが、ICT総研やドコモ調査結果から導き出されます。
”祭り”の後の施策が重要
Vポイントの強みは
(1)コンビニやマクドナルドなど街の店舗で利用する時の還元率の高さ
(2)SBI証券との連携(Vポイントが100ポイント以上で株や投資信託が購入できる、積立投資信託のクレカ積立でポイントが付与される)
の2点だとわたしは思っています。
しかし、(2)は今年11月以降、三井住友カードで一定金額の買い物をしないとクレカ積立のポイント付与がなくなるため”魅力”が半減することがわかっています。
そうすると、コンビニやマクドナルドでの高還元率しか”魅力”がなく、しかも、この分野はある意味でポイ活の草刈り場です。例えば、ローソンはKDDIが子会社化したことにより、au経済圏との連携を強化するでしょう。au PAYで支払えばPontaポイントを高還元率で付与するという施策を打ってくると予想されます。
そのように考えると、Vポイントはスタート当初の積極キャンペーンのようなカンフル剤ではなく、ポイ活ユーザーの9割を占める「あまり努力せずに、いつの間にかポイントが貯まっているのが理想だ」と思っている人たちを惹きつける施策を考える必要があるでしょう。逆に、そこに失敗すると旧Tポイントのようにジリ貧となる恐れがないとは言えません。
コンビニをほとんど利用しないわたし的には、SBI証券との連携を強化して、クレカ積立の改悪は撤回するとよいのですが……。
(いしばしわたる)
〈PR〉
登録は簡単、3ステップのみ!無料会員登録はこちら