夜に聞くと心地良いミュージカル曲:ウィキッド/レントほか

夜に聞くと心地良いミュージカル曲:ウィキッド/レントほか

わたしが好きなミュージカル・ナンバーを2回にわけて紹介します。個人的にバラードが好きなため、ミュージカル・ナンバーの中でも、あまり有名でないものも混ざっていますが、ぜひ聞いてみてください(2024.1.9) 

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新年の恒例行事

我が家はここ数年、年始の「ニューイヤー・ミュージカル・コンサート」に出掛けるーーというのが恒例行事で、ことしも妻と長女の3人で渋谷に行ってきました。 

韓流好きの妻は付き合いで同伴したので、開演前の演目を眺めながら、こんなやりとりをしました。 

:どれがあなたのおすすめ曲なの? 

わたし:この中だと「I’ll Cover You」が好きだなあ。 

:どういう曲なの? 

わたし:最愛の人を亡くして、切々と歌うバラードだよ。泣けるんだよ~。 

コンサートが始まって「I’ll Cover You」の番になって、聞き終わった妻がひとこと。「ぜんぜん明るい曲じゃないの」 

わたしが好きなのは「I’ll Cover You」のリプライズのほうだったので、ちょっと恥をかきましたが、「そう言えば、ミュージカルにもバラードはあるよな……」と思い、この記事を書くことにしたというわけです。自分の思い出も交えながら、ミュージカル・ナンバーから好きな曲を紹介します。 

For Good

1曲目は、「ウィキッド」から「For Good」です。 

最初にあらすじを紹介しましょう。

人間と動物が同じ言葉を話し、ともに暮らす自由の国「オズ」。ここにあるシズ大学で、2人の少女が出会った。一人はマンチキン国総督の娘で、緑色の肌と不思議な力を持つエルファバ。もう一人は美しく人気者のグリンダ。性格も外見も全く異なる2人は、出会った瞬間から互いに激しい嫌悪感を抱く。魔法を学びたいというグリンダの願いをよそに、学長のマダム・モリブルが魔法の才能を認め、個人指導することにしたのはエルファバだった。 

ある日、ウィンキー国の王子、フィエロが転校してくる。グリンダは、少し軽薄だがハンサムな彼に熱を上げ、ダンスホールでパーティーが開かれることになった。そこでの出来事をきっかけに、2人の少女のわだかまりは溶け、次第に友情を深めていく。 

しかし、平和な国に異変が起こり、動物たちは次々に言葉を失っていく。心を痛めるエルファバのもとに、オズの魔法使いから招待状が届き、グリンダと共にエメラルドシティへ向かう。そこで動物たちの自由のために戦うことを決意したエルファバは「悪い魔女」として追われ、グリンダは国を救うシンボルとして祭り上げられることに。お互いを思いやりながら、2人はそれぞれの道を歩き始める。 

「日経エンタテインメント!別冊 劇団四季ミュージカルBOOK『ウィキッド』のすべて」(日経BP社)より

「For Good」は物語の最終盤、エルファバとグリンダが互いの友情を語り、永遠に別の道を歩み始めるシーンで唄われる曲です。 

「ウィキッド」の作詞・作曲を務めたステーィヴン・シュワルツが、「For Good」の創作秘話を明かしています。 

この楽曲に取り掛かった時、たまたま隣にいた三十歳の娘ジェシカに、”君の幼馴染のサラと、もし会えなくなるなら、最後に何という言葉をかける?”と訊ねてみました。彼女は少し考えて語りだし、私はそれを書き留めた。それがこの楽曲の一番です。もちろん少々手直しはしましたが、だいたいそのまま残っています。

2008年当時の劇団四季公演のパンフレットより
Who can say 
If I’ve been changed for the better? 
I do believe I have been changed for the better 
  
And because I knew you 
  
Because I knew you 
  
Because I knew you 
I have been changed 
For good 

「ウィキッド」は、わたしにとって思い出深いミュージカルで、アメリカに単身で1年生活していた時にブロードウェイで観劇したのが最初です。ラストの方はもうボロボロ泣いていて、隣の席に座っていた小学生ぐらいの女の子にドン引きされたほど。 

日本に帰国してすぐに家族を誘って劇団四季の公演を観に行き、中学生だった長女がいたく感動し、長女がミュージカル好きになったきっかけとなりました。その後も2014年に再演された劇団四季版を観て、コロナ前に長女とふたりでニューヨークに旅行した時にも観ています。何度観ても第2幕はせつなくなります(さすがに泣いたのは一番最初だけですが) 

Shadowland / They Live in You

2曲目と3曲目は、「ライオンキング」から「Shadowland」と「They Live in You」です。 

ライオンキングのあらすじは説明不要でしょう。名曲ぞろいですし、観ていて楽しい家族で楽しめるミュージカルです。

わたしがセレクトした2曲はあまり有名ではないかもしれませんが、きっと心に響くバラードです。ということは、CDを通して聴けるほど、いいナンバーが揃っているのが「ライオンキング」です(ついでに言うと「ウィキッド」も”捨て曲なし”です) 

個人の思い出で言うと、アメリカでの1年間の単身生活の中で、家族が夏休みを利用してアメリカに3週間ほど滞在。その時に家族と一緒に観に行ったのが「ライオンキング」で、わたしがミュージカル好きになったきっかけをくれた作品です。 

Someday

4曲目は、「ノートルダムの鐘」から「Someday」です。歌っているのはAll-4-Oneで、彼らの代表作です。 

その醜い容貌ゆえに、パリのノートルダム大聖堂の鐘楼でひっそりと暮らすカジモドは、ある日生まれて初めて外へ飛び出してゆき、そこで見た情熱的で美しい娘エスメラルダに強く心引かれていくのだが…。

アニメ版DVDあらすじより
Someday 
When we are wiser 
When the world’s older 
When we have learned 
I pray 
Someday we may yet live 
To live 
And let live

これは長女から「一緒に観にいこうよ」と誘われて、横浜で行っていた劇団四季の公演を観ました。アニメ版とは思い切り異なるラストに、ふたりともボロ泣きでした。 

Will I / I”ll Cover You (Reprise)

5曲目と6曲目は、「レント」から「Will I」と冒頭に紹介した「I”ll Cover You (Reprise)」です。

NYのイースト・ヴィレッジに暮らす、シンガーソングライターのロジャーと映像作家のマーク。夢を追い求める人生に現実は厳しく、二人は古アパートのロフトの家賃も払えずにいる。ロジャーは、共にHIVポジティヴであることを知った恋人が自殺して以来、ロフトにこもりっきり。一方のマークは、女性弁護士ジョアンとつきあい出した元恋人のパフォーマンスアーティスト、モーリーンに今も振り回されている。 

今日はクリスマスイヴ。 

しかし、ロフトの大家で元ルームメイトのベニーは「家賃が払えないなら立ち退きを」と迫ってくる。ベニーは裕福なスポンサーを見つけ、アパート周辺を再開発してサイバーアートのインタラクティヴスタジオを建てようとしているのだ。ロジャーとマークの親友で、久しぶりにNYに戻ってきたコリンズは路上で強盗に遭うが、ストリートドラマーでドラァグクィーンのエンジェルに介抱され、共にHIVポジティヴの二人は恋に落ちる。 

ロジャーは階下に住むSMクラブのダンサー、ミミに惹かれるが前に進めない。しかし「大切なのは今」というミミの言葉に揺り動かされ、彼女もHIVポジティヴであると知ったロジャーはようやく心を開き、降りしきる雪の中、二人は優しいキスを交わす。 

2018年日本公演のパンフレットより

「レント」は映画化されているので、その予告編をみてください。

Sony Pictures Home Entertainment公式チャンネルより RENT (2005) – Official Trailer

「レント」と言えば、第2幕の冒頭でキャスト全員で歌われる「Seasons of Love」が有名ですが、わたしが「Seasons of Love」と並んでよく聞くのがラストの「Finale B」です(予告編のバックに流れているのが「Finale B」)

女性キャストが「I die without you(あなたなしでは生きてゆけない)」と歌い、男性キャストが「No day but today(あるのは今日だけ)」と歌い、歌声が重なり合ってって終わるエンディングがとても好きです(いつも涙ぐみます) 

でも、この曲は「夜に聞くと心地良い」とは言えないので、静かな曲から選びました。 

「Will I」は、エイズ(HIV)感染者のサポートをする集まりで、感染者たちが輪唱する唄です。

「レント」の作者ジョナサン・ラーソンは、友人たちが次々にエイズで死亡していき、友人のひとりが「いちばん不安なのは、自分が死んでも誰にもケアされないこと」と語ったことが歌詞となっています。

Will I lose my dignity?
Will someone care?
Will I wake tomorrow
From this nightmare?

 

「I”ll Cover You」はコリンズとエンジェルがお互いの愛を高らかに歌う曲ですが、リプライズは、エイズで亡くなったエンジェルを想ってコリンズが静かに歌い出し、最後に他のキャストが唄う「Seasons of Love」をバックに、ひとり熱唱する曲です。「レント」のオリジナルキャストで映画版にも起用されたジェシー・L・マーティンの歌声、笑顔、そしてせつない顔がとても好きです。 

Live in my house
I’ll be your shelter
Just pay me back
With one thousand kisses
Be my lover
And I’ll cover you
Yeah

Open your door
I’ll be your tenant
Don’t got much baggage
To lay at your feet
But sweet kisses I’ve got to spare
I’ll be there
And I’ll cover you
Oh

I think they meant it
When they said you can’t buy love
Now I know you can rent it
A new lease you were my love
On life
All my life
I’ve longed to discover
Something as true as this is

なお、「レント」は映画版のほかに最終公演をフィルムに収めた「レント ライヴ・オン・ブロードウェイ」というDVDがあります。 

映画版もライブ版も、本編が素晴らしいのは言うまでもないことですが、かなり長尺のメイキング映像がとても素晴らしく、「レント」ファンなら絶対にお皿(DVD/ブルーレイ)で持っていることを勧めます。 

メイキング映像をみれば、「レント」が、アルバイトをしながらモーリーン役を射止めたのがきっかけでその後の飛躍につながったイディナ・メンゼル(「ウィキッド」のエルファバ役、「フローズン」(アナと雪の女王)のエルサ役)、スタバで店員をしていたジェシー・L・マーティンなど、多くのアーティストを輩出したことがわかります。 

そんな「レント」を残してくれたジョナサン・ラーソンーーレストランで働きながら作詞作曲を続け、「レント」がオフ・ブロードウェイで初演される直前に亡くなったーーへの感謝の気持ちでいっぱいになります。 

最後に、ユーチューブで歌詞入りの公式動画がある「ライオンキング」の2曲と、映画版「レント」の冒頭10分の映像をつけておきます。映画版では「Seasons of Love」を8人全員で唄います。そこだけでもぜひごらんください。名曲です。 

(しみずのぼる)

Disney On Broadwayより Shadowland – Disney’s THE LION KING (Official Lyric Video)
Disney On Broadwayより They Live in You – Disney’s THE LION KING (Official Lyric Video)
Sony Pictures Home Entertainment公式チャンネルより Rent (2005) – FIRST 10 MINUTES
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