夜に聞くと心地良いビル・ウィザーズ&ジョー・コッカー

夜に聞くと心地良いビル・ウィザーズ&ジョー・コッカー

きょう紹介するのは2人の男性ボーカリストーービル・ウィザーズジョー・コッカーです。ジャンルで言えばR&Bでしょうが、声に惹かれて今もプレイリストに入れてよく聴いています。ずいぶんと前に流行った曲ばかりですが、このまま埋もれさせるのは惜しいメロディと声です。声に注目して聴いてみてください(2023.12.20) 

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音楽は魔法のようなもの

この記事を書きたいと思ったきっかけは、衛星テレビでビル・ウィザーズにスポットを当てた30分番組を見たからです(ミュージックエアというチャンネルで、番組名は「偉大なるソングライターたち」) 

「3度のグラミー賞受賞歴を誇る伝説のR&Bシンガーソングライター」という謳い文句で、2016年製作。ビル・ウィザーズは1980年代半ばに音楽業界から引退、2020年に亡くなっていますので、生前にインタビューできた貴重な映像です。 

曲作りの秘訣を聞かれて、彼ははにかみながらこう答えていました。 

私の仕事は魔法みたいなものだ。知らないほうがいいこともある。音楽が持つ魔法の力を明かしたくないんだ。 

うーん、かっこいい! ということで、ビル・ウィザーズを紹介したくなり、でも、それを言えばジョー・コッカーも忘れられた存在だなあ……などと考え、どちらもメロディーだけでなく声に惹かれて好きになったので、ふたりまとめて紹介することにした次第です。 

Lean on Me

1曲目は、ビル・ウィザーズの「Lean on Me」です。1972年発表で、その年の全米ビルボードで1位に輝いた曲です。 

「わたしを頼って」という歌詞から、被災地支援やチャリティーなどでよく唄われたりするナンバーですが、その音楽番組でビル・ウィザーズが話していたのは、川で溺れた少年を助けた男性へのリスペクトの気持ちが着想のきっかけだったそうです。

Sometimes in our lives, we all have pain 生きていたら時々、苦しんだり 

We all have sorrow 悲しんだりするものだよ 

But if we are wise でも、僕らがもし賢ければ 

We know that there’s always tomorrow いつも明日は来ることを知っている 

Lean on me when you’re not strong 僕を頼ったらいいよ、君がくじけそうになった時は 

And I’ll be your friend そうしたら僕が君の友達になって、 

I’ll help you carry on 僕は君の助けになり続けるよ 

For it won’t be long ほんの少しの間だけど 

‘Til I’m gonna need somebody to lean on 僕が頼れる誰かを必要とするまで 

Lovely Day

2曲目は1977年発表の「Lovely Day」です。明るい曲調で、多くの人にカバーされている名曲です。GAPのCMにも使われていました。 

When I wake up in the mornin’, love 朝起きると 

And the sunlight hurts my eyes 太陽の光が目にきつい 

And somethin’ without warnin’, love なんの前ぶれもなく 

Bears heavy on my mind 僕の心を重くさせる 

Then I look at you それから僕はきみを見る 

And the world’s alright with me そして世界は僕にとって大丈夫に見える 

Just one look at you きみを見るだけで 

And I know it’s gonna be a lovely day 僕にはわかる、今日は素敵な日になるって 

Just The Two of Us

以上の2曲は私が見た音楽番組でも紹介していましたが、ビル・ウィザーズでもっとも有名な曲は「Just The Two of Us」ではないでしょうか。私が最初に聴いたのもこの曲でした。 

「Just The Two of Us」は、サックス奏者グローヴァー・ワシントン・ジュニアが1980年に発表したアルバム「ワインライト」に収められています。 

ほかの曲はすべてインストゥルメンタルで、ビル・ウィザーズはゲスト参加ですが、当時は本当に流行ったものでした。「ワインライト」は他の曲も非常によくアルバムとしても優れていて、ジャズ・フュージョンの名盤です。 

なお、「Just The Two of Us」は、ちょうど同じ時期に田中康夫氏の「なんとなく、クリスタル」がベストセラーになっていたことから、それにあやかって邦題名は「クリスタルの恋人たち」と名付けられました(歌詞にも crystal raindrops と出てはきますが) 

オリジナルは間奏部分でグローヴァー・ワシントン・ジュニアのサックス演奏がはさまれているので7分台の長さですが、ビル・ウィザーズのベスト盤では、間奏部分を省いた3分台の短縮版が収められています。ユーチューブのビル・ウィザーズ公式チャンネルでも短縮版が公開されています。 

Grover Washington Jr. feat. Bill Withers – Just the Two of Us (Official Lyric Video)

酒と麻薬に溺れる日々

さて、ここからはジョー・コッカーです。この人の声はしわがれていて、いぶし銀という形容がぴったりです。

簡単に来歴を紹介しますと、60年代から音楽活動を続けるものの、薬物とアルコール依存に長く苦しみ、広く一般に知れ渡るようになったのは80年代に入ってからです。 

もっとも有名なのはリチャード・ギア主演の映画「愛と青春の旅立ち」(原題:An Officer and a Gentleman、1982年製作)の主題歌で、これが全米1位のヒットを記録し、これ以降「大衆的な歌手としてアルバムをコンスタントにリリースできるキャリアを確立した」(ウィキペディアから)という方です。晩年は肺がんで長く闘病生活を続け、2014年に70歳で亡くなりました。 

I’m So Glad I’m Standing Here Today

1曲目は「I’m So Glad I’m Standing Here Today」です。私が最初に聴いたジョー・コッカーの曲です。 

彼が酒と麻薬に溺れて多くの友人が離れていった時、友人のひとりでクルセイダーズのキーボード奏者ジョー・サンプルが新譜の製作でゲスト参加しないかと声をかけ、この曲が誕生しました。歌詞の内容はまさにジョー・コッカーそのものです。 

There were times, I remember 俺は時々思い出す 

Had to fight just to hold my head up 苦しくても頭を上げていた頃を 

Those times when even my friends tried to make a fool of me 友だちでさえ、そんな俺を馬鹿にしようとすることもあった 

There were things that my heart attacked それが俺の心をえぐったが 

That they just couldn’t see 彼らには分かりはしない 

Some said, “I was hopeless mind tangled in the night” 誰かが言った 俺はもうだめで 

暗闇をさまよっていると 

Strong hearts just keep goin’ 俺は気持ちだけは強く持ち続けた 

That is why I’m still standing here today だから俺は今ここにいるんだ 

Come together, raise up your voices さあ行こう、声を上げて 

This time my song of love and life won’t go away 今度こそ俺の愛と人生の歌はどこにも行きはしない 

I’ll sing forever here in the sunshine 俺は日差しの中で永遠に歌い続けよう 

I’ve lived to see the sun break through the storm 嵐が過ぎれば日が差すものさ 

I’m so glad, I’m standing here today だから俺は今ここにいることがたまらなく嬉しいんだ 

アルバムは「スタンディング・トール」(1981年)で、「I’m So Glad I’m Standing Here Today」の邦題は「明日への道標」です。 

You Are So Beautiful

2曲目は、酒と麻薬に溺れる前の1974年にはじめて製作されたフルアルバム「You Are So Beautiful」から表題曲です。オリジナルは”5人目のビートルズ”で知られるビリー・プレストンですが、静かな歌い出しから途中から張り叫ぶところまで、徹頭徹尾、ジョー・コッカー節です。 

Up Where We Belong

3曲目は、彼の成功が確立した映画「愛と青春の旅立ち」の主題歌「Up Where We Belong」です。ジェニファー・ウォーンズとのデュエットで、邦題は映画タイトルと同じ「愛と青春の旅立ち」です。 

Who knows what tomorrow brings 明日は誰にもわからない
In a world few hearts survive この世界で生きのびる愛はほんのわずか
All I know is the way I feel 僕がわかるのはこの気持ちだけ
When it’s real, I keep it alive 本物の愛を大切にしたい
The road is long 長い道のりが待っている
There are mountains in our way 山々が僕らの前にそびえ立つ
But we climb a step every day でも僕たちは毎日一歩ずつ登っていこう

Love lift us up where we belong 愛が僕たちを高みへの導いてくれる
Where the eagles cry, on a mountain high ワシが高らかに鳴く、山の上で
Love lift us up where we belong 愛が僕たちを高みへの導いてくれる
Far from the world below この世界から遥か遠く離れた
Up where the clear winds blow 澄んだ風が吹くところまで

ビル・ウィザーズもジョー・コッカーも、80年代に青春時代だった人たちにとって、とても懐かしく、忘れがたい存在です。こんな名曲を残してくれたことに感謝します。 

(しみずのぼる) 

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