きょうは夜に聞くと心地良い映画音楽を紹介します。ベッドに入ってからBGMとして流す私のプレリストから選曲しました。映画の情景を思い浮かべながら眠りにつくのは何とも至福の時です(2023.11.3)
〈PR〉


ベイビー・ブローカー
1曲目は、是枝裕和監督が韓国の俳優陣やスタッフと共に製作した「ベイビー・ブローカー」から。

古びたクリーニング店を営みながらも借金に追われるサンヒョンと、〈赤ちゃんポスト〉がある施設で働く児童養護施設出身のドンス。ある土砂降りの雨の晩、2人は若い女ソヨンが〈赤ちゃんポスト〉に預けた赤ん坊をこっそりと連れ去る。彼らの裏稼業は、ベイビー・ブローカーだ。しかし、翌日思い直して戻ってきたソヨンは赤ん坊が居ないことに気づき、成り行きから2人と共に養父母探しの旅に出ることに。一方、彼らを検挙するためずっと尾行していた刑事スジンと後輩のイ刑事は、是が非でも現行犯で逮捕しようと、静かに後を追っていくが…。

昨年1年間に映画館で観た映画で、次の「流浪の月」と共に最も感動した映画です。
音楽を担当したのはチョン・ジェイル。是枝監督が韓国で映画を作ることを聞きつけ、自ら売り込んで音楽担当を勝ち得たそうです。
曲は「Forgiven」。映画のラストで流れる、静謐なメロディがとても印象的です。
流浪の月
2曲目は、李相日監督、広瀬すずさん、松坂桃李さん主演の「流浪の月」から。凪良ゆうさんの原作は本屋大賞に輝きました。

家に帰りたくない事情を抱えた10歳の少女・家内更紗(かない さらさ)は、その日も公園でひとり本を読んでいた。
折から降りはじめた雨に濡れる彼女に傘をさしかけたのは、19歳の大学生・佐伯文(さえき ふみ)。
「うち、来る?」―そのひと言からはじまったふたりの共同生活はとびきり自由で温かく、はじめて互いに息のつける奇跡のような日々だった。
けれどその夏の終わりのある昼下がり、幸せな時間は唐突に終わりを告げる。
その日から、更紗は世の知る「家内更紗ちゃん誘拐事件」の「被害女児」、文はその「誘拐犯」となった。
そして15年後、偶然の再会を遂げるふたり。
しかしあの頃のように隣にいるには、互いにさまざまなものを背負い過ぎていた―。

映画館で一緒に観た娘は、映画にいたく感動して原作も読み、「どっちも甲乙つけがたくいいね!」と言っていました。わたしも同感です。
音楽を担当したのは原摩利彦氏。李監督から「心の奥底にあるマグマのようなものを音楽で表現してほしい」と言われたそうです。
曲は「Still Waters」。更紗と文が引き裂かれる湖の場面で流れる曲です。
怪物はささやく
3曲目は、記事でも取り上げた「怪物はささやく」から。

12歳の少年コナーは、難しい病を抱えた母親と2人で裏窓から教会の墓地がみえる家に住み、毎夜悪夢にうなされていた。
ある夜、コナーのもとに怪物がやって来て告げる。
「今から、私はお前に3つの【真実の物語】を話す。4つ目の物語は、お前が話せ。」しかも怪物は、コナーが隠している“真実”を語れと迫るのだ。
頑なに拒むコナー。しかしコナーの抵抗など意にも介さず、その日を境に夜ごと怪物は現れ物語の幕が上がる―。
音楽を担当したのはフェルナンド・ベラスケス。曲は「The Truth」。母親との惜別のシーンで流れる曲です。

ネバーランド
4曲目も、記事で取り上げた「ネバーランド」から。

劇作家ジェームズ・バリが、未亡人シルヴィアとの出会いをきっかけに、名作「ピーター・パン」を書き上げるまでを描く感動作。1903年のロンドン。新作の芳しくない劇評や、妻とのぎくしゃくした関係に悩むバリは、シルヴィアと4人の息子たちとの交流に安らぎや生きる喜びを覚えていた。父の死を心の傷としている三男のピーターに書くことのすばらしさを伝え、病気を抱えたシルヴィアを気遣うバリ。やがて舞台「ピーター・パン」は初日を迎えるが…。
音楽を担当したのはヤン・A.P.カチュマレク。曲は「The Kite」です。

フローズン・タイム
5曲目も、記事で取り上げた「フローズン・タイム」から。

画家志望の美大生・ベンは恋人にフラれたショックで不眠症になってしまう。
そのせいで一日8時間も増えてしまったベンは、余った時間を活用するためにスーパー・マーケットの深夜バイトを始めることに。
しかし、そこで働くのはイタズラ好きの悪友コンビやブルース・リーおたく、時間恐怖症のレジ係・シャロンと、ダメな若者たちばかり。
2週間の不眠が続いたベンは、ついに時間の観念を失い、突然、周囲の世界がフリーズしてしまう!
時間の止まってしまった世界を歩き回るベンは、自分だけの美しい静止画の世界で夢中になって美女たちのデッサンを始める。
そしてある日、ふとした瞬間、同僚の女性・シャロンの美しさに心を奪われて…。
音楽を担当したのはガイ・ファーレイ。曲は「Suzy」。最初の恋人スージーとの破局を後悔し、スージーと過ごした日々を思い出しながら眠れぬ夜を過ごす場面で流れる曲です。

スワロウテイル
最後に、岩井俊二監督の映画「スワロウテイル」から。

むかしむかし、“円”が世界で一番強かった頃。
いつかのゴールドラッシュのようなその街を移民たちは“円都(イェンタウン)”、と呼んだ。
でも日本人はこの名前を忌み嫌い、逆に移民たちを“円盗(イェンタウン)”と呼んで蔑んだ。
ここは円の都、イェンタウン。円で夢が叶う、夢の都。
…そしてこれは、円を掘りにイェンタウンにやって来た、イェンタウンたちの物語。

エンドロールで流れる「Swallowtail Butterfly 〜あいのうた〜」が有名ですが、音楽を担当したのはMy Little Loverで有名な小林武史氏。サントラ盤はどれもいい曲がそろっていますが、その中でも、せつなくて心に沁みる「Heart of HIO」を選びました。
「ベイビー・ブローカー」と「流浪の月」はYouTubeに予告編がありました。
どれもいい映画です。未見の方は、ぜひ映画をごらんください。
(しみずのぼる)
〈PR〉

