暗号資産・FX・不動産の確定申告は…

楽天マガジンで2冊目の確定申告関係のムックが配信されました。紙の雑誌なら絶対１冊しか買わない類だけに、複数読めるのは便利です。前回記事で触れた項目以外で、マネー情報に関係しそうな項目を紹介します（2024.1.16）

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世界一簡単にできる
暗号資産は総合課税の対象
FXは分離課税の雑所得
減価償却が節税のコツ

世界一簡単にできる

１月14日に配信されたのは「世界一簡単にできる確定申告令和6年3月15日締切分」（宝島社刊）です。

別のムックで紹介したのは医療費控除と株売買の損益通算・繰越控除でした。

楽天マガジンで確定申告を調べる

せっかくですから、こちらのムックでは別の項目を見てみましょう。

暗号資産は総合課税の対象

まず、暗号資産です。暗号資産で得た所得は「雑所得」となるため、利益が20万円を超えたら確定申告する必要があります。

暗号資産の取引で損失が出た場合には、ほかの暗号資産の利益と相殺することができます。また、給与所得や不動産所得などと合算した「総合課税」となるので、公的年金など、ほかの雑所得の黒字所得から損失分を差し引いて通算することもできます。つまり、年金所得が200万円、暗号資産が150万円の損失の場合、課税対象額は50万円です。

暗号資産で怖いのは、大きな利益が出ることで課税額が膨れ上がることです。

国内株や投資信託は申告分離課税を選択して、譲渡益も配当所得も源泉徴収されているケースがほとんどです。特定口座（源泉徴収あり）を選んでいれば確定申告も不要です。

ところが暗号資産は雑所得で総合課税の対象となるため、例えば給与所得が６００万円のサラリーマンなら所得税率は20％のゾーンなのが、暗号資産で３００万円の利益が出たとたん、給与所得６００万円＋雑所得３００万円＝９００万円で所得税率は33％のゾーンに跳ね上がります。

源泉徴収で確定申告をしないで済むサラリーマンが陥りがちなケースで、もし暗号資産で年間20万円以上の利益が出たら確定申告が必要と知らなかったら、延滞税や過少申告加算税（本来納付すべき税金との差額を納める際、その10％に相当）が課されることになります。

ムックには「暗号資産で利益が出たときの節税ポイント」が載っていて、「むやみに利益確定しない」と書いています。

FXは分離課税の雑所得

FX（外国為替証拠金取引）のくだりも紹介しましょう。

FX取引での利益は「先物取引に係る雑所得等」として扱われ、申告分離課税の対象になります。

このため、米や原油などの商品先物取引などとは損益通算できますが、国内株や投資信託、暗号資産とは損益通算はできません。

わたしは、暗号資産は少しだけ買付したことがありますし、株主優待で暗号資産を受け取って現金化するため、毎年、雑所得が発生します。年間20万円を超えることはありませんが、それでも知識としては雑所得で総合課税の対象であることは知っています。

一方、FXのほうは、わたしは一度もやったことがないので、このムックを読むまで、申告分離課税の雑所得という分類があることすら知りませんでした。

減価償却が節税のコツ

もうひとつ、不動産所得から「毎年の減価償却が節税のコツになる」という項目を紹介しましょう（わたしは不動産所得があるので、こちらの知識は必須となります）

アパートやマンションの部屋や家屋、土地、借地権、駐車場などを所有し、それを個人や法人に貸して得た収入は、不動産所得として確定申告をする必要があります。

不動産所得の額は、その年の１月１日から12月31日までの１年間に得た家賃収入や更新料、地代などの総収入金額から、管理費や修繕費、減価償却費などの必要経費を差し引いて算出します。

不動産所得において節税のポイントになるのが、使用し続けたり時間が経過すると価値が減少するものについて、その価値の減少をあらかじめ見積もって必要経費に計上する減価償却です。

例えば、新築マンションで部屋を4700万円で購入して、その部屋を第三者に賃貸して月額10万円の家賃収入（年間120万円）を得るケースで考えてみましょう。

管理費・修繕積立金で年間20万円かかるなら、年間の収入は100万円です。ところが、税の仕組み上、これにマンションの減価償却費も計上できます。

新築マンションの法定耐用年数は47年ですから、毎年100万円を経費できることになります。ということは不動産収入は年間100万円あっても、不動産所得はゼロ円で計算されるため課税されません。

ムックには中古マンションで例示が書いてあり、マンション・アパートの減価償却のもととなる法定耐用年数が一覧になっています。