きのう購入したばかりの東証ETF(上場投資信託)と、その元となる新指数「JPXプライム150指数」について書きます。ニュースをみると「打倒S&P500」と書いてありますが、確かに日本のトップ企業150社を集めた指数であるのは間違いありません(2024.1.26)
「S&P500に比肩しうる」
まずは「打倒S&P500」と書かれた記事を紹介しましょう。1月24日に配信されたFinasee編集部の「【速報】打倒S&P500? 名実ともに日本のトップ企業だけで構成する「iFree ETF JPXプライム150」が上場!」です。
市場の期待を上回る利益成長が見込める国内大型・中型150銘柄で構成するETF(上場投資信託)「iFree ETF JPXプライム150」が1月24日、東京証券取引所に上場しました。このETFは大和アセットマネジメントが運用し、JPX総研が2023年7月に算出・公表を始めた指数「JPXプライム150」に連動する国内初の金融商品となります。
(略)
24日の上場式典で東証の岩永守幸社長は、JPXプライム150ついて「資本の効率性と成長力においてはS&P500に比肩しうる」と自信をみせました。
https://media.finasee.jp/articles/-/13120
あ~、テレビのニュースでもやっていたな…と思われた方もいるでしょう。
わたしもテレビでみて「へー」と思って値動きをチェックしたら、きのう(25日)は下がっていたので、少し持っておこうかと特定口座で買い付け、「考えてみれば妻の成長投資枠の残額を埋めるのにもちょうどいいな」と思い、きょう(26日)は妻の成長投資枠でも1口購入しました(ついでに特定口座で買い増しました)
「iFree ETF JPXプライム150」(証券コード:2017)は、この1月に30分割して格段に買い求めやすくなった人気の高配当ETF「NF日経高配当株50」(証券コード:1489)よりも安い費用で購入できます。信託報酬料も低いです(0.176%)

NF日経高配当株50についてはこちら
NISA革命の予感…人気ETFも「1→30」分割へ
まだ分配金がいくらになるかわかりませんが、後述する構成銘柄を見ても、そんなに低くないだろうと考えた次第です。
財務実績とPBRで選定
さて、この新ETFの紹介が本旨ではなく、書きたいのは新指数「JPXプライム150指数」のことです。
こちらの記事がよくまとまっています。同じくFinasee編集部の「7月3日算出開始! 話題の「JPXプライム150指数」は他の指数と何が違うのか」(23年6月30日配信)で、新指数の開発を担当したJPX総研の執行役員、高橋直也氏へのインタビュー記事です。
高橋 基本コンセプトは、価値創造が推定される我が国の代表的企業からなる指数です。東証プライム市場に上場している時価総額上位500社から①財務実績の上位75社、②この75社を除いたうちで株価純資産倍率(PBR)1倍を超す市場評価の高い時価総額上位75社――これらを合算して150社を選定しました。
財務実績は、「エクイティ・スプレッド」という指標で測ります。エクイティ・スプレッドは、自己資本利益率(ROE)から株主資本コスト(借り入れであれば金利に相当)を引いたものです。ROEが株主資本コスト(株主が求めるリターン)を上回れば、それだけ価値を創造していることを意味するわけです。
——いわばピカピカの「勝ち組」企業に光を当てる、ということですね。TOPIXや日経平均株価と異なる指数といえば、2014年にスタートした「JPX日経インデックス400(JPX日経400)」もありますね。
高橋 JPX日経400はプライム・スタンダード・グロース市場の流動性上位1000社から、ROE・営業利益・時価総額でスコアリングして選定する指数で、大型から中小型まで幅広い銘柄が含まれていて、時価総額の平均値は1.5兆円、中央値は0.6兆円です。これに対してプライム150は大型株が中心です。時価総額の平均値も2.6兆円、中央値は1.5兆円となっています。
https://media.finasee.jp/articles/-/12269
このあと、
プライム150の構成銘柄のPBRやROE、売上高と1株当たり当期純利益(EPS)の成長率、時価総額の分布は、米国のS&P500や欧州のSTOXX600といった主要指数に比べても遜色のないグローバルな水準だと思います。
という発言もあって、これが24日の上場式典で東証社長が言及した「S&P500に比肩しうる」となり、記事見出しの「打倒S&P500」となっているわけです。
新NISAを意識して開発
——来年1月から新NISAが始まります。プライム150は絶妙のタイミングでのスタートですが、運用会社や投資家からの反応はいかがですか。
高橋 新指数の内容を詰める過程などで運用会社と意見交換させていただきましたが、そうした方々からはコンセプトにご賛同いただいています。個人投資家からも、当方のWEBサイトなどを通じて高い関心をいただいていると実感しています。先ほどから申し上げてきたプライム150の利点も、指数の算出や運用が始まれば、みなさまに具体的なイメージを持っていただけると思います。そうしたタイミングで、運用会社にはぜひ商品化を進めていただきたいと願っています。
https://media.finasee.jp/articles/-/12269
まさに新NISAを意識した新指数であり、大和アセットマネジメントが初名乗りを上げたインデックス型ETFというわけです。
気になる構成銘柄は…
気になる「JPXプライム150指数」の構成銘柄を抜き出してみましょう。構成銘柄とウェイト一覧はJPXのホームページに載っています。
JPX総研の高橋氏がインタビューで強調しているように、
- エクイティ・スプレッド(ES)で選定した財務実績の上位75社
- 株価純資産倍率(PBR)1倍で選定した時価総額上位75社
から構成されているので、それぞれをウェイト比率順に上位10銘柄ずつ抜き出してみます。
ES選定上位10銘柄
- 日本電信電話(9432) 情報・通信業
- 東京エレクトロン(8035) 電気機器
- 任天堂(7974) その他製品
- HOYA(7741) 精密機器
- 信越化学工業(4063) 化学
- 三井物産(8031) 卸売業
- KDDI(9433) 情報・通信業
- 伊藤忠商事(8001) 卸売業
- ソフトバンク(9434) 情報・通信業
- 日本たばこ産業(2914) 食料品
PBR選定上位10銘柄
- ソニーグループ(6758) 電気機器
- キーエンス(6861) 電気機器
- 日立製作所(6501) 電気機器
- 武田薬品工業(4502) 医薬品
- 第一三共 (4568) 医薬品
- リクルートHD(6098) サービス業
- ダイキン工業(6367) 機械
- 東京海上HD(8766) 保険業
- オリエンタルランド(4661) サービス業
- 村田製作所(6981) 電気機器
確かに名だたる企業ばかりですね。インタビューでJPX総研の高橋氏はこう言っています。
株式市場を通じて日本の国富を増やし、市場参加者へ還元していくというのが私たちの究極の目的であり、それこそがこの指数のゴールでもある、と思っています。
期待したいと思います。
(いしばしわたる)