ビートルズを再発見する旅:赤盤・青盤[2023 Edition] 

ビートルズを再発見する旅:赤盤・青盤[2023 Edition] 

ビートルズ赤盤・青盤[2023 Edition]が発売されました。長らくビートルズのベスト盤、入門盤として親しまれてきましたが、今回は曲目も増え、最新のデジタル技術で音が非常によくなっています。ビートルズを以前から好きな人にとっても、ビートルズを「再発見」できるチャンスと思います(2023.11.19)

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「ナウ・アンド・ゼン」が話題

今回の赤盤・青盤の[2023 Edition]発売は、ジョン・レノンの残したテープにポール・マッカートニーら3人が演奏を加えて、AI技術まで駆使して製作したビートルズ最後の新曲「ナウ・アンド・ゼン」が話題です。 

でも、個人的には「ナウ・アンド・ゼン」よりも、これまでのビートルズの名曲群が最新のデジタル技術で音がはるかにクリアになって聴けたのが何よりもうれしかったです。 

YouTube Beatles公式チャンネル The Beatles ‘Red’ and ‘Blue’ albums (2023 editions) are out now!

1曲目の「ラブ・ミー・ドゥ」が流れた時、「あれ、こんなだっけ?」と思ったほど、まるで違って聴こえる曲が少なくありません。 

初期2作は2トラック録音

ビートルズがデビューしたのは1962年。半世紀以上も前です。当時の録音技術の制約をどうしても受けることになります。特にビートルズの初期の2枚のアルバムは2トラック録音のため、デジタル化も苦労したようです。 

「ザ・ビートルズ・アルバム・バイブル」というムック本(日経BP社、2012年刊)にこんなくだりが出てきます。 

リマスター盤で初めてこのアルバムのステレオバージョンを聴き、歌と演奏がほぼ完全に分離したミックスにがく然とした方も多いかと思う。2トラック録音ではこれが限界、と納得せざるを得なかったのではないだろうか(「プリーズ・プリーズ・ミ-」) 

ボーカルと演奏を分離しただけの2トラックテープから作られたステレオミックスは不評である。だがジョージ・マーティンによれば、これは本来ステレオミックス作成用ではなく、モノミキシング時のボーカルの音量調節を目的とした分離だった(「ウィズ・ザ・ビートルズ」) 

その後は4トラック録音になったとはいえ、それでも半世紀も前の録音です。それだけに、[2023 Edition]は、やはり音の良さにどうしても耳がいきます。 

”デミックス・リミックス”

ライナー・ノーツ(ジョン・ハリス氏)によると、 

ここに収められた曲にはすべて、ザ・ビートルズのプロデューサーの息子、そして現在では彼らの音楽の多くに関わるジャイルズ・マーティンの手で”デミックス・リミックス”が施されている。新たな機械学習テクノロジーのおかげで、4トラック機材のテープに収められたーーそれゆえ、分離することのできなかったーー個々の要素が解きほぐされ、ジャイルズはオリジナルのレコーディングをよりクリアな音で、よりパワフルに再現することが可能になった。 

ということだそうです。アマゾンのレビューをみても、ドラムの音がぜんぜん違うといった、音の良さに言及している書き込みが目立ちます。 

新たに21曲を追加

曲目については、いろいろ意見が分かれるところかもしれませんが、新たに追加した曲(赤盤は12曲、青盤は「ナウ・アンド・ゼン」を含め9曲)によって、印象が変わったのは確かです。ライナーノーツも、 

いわゆる赤盤と青盤が彼らの活動をふたつに分けているせいで、ツアーをやめて口ひげやあごひげを生やし始めた途端、彼らはまったく別のグループになったという見方が広く受け入れられていたこともあるーーだが現実は明らかに、ずっと入り組んでいた。あるいはずっと単純だったのかもしれないーー彼らはずっと同じ人間で、ずっと同じようにとどまることを知らない本能に従っていた。 

と強調しています。 

もともとの赤盤のラストは「イエロー・サブマリン」でしたが、[2023 Edition]はアルバム「リボルバー」から5曲追加され、ラストは「トゥモロー・ネバ―・ノウズ」になっています。青盤との連続性がぐっと増したのは確かでしょう。 

ディア・プルーデンスが嬉しい

もうひとつ、個人的にうれしかったのは「ディア・プルーデンス」が入っていることです。 

アルバム「ホワイト・アルバム」「バック・イン・ザ・USSR」の飛行機の音と曲が重なっているため、好みのプレイリストを作ると、音がだぶったところが非常に気になってしまい、とてもいい曲なのに、泣く泣くリストからはずしたりもしていました。 

[2023 Edition]は、この2曲を完全に分離して収録しています。 

ユーチューブのビートルズ公式チャンネルで全曲聴くことができますが、ここで紹介した「トゥモロー・ネバ―・ノウズ」と「ディア・プルーデンス」をつけておきます。 

The Beatles – Tomorrow Never Knows
Dear Prudence (2018 Mix)

現代のモーツアルト

赤盤・青盤を通しで聴くと、映画「イエスタデイ」の中で、エド・シーランがつぶやく言葉が胸に去来します。 

ビートルズはモーツアルトだ 

映画「イエスタデイ」はこちらをごらんください

ぜひ赤盤・青盤を聴いて、ビートルズを再発見する旅にいざなわれてください。 

(しみずのぼる) 

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