きょう紹介するのはフリーダ・マクファデンのミステリー小説「ハウスメイド」(ハヤカワ・ミステリ文庫)です。アメリカでベストセラーになった小説で、宣伝文句のとおり「世界がひっくり返る」恐怖と驚きの展開が味わえます(2026.1.9)
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「積ん読」本の一冊
先日紹介したアンディ・ウィアーのSF小説「プロジェクト・ヘイル・メアリー」もそうでしたが、ウェブ記事の紹介文を読んで「面白そう!」と思ったらとりあえず注文します(主に電子書籍で)
でも、その時点ではほかに読んでいる小説があるケースが多くて、その場合は電子書籍版「積ん読」状態になるパターンがほとんどです。
「ハウスメイド」も昨年8月の発売直後に購入していながら、そのまま”放置プレイ”になったのですが、最近「ハウスメイド2」も発売されたので、それなら…と1作目から読み始めたという次第です。
「中の人」の紹介文
購入のきっかけは以下の記事でした。
いつも小社の本をお読みいただきましてありがとうございます。
全米200万人を恐怖と驚きで包み込んだすべてをひっくり返す衝撃の一冊! フリーダ・マクファデン/高橋知子訳『ハウスメイド』は8月20日発売!
早川書房で翻訳フィクションの編集を担当しておりますIと申します。
今日はどうしても皆さんにオススメをしたい作品があり、筆をとりました。この作品、すごいんですよ。本当に。だから、どうしても皆さんに読んでほしくて、発売の8月20日までまだ2カ月もあるのに、こうして紹介のnote記事を書いちゃいました。
ということで、早川書房の「中の人」の紹介文ですね。
全米を対象にしたベストセラー・リストである《ニューヨーク・タイムズ・ベストセラー》で第1位に輝いたこの『ハウスメイド』は、アメリカでは200万部以上の大ヒットを記録し、その恐怖と驚きの展開で読む人全員を衝撃に包みました。――っていうお堅い紹介はここら辺にしておきたいと思うのですが……
とんでもない作品なんです、この小説は。
本を作る時には、編集者はその本を何度も何度も読み返さなければならないのですが、何度読んでも面白さが変わらない。「え、面白い……」と何回もつぶやきながら読み返していました。
何がそんなにすごいのかって、本当に世界がひっくり返るんです。
この「世界がひっくり返る」がミソなんですが、どうせなら、何も知らない状態で読んだほうがよいと思います。
わたし自身、購入のきっかけでこの紹介文は目にしていたはずですが、半年の歳月ですっかり忘れていて、何も知らない状態で読みました。背表紙のあらすじすら読んでない状態で読むのは最高ですね♪

身元を伏せざるを得ない理由
屋根裏部屋で死体が見つかったという短いプロローグのあと「第一章 三カ月まえ」が始まります。一行目に「ミリー」とあり、この章はミリーの一人称で語られていきます。
「あなたのことを教えてちょうだい、ミリー」
「ええと……」わたしは慎重に言葉を選びながら話しはじめる。これまで断れてばかりだけれど、やるだけやってみる。「ブルックリンで育ちました。履歴書に書いてあるように、家事代行の仕事は何度もしてきました」ばれないように慎重に嘘を書きつらねた履歴書。「それに子どもは大好きです。それから……」
身元を伏せざるを得ない理由。それは刑務所に10年間服役した過去があるからだ。しかも保護観察下の仮釈放中なのに、バイト先でトラブルを起こして解雇され、車上生活を余儀なくされていた。
ところが、ほかの仕事で断られて落ち込んでいるところへ、電話がかかってきた。
「それで、もしよければ、ぜひあなたにうちで働いてもらいたいの」
一気に頭に血がのぼって、めまいがしそうだ。ぜひあなたにうちで働いてもらいたいの。ほんとうに? マンチ・バーガーズなら雇ってもらえるのではないかと思っていたけれど、ニーナ・ウィンチェスターのような女性が家事手伝いにわたしを雇うなんて、どう考えても無理な気がしていた。それも住み込みで。
履歴書に書かれていた照会元に問い合わせをしなかったなんてことがある? 簡単にでもわたしの経歴を確認しなかった?
イタリア人庭師の言葉
翌日、ウィンチェスター邸に赴くと、庭師が作業をしていた。声をかけると、エンツォと名乗ったイタリア人庭師は英語が不得手な様子だった。
「ミリー」彼はまたきついイタリア訛りで言う。何か言いたそうだが、英語でどう言えばいいのかわからないようだ。「きみは……」
エンツォはイタリア語でひと言、語気鋭く言うが、玄関の鍵が開けられる音がしたとたん、前庭のさっきしゃがんでいたところに慌てて戻り、作業を再開させる。彼が口にした言葉はなんとか聞きとれた。ペリコロ。それがどういう意味なのやら。
屋根裏部屋のドアノブ
玄関から姿を現したニーナに屋内に案内され、ミリーが寝起きする屋根裏部屋に通された。しかしドアノブに手をかけて、その部屋のおかしさに気づいた。
「ニーナ?」
「うん?」
「どうして……」わたしは咳払いをする。「どうしてこの部屋の鍵は内側じゃなくて外側についているのですか?」
元は物置部屋だったから…とニーナは説明したが、木製のドアの内側には引っかき傷があった。反対側の窓も開け閉めできない構造だった。
ニーナが合い鍵を作ると約束してくれたものの、不安な気持ちで体を横にした。そして、イタリア人の庭師が口にした単語を思い出し、スマートフォンで調べた。
ブラウザの検索バーに文字を入力する。ペリコロ 意味。屋根裏だから電波が弱いのか、時間がかかる。一分近く経ってようやく、画面にペリコロの意味が表示される。
危険。
いかがですか。なんとも不穏な幕開けですよね。ページをめくるにつれて、雇い主であるニーナの異常行動が目立ってくるのですが、そんな展開では「世界がひっくり返る」は大げさですよね。
つまり、予想を超えた展開が待っているのですが、これ以上はネタバレになるのでやめておきましょう。
シリーズ化と映画化
訳者あとがきによると、
二〇二三年に本書『ハウスメイド』で国際スリラー作家協会賞のペイパーバック・オリジナル賞を受賞している。『ハウスメイド』はシリーズ化され、現在、二作目The Housemaid’s Secretと三作目The Housemaid Is Watching、短編の”The Housemaid’s Wedding”が発売されている。二作目の邦訳はそう遠くないうちに、お届けできる予定だ。
『ハウスメイド』は映画化もされ、本年十二月にアメリカで公開されるとのこと。
ということだそうです。2作目「ハウスメイド2: 死を招く秘密」(ハヤカワ・ミステリ文庫)は、昨年12月に発売されています。

映画はまだ本邦公開されていませんが、予告編を観ることができます。
とはいえ、「世界がひっくり返る」恐怖と驚きは、原作でぜひ味わってほしいので、下記予告編は「この紹介文ではおもしろみが全然わからない!」という方に限ってごらんください。
(しみずのぼる)
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