韓流ドラマといえば、記憶喪失、ドロドロの復讐劇、都合の良い展開だけが売りだと思い込んでいる人は、人生の半分を損しているとしか思えません。Netflixで独占配信中のパク・ボヨン主演の最新ドラマ『今日もあなたに太陽を～精神科ナースのダイアリー～』を観て、改めてそう思いました。（2023.11.18）
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精神科医療を丁寧に描く
わずか１２話で、韓流ドラマの中では比較的短いほうです。舞台は、精神科病棟。入院して、そこで癒やされていく人や、どうしても治癒が難しかった人、そして、なぜだかわからないけれども起きてしまう心の病の苦しさが、本人・家族・友人など周囲の悩みを含め、丁寧に、本当に丁寧に描かれていて、観終わった後でも、心の中に生き続ける、そんなドラマに仕上がっています。
パク・ボヨンの魅力
パク・ボヨンといえば、年齢不詳の童顔美女。小柄な体つきに、くりっとした目が印象的な女優さんです。
２０１７年のドラマ『力の強い女 ト・ボンスン』（全１６話）では、生まれつき超人的な怪力の持ち主を演じています。そのときの相手役は、アイドル出身のパク・ヒョンシクと、ちょっと不良っぽい感じのするジス（刑事役）。二人の男性から同時に思いを寄せられる設定は、ラブコメあるある、ですね。
生まれつきの怪力を持ちながらも、その特性に悩む、かわいらしいパク・ボヨンのギャップ萌えが記憶に残っている。
もう一つ、彼女の出演作で見逃せないのは、『ああ、私の幽霊さま』（２０１５年、１６話）です。幽霊が見える彼女は、幽霊役のキム・スルギを避けて見えないふりを続けていたのに、いつしか彼女の哀願にこたえて、どうして亡くなったのかを調べていきます。
チョ・ジョンソク演じるカリスマシェフとの恋愛模様もそれなりに魅力的でしたが、コメディー女優としても知られるキム・スルギの演技力に引っ張られるかのように、パク・ボヨンはこのドラマを通じて変わっていったように思います。
この世のものでないキム・スルギとパク・ボヨンの女同士の友情。夜中に楽しそうにスキップする彼女たちの姿は微笑ましく、名シーンだったなあと思います。
誰しも心は壊れやすい
でも、今回の『今日もあなたに太陽を』には、怪力も、幽霊も登場しません。それなのに、ドラマとして成り立っているのです。
それはパク・ボヨン一人の魅力にもたれかかるのではなく、精神科の医療というふだん私たちが知らない世界を描いているせいもあるのでしょう。誰しも心は壊れやすいんだ。壊れそうになったときには助けを求めてもいいんだ……という視点で物語が展開していくのです。
うつの症状を床にのめりこむ映像で表現したのも、秀逸です。心の変調の兆しをどうとらえるか。自分でも気づかないうちに病んだ時に、どうしたらいいのか。病んだ人への偏見をどう解決したらいいのか。いろいろなことを考えさせられるドラマでもありました。
私自身は、ク・ヘソン主演の『花より男子』（２００９年）、ヒョンビン×ハ・ジウォン主演の『シークレット・ガーデン』（２０１０年）から、韓流ドラマをよく見るようになりました。夫のほうは最近『トッケビ』（２０１６年）を見て、ずっとＯＳＴをかけながら仕事をしている様子。何だか周回遅れだなあとボヤいきたくもなりますが、それでも、魅力を少しでもわかってくれる人が身近にいるのは心強いです。
心のひだを豊かにしてくれる、そんな韓流ドラマの世界にどっぷり漬かりながら、秋の夜長を過ごそうと思っています。
（ruru）
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