損切りすることの2つの効用

損切りすることの2つの効用

個人投資家の書いたものやインタビューを読んでいると、いちばん難しいのは損切りだという気がしてきます。自分も損切りがいちばん苦手なのですが、年末に向けて譲渡益がかさんでいたので、株価が上昇したきのう、一気に損切りしました。損切りの”効用”の確認方法を含めて共有します(2023.11.16) 

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評価損に割り切れない感情

不労所得の積み上げに大きく貢献するのは配当金・分配金です。ですから、できるだけ配当利回りのよい銘柄を購入していくーーこれが配当株投資と呼ばれる方法です。 

配当株投資を提唱する配当太郎氏の著書の紹介はこちらをごらんください。 

インカムゲインを重視するなら、株価の上昇による利益ーーキャピタルゲインは関係ない。ここまでは何とか気持ちの整理はつけられますが、株価の下落による損は? 理屈上は「関係ない」が正解でしょうが、そうはならないのが人の感情というものです。

マイルール持つ投資家も

損切りが上手な人は投資上手とも言われますが、「評価損の割合が10%を越えたら自動的に売る」という人もいれば、「減配されたら『当初の目算が誤っていた』と素直に認めて損切りする」という人もいます。つまり、感情に惑わされず自動的に切ってしまうーーというマイルールをあらかじめ決めているわけです。 

でも、裏を返せば、それだけ人の感情は揺れ動くものーーそれが損切りなのでしょう。 

利回りに幻惑される

損切りが難しいのは、株価が下落しても配当利回りが上昇するので、一見、利回りがよく見えてしまうことも一因です。「株価は下がったけど、利回りはまだ2%台だから…」などと、自分で自分に言い訳したりする始末ーー。 

今回わたしが損切りした銘柄もまさにそうでした。購入した時は、配当利回りが5%台で、一時はかなり値上がりして、妻名義も併せて評価益が40万円ぐらいまで上昇していたのです。 

ところが、その企業は今年6月に減配を発表。一気に評価損が20万円超となり、以後、一度もプラスに転じないまま…という銘柄でした。 

配当利回りは2%台半ばで、ほかに1%台のところもあるから売り急がないでもいいか、また復調するかもしれないし……と、半年近くズルズルと引きずってしまいました。 

でも、ここを売れば200万円以上の資金を現金化できます。それで高配当銘柄を買えばいいじゃないか……。 

理屈ではそうだとわかってはいるのですが、いったん40万円もの評価益を見てしまったものですから、なかなか踏ん切りがつかず、昨日まで引っ張ってしまったという次第です。 

50万円の損切り断行

さて、それでもきのうは日経平均株価(225種)の終値が前日比823円77銭高の3万3519円70銭と、今年最大の上げ幅でした。わたしが損切り候補にしていた銘柄も(ほんのすこしですが)株価が上昇しました。 

加えて、以前から欲しいと思っていた銘柄が大きく値を下げて割安となったことから、「これは天が『損切りせよ!』と背中を押してくれているのだ」などと”自己暗示”をかけながら、一気に損切りしました。 

損切り額は、わたし名義で24万8100円、妻名義で25万2510円。ふたり合わせて50万円超の損切りでした。 これにより300万円近い資金を現金化し、200万円ほど新たに高配当株を購入しました。

損切りの最大の効用は、先ほども書きましたが、 

《このまま持ち続けるよりも、損切りしてでも一定の資金を手元に戻して、それで配当利回りのよい銘柄を買ったほうが賢い選択だ》 

というものです。 

でも、これだけだとどうも背中を押してくれるに弱い……。そんな気持ちを吹っ切るため、自分が今回心の支えにした第2の効用ーーそれは収める税金が安くなることです。 

税金が安くなる

下記の図をごらんください。これは毎日更新される譲渡益と配当金・分配金の総額、それにかかる源泉徴収額の図です。譲渡益が106万4682円で、源泉徴収額が21万6279円となっています。 

配当・分配金合計や総額等の数字を削っています

でも、次の画像をごらんください。これは損切り前の数字です。131万2782円の譲渡益に対し、源泉徴収額が26万6681円です。

損切り前の数字(配当・分配金合計等の数字は削っています)

今回の損切りで、収める税金が差し引き5万402円ほど少なくなったというわけです。 

なお、このデータは楽天証券の場合、右上のマイメニューを押すと下記画面になるので、赤く反転している「特定口座損益(譲渡益税)」をクリックすれば出てきます。毎日更新されるので、定期的に確認するとよいでしょう。 

損切りして得たお金で高配当株を買い、収める税金も少なくなるーー。こんなふうに損切りの効用を心の支えにしてみてはどうでしょうか。 

マイルールを持とう

もちろん、その道の”プロ”の言うとおり、評価損の割合が10%を越えたら自動的に切る、減配したら即座に切るーーというのでも構いません。自分なりの”マイルール”を作られるとよいでしょう。わたしの今回の踏ん切りも参考にしていただければ幸いです。 

なお、損切りについては過去に記事を2度書いているので、併せてお読みください。 

(いしばしわたる) 

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