ライフの記事(えっ、リボ払いにしてませんよね?)で、リボ払いでトラブルになる人が若い世代に多いことを書きました。トラブルになる人は100%確実に支出の管理がまったくできていません。マネー全般にかかわる話ですので、きょうは支出管理の大切さについて書きたいと思います(2023.8.3)
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月収の3~4倍のバック
某有名ブランドに勤める知り合いがいます。そのブランドのバッグは数十万円もするのですが、主な購買層は20歳代の女子なのだそうです。
20歳代なら月収は手取りで20万円前後でしょうから、月収の3~4倍もするバッグを欲しがるということです。
その話を聞いて、「ああ、こういう人がリボ払いを使ってしまうんだろうな」と思ったものです。
それでいて「早く仕事から解放されたい、目指すはFIREだ!」と思っている若者も多いわけで、「ああ、だから投資詐欺なんかに引っ掛かるんだろうな」と思ったりもします(投資詐欺については「儲け話に引っ掛からないようにしよう」をご参照ください。なお、FIREとは、Financial Independence, Retire Earlyの頭文字をとった言葉で、日本語に訳すと「経済的自立と早期リタイア」の意味です)
資産運用にはかならず原資が必要です。その原資は、単純な数式「収入ー支出=余剰資金」によって生み出されるものです。
収入を増やすのは大変です。だからこそ、支出をかならず収入以下に収め、その差額を少しでも大きくすることで、余剰資金を生み出す。それしか方法はないのです。
それなのに、収入の3~4倍もするブランドバックを欲しがるようでは、リボ払いの地獄にはまるのは時間の問題ですし、その悪弊を断ち切れなければ、最後は多重債務地獄に堕ちていくだけです。
最初に見直すべき通信費
資産運用の手本として何度も紹介してきた両@リベ大学長さんの「お金の大学」(朝日新聞出版)ですが、「STEP1《貯める》」のいちばん最初の項目がなんだかわかりますか。
「スマホは格安SIMに変えよう!」です。とても地味に感じませんか? でも、わたしも最初に見直すべきは通信費だろうと思います。
1番初めに見直すべき固定費は「通信費」や。君、今スマホはどこのキャリアで契約してるん? ほんで、毎月いくら払ってんの?
もちろん超大手のdocomoだよ。月々8000円くらいかな?でもスマホにかかるお金ってドコも一緒じゃないの?
全然一緒ちゃうで。大手キャリア同士は大差ないけど、「格安SIM」に乗り換えれば、それだけで毎月5000円以上の節約になるんや。もし4人家族全員で乗り換えたら、およそ月2万円の節約やで。

「格安SIM」は、MVNO(仮想移動体通信事業者)がドコモやauといったMNO(移動体通信事業者)から通信回線を借りて提供する通信サービスです。ちなみに、シェアトップは「IIJmio」です。
「お金の大学」は2020年の出版ですから、その後、3大キャリアがサブブランドを始めて料金を大幅に引き下げたため、「格安SIM」の価格面の優位性は、2020年当時とは相対的に下がったのは間違いありません。
でも、「レ点サービス」(あるいは「レ点営業」「レ点ビジネス」)という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
レ点サービスほとんど不要
オプションサービスを一覧にした書類の欄にレ点を記入させて契約の同意を得ることからこう呼ばれるのですが、このレ点サービスがいちばん横行しているのが通信キャリアです。
本当に必要なサービスかよく吟味せずに勧められるままレ点にチェックしてしまうケースが多く、特に「新規契約時だけ1年間無料」などのセールストークに引っ掛かってしまいがちです。だから、通信費は固定費見直しの最初の一歩だとわたしも思うわけです。
ちなみに、わたしは格安SIMが登場してすぐの頃、MVNO時代の楽天モバイルに乗り換え、楽天モバイルがMNO化しても使い続けています。
事業用(主に外出時のテザリング用)とプライベート用の2台持ちで、写真の「利用料金」は2台分です。事業用は基本料金(月額980円)の月がほとんど。プライベート用も(動画は見ずに電子書籍を読む程度の使い方なので)20ギガを越えたことがありません。
しかも、支払いは楽天ポイント(期間限定ポイントもOK)が使えるので、通信費は毎月ゼロ円です(楽天ポイントについては「ポイ活するなら楽天経済圏の住人になろう」と「証券口座なら「楽天」「SBI」の2択」を参照してください)
もちろんオプションサービスは一切つけていません。

FIRE入門書に共感
「収入ー支出」の大切さを唱える本を一冊紹介しましょう。
数あるFIRE入門書のなかで、わたしがいちばん共感したのが、穂高唯希氏の「本気でFIREをめざす人のための資産形成入門」(実務教育出版)です。
穂高氏は、慶応大学を卒業して三菱グループの大企業に入社してすぐにFIREを決意し、収入の8割を資産運用の資金に充てて、30歳でFIREを実現した方です。
穂高氏の資産運用は高配当株・連続増配株をひたすら購入するというスタイルですが、穂高氏がそれに勝るとも劣らず力説しているのが「収入ー支出」の最大化です。
資産形成する際に重要な核心的要素は、次の2つに集約されます。
1,「収入ー支出」の最大化
2,運用利回りの最大化
このうち、資産を形成する際に徹底すべき基礎とは、「収入ー支出」の最大化です。私が20代で資本を蓄積する際に一貫して腐心してきたことは、この「収入ー支出」の最大化という基礎の徹底に尽きます。
(略)
収入を1円増やすには相応の労力が必要ですが、支出を1円減らすには心がけや知識・発想次第で容易に可能です。

穂高氏の「支出最適化15選」
この「収入ー支出」の最大化を実現するための方法として、穂高氏は「私が編み出した支出最適化15選」を披歴しています。その15項目は次のようなものです。
- ペットボトル飲料を買わず、水筒持参
- たばこを買わず、たばこ株を買え
- 飲み物は白湯でOK
- デートは、公園で手作り弁当ピクニック
- 書籍は図書館利用(新刊は予約)
- 会社の飲み会は必要最低限
- 株主優待を活用すべし
- 散髪はセルフカットか、1000円カット
- 携帯は格安SIM
- プールやジムは公共施設を活用
- コンビニでの買い物は避けよ
- 買い物カートは使わない
- 支払いは現金ではなくクレカで
- 保険には入らない
- 階段は資源
いかがですか。「お金の大学」同様に9が入っていますね。「お金の大学」も「実はほとんどの保険は不要!」と書いているので、14もあてはまります。
地道な努力が不可欠
わたしも、5以外はほぼほぼ実践しています(書籍だけは自分で買わないと気が済まないので、これは唯一の贅沢と割り切っています)
1と11はまったく同感です。前に記事(さりげなく誘導するナッジ理論とは)で書いたとおり、コンビニはなるべく使わないようにしていますし、水道水を入れた空きペットボトルを持って夫婦で散歩するのが日課です(妻はふざけて「きょうもエビアンという名の水道水を持っていこう」と掛け声をかけます)
10と7もその通りですね。また別の機会で書くかもしれませんが、わたしの場合、プールやジムは「セントラルスポーツ」と「ルネサンス」の株主優待で得た無料チケットを活用しています。
こういう地道な努力が資産運用には欠かせないのです。
ブランドバックに走るような人には馬耳東風とあきらめていますが、そうでない人は、穂高氏の15選を参考に、ぜひ「収入ー支出」の最大化に取り組んでみてはいかがでしょうか。
【追記】両@リベ大学長さんの「お金の大学」は改訂版が出版されました。以下の記事に読後の感想をまとめています(2025.1.12)

(いしばしわたる)
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