「人は変われる」と実感できる…青木さやかさんのマネー本

「人は変われる」と実感できる…青木さやかさんのマネー本

タレントの青木さやかさんの新刊「お金まわりを見直したら人生が変わった」(日経BP社)を読みました。自分と違い過ぎて参考になる部分は少ない…と思いましたが、それでもおもしろく、考えさせられることの多かった本でした(2025.12.28) 

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「どこ見てんのよ!」でブレイク

青木さやかさんは、 

「どこ見てんのよ!」というフレーズでブレイクした 

と紹介されることが多いようですが、わたしはあまりお笑い番組をみる習慣がないため、そのフレーズを聞いたり見たりした記憶がありません(申し訳ありません) 

そんな自分に縁遠いタレントさんの書かれた本をなぜ読んだかと言えば、紹介記事が目にとまったからです。THE GOLD ONLINEの「青木さやか、71歳で亡くなった「不仲な母」がのこした“お宝2000株”を売却しNISAへ…証券口座の「リアルな資産残高」を公開」という記事です。 

義父が今年春になくなり、妻がまさに義父の遺した国内株を相続したため、青木さんのケースに興味が惹かれたわけです。 

令和元年に母が71歳で亡くなりました。数年間闘病し、意識は最後までしっかりとしていたので見事に「終活」をして旅立った。

自身の葬儀や大切な人への手紙の準備。そして弟と私に、大きな財産をのこしてくれた。きっともめないよう、大体半分ずつに分けてありました。今になり、それがどれほどすごいことで、ありがたいことなのか身に染みます。

坂本 お母様は、本当にいい株をのこしてくれましたね。
青木 先生からみても?
坂本 そうですよ。お母様の選択は素晴らしいですよ。私も子どもに、いい株をのこしてあげたいと思いました。

いなくなって初めて、母の偉大さを、よそさまの言葉で知る。長い間不仲だった私と母だったが、最期に、母はどうやら私を大切に思っているようだ、と感じることができました。そして、生きている時より今のほうが母を身近に感じる。ありがとう、お母さん。3社の株も、ありがとうございます。

THE GOLD ONLINE – 青木さやか、71歳で亡くなった「不仲な母」がのこした“お宝2000株”を売却しNISAへ…証券口座の「リアルな資産残高」を公開

文中の「坂本」は1級FPの坂本綾子さんで、青木さんの本の監修者です。

よく分からないが、仰せのとおり

坂本さんは青木さんに次のように勧めます。 

坂本 さやかさん、この株をどうしますか?
青木 え、横ばいもありつつ、上がり続けている感じしませんか?
坂本 これ、売ってもいいかもしれませんね。
青木 え、この上がっている2000株を?
坂本 今、株価は“踊り場”ですから。“踊り場”とは、株価が一時的に停滞する状況で、同じくらいの株価でまた買える可能性が高いんです。さやかさん、売るならその売却益をNISA口座に入れましょう。
青木 銀行口座じゃなくてですか?
坂本 NISA口座で商品を買うと非課税になりますからね。
青木 よく分からないが、仰せのとおり。

よく分からないが、仰せのとおり…だなんて、お金まわりのことで本来はNGでしょうが、この本はもともと「日経ウーマン」の連載エッセーを書籍化したもの。お金まわりのことがチンプンカンブンの青木さんに対し、「日経ウーマン」編集部が用意したFPさんが様々な助言を行って、青木さんのお金まわりに関する意識の変化を読者にお届けしよう…という企画です。 

ですから「仰せのとおり」でも、まあ仕方ないでしょう。 

なりゆき…カッコいい?

坂本さんの助言はつづきます。 

坂本 損している株もありますね。もうかっている株と損している株を同じ年に売れば損益通算できますよ。
青木 損益通算とは?
坂本 同年分の利益と損失を相殺することで、税金を減らすことができます。
青木 分かりました。
坂本 証券会社に電話して、「損益通算できますよね?」と聞いてください。そしてまずは500株を売りましょう。
青木 はい!
坂本 そして電話でこう言ってください。「A社の株500株とC社を売りたい」と。こう聞かれます。「ご希望のお値段は?」そうしたらこう答えてください。「なりゆき」で!
青木 カッコいいですね、「なりゆき」。どういった意味ですか?
坂本 いくらでもいいから、という意味です。

成行注文かあ…わたしも最初はわからず成行注文しちゃったけど、もう指値注文しかしないなあ。まあ、青木さんは超・初心者だから損益通算以上の情報はムリと判断したんだろうなあ…… 

などと、いろいろな感想が頭をよぎるのですが、やりとりが軽妙でおもしろいし、読みやすい。そう思って電子書籍で注文、さっそく読んでみたというわけです。 

消費者金融が「ワタシの銀行」!?

読後の感想を最初に言っておくと「参考にならなかった…けどオモシロイ!」というものでした。 

「参考にならない」のは仕方ないですよね。青木さんはNISAも知らなければiDeCoも知らない状態。こちらはNISAはフル活用してるし、iDeCoはもう取り崩して恩恵を享受してる真っ最中。 

ねんきん定期便」のことも出てきますが、青木さんはフリーランスですから国民年金だけ。一方、我が家はわたしも妻も会社勤めで(まだ受給開始年齢前ですが)ダブルで国民+厚生年金です。 

そもそも、 

私はだらしのないタイプで、ケチと思われるのを嫌うタイプでもあります。あればあるだけ使うのが得意。30歳で先の「どこ見てんのよ!」が超絶大ブレイクするまではバイト生活。バイト先も寝坊で各所クビになり、昼はパチンコ、夜は雀荘へ。ついに消費者金融を「ワタシの銀行」と名付けては自転車操業を繰り返し… 

もう、こんな文章を読めば、参考になるはずないじゃないですか! 

僕のほうが資産ありますからね

にもかかわらず「オモシロイ!」と思えたのは、青木さんの赤裸々な文章力のなせるワザでしょう。 

例えば、後輩芸人さんとの軽妙な会話。 

ある日の銀座の昼下がり。「青木さん、いつも僕におごってくれますけど、青木さんより僕のほうが資産ありますからね」「え」「僕は家のローンも払い終わっていますし」「お金ないかと思ってた。いや、あるとかないとかじゃないけど」「お金ないフリをしてますから。でも実際あるんで」「じゃあ今度おごってもらうわ」「すみません、イヤです」「なんなの、あんた」「貯めてますから。だいたい、青木さんすぐスタバ行くじゃないですか、僕は水筒でいいんで」「スタバおごってもらった後によく言うね」 

わたしも「水筒」(正確には空きペットボトルに水道水)派ですから、意識は後輩芸人さんに近いわけで、思わずクスリと笑ってしまいました。 

坂本綾子さんの「ひみつ!」

坂本綾子さんとの会話も紹介しましょう。 

青木 お金の専門家である坂本先生に質問!お子さんにいくらお金を残したいと考えていますか?
坂本 世の中的には『DIE WITH ZERO』(ダイヤモンド社)という本が支持を得ています。これはお金の「貯め方」ではなく「使い切り方」に焦点を当てたこれまでにない「お金の教科書」で、お金は残さないという本なんです。
青木 なぜ残さないことを推奨しているのでしょう。
坂本 人生を豊かにするには経験にお金を使うこと。年齢と体力に合わせて、やりたいことを先伸ばしせずお金を使い切って思い出に満ちた人生をつくること。ですが、私は子どもにもできれば残してやりたい。実際には自分の老後のやりくりで手いっぱいかもしれないけれど。
青木 そうですか、具体的には500万円くらいですかね?
坂本 ひみつ!

「ひみつ!」は爆笑しました。 

青木 それより多いと見ました。先生のようなお立場だと、お子さんにはお金の指導もするのですか?
坂本 言いますね、とにかく貯めろ、NISAやりなさい、と言っています。
青木 iDeCoでなく、NISAなんですね!
坂本 ”NISAは若者、iDeCoは中年以降”と覚えてください。
青木 標語のようで素敵です!

このように本書は徹頭徹尾、軽妙なやりとりでお金まわりのことが書かれています。 

人は変われるんですね

あとがきで坂本さんが次のように書いています。 

「え?どうして?入れない、もう無理」とログインを試みるも、うまくいかない姿を何度も目にし、「青木さんはネット取引が苦手」と私の脳に刷り込まれたわけですが…、数カ月たたないうちにくつがえされました。
「〇〇の株を買ったんですよ!」、誇らしげに語る青木さんは、当初おっかなびっくりだった投資が面白くなったようで、いつのまにか証券会社のアプリにも簡単にログインできるようになっていました。NISAの成長投資枠で気になる株を買い、自分の判断で使いこなしていたのです。

人は変われるんですね。自分が面白いと思ったことを通して。そして、そこから苦手分野も克服される可能性があります。

最初の半年ほどは、ゆっくりとした歩みでしたが、後半の成長ぶりは目覚ましいものでした。

消費者金融を「ワタシの銀行」と呼んでいた人が、どんなふうに変わるのか。

「人は変われる」ということをとてもよく実感できる本です。しかも、クスリと笑えるところが満載です。オススメです。 

(いしばしわたる) 

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