「共働きだからペアローン」は常識か…減税の仕組みとデメリット

「共働きだからペアローン」は常識か…減税の仕組みとデメリット

人生で最も高い買い物は間違いなく「住宅」です。共働きが当たり前になった今、ふたりでローンを組めば、かなり高額なマンションにも手が届きます。でも、不確かな知識で住宅を購入すると「こんなはずじゃなかった」というケースも起きがちです(2024.4.4)

〈PR〉

お仕事の種類は246種類!在宅ワークならクラウドワークス

ペアローンでないと…って本当?

育児休暇中の知人がこの春、都心に数千万円の戸建て住宅を買うことにしたそうです。夫婦共働きだからペアローンを選択したとのこと。

「ペアローンにすれば夫婦それぞれ住宅ローン控除が受けられるそうだから…」

その場で「あれ?」と思いました。というのも、我が家の場合、初めて購入したマンションは夫と私で持ち分それぞれ2分の1、住宅ローンは夫だけ負担する形で、住宅ローン控除は夫婦とも享受できたからです。

ただ、我が家がそうだったから……程度では自信を持ってアドバイスできません。その場は何も言わずに別れました。そして、家に帰って調べてみると、やはりペアローンでなくても、住宅ローン控除を夫婦そろって受けられることがわかりました。

制度的には、夫に住宅ローンをかける場合、妻が「連帯債務者」になっていれば、夫婦で住宅ローン減税は受けられます。ただし「連帯保証人」だと受けられないので注意が必要です。

連帯債務=OK / 連帯保証=NG

連帯保証人なのに税務署から「妻分の住宅ローン控除は受けられない」と指摘されたケースが記事になっていました。その相談内容への回答がわかりやすくまとめています。

 このケースは連帯保証人と連帯債務者を間違えていると思われます。
 たぶん相談者様は、借入れをするときに妻と2人で同等に借入れをしたいと考えていたため、住宅の持分も妻と2分の1ずつにしたと思われます。
「連帯債務」は文字通り2人がそれぞれ債務者となる制度です。したがって、夫、妻ともに返済をする義務があります。
 一方、夫が支払い不能になったような場合に、夫の代わりに返済をする必要があるのです。したがって、夫が支払えるうちは、債務者とはいいません。
 ご質問の誰の借入れなのかという点については、あくまでも夫の借入金であり妻の借入れではないということです。したがって、お金を出していない妻に名義が住宅に半分ついていますから、その分は贈与税の対象になります。また妻は借入金がないので住宅ローン控除を受けることもできません。
 では、このようなケースはどのようにしておけばよかったのでしょうか。
 もし妻に収入があり、返済していくことが問題なくできるのであれば、「連帯債務者」にしておけばよかったということです。
 連帯債務の場合には、特に特約がなければ物件の持分に応じて借入金の負担を決めることになっています。今回のケースでは、妻は2分の1の持分を持っていますので、2分の1を妻の借入金として認識できます。妻の住宅ローン控除も受けることができます。

Q:住宅ローン控除について納得できません!

別の記事にも同じことが書いてあります。

 夫も妻も住宅ローン控除を受けたい場合、夫婦がそれぞれ住宅ローンを借りる「ペアローン」か、2人で1つの住宅を「連帯債務」で借り入れることが必要です。
 夫婦が連帯で借り入れる場合には、連帯保証という方法もあります。これは夫名義で借りた住宅ローンに対して、妻が連帯保証人として契約するといった場合を指します。
 しかし、連帯保証の場合、2人ともが住宅ローン控除を受けることはできません。したがって住宅ローン控除を受けるためには連帯債務で借りなくてはなりません。連帯債務型の住宅ローンを取り扱う金融機関は少なくなっているので、あらかじめ住宅ローンを組む予定のある金融機関に連帯債務での取扱いがあるか確認しておいたほうがよいでしょう。

共有名義のマイホームは住宅ローン控除が2人分! メリットを最大限に生かすには?

このようにペアローン以外にも夫婦そろって住宅ローン控除が受けられる仕組みはあるのです。

ペアローンのデメリット

ペアローンには、いくつかのデメリットがあります。

<1> 保証金や諸費用が、夫と妻、それぞれに必要になる。

ローンをどの金融機関で借りるかにもよりますが、100万円単位で保証金はかかります。倍になってしまうのは痛いです。

<2> 団体信用生命保険も、夫と妻、それぞれに入る必要がある。

これをデメリットとみるか、メリットとみるかは人によって違うかもしれませんが、夫婦それぞれが債務者になるので、保険料もかさみます。死亡、高度障害になったときにローンが消滅するのは魅力かもしれませんが……。

<3> どちらかが退職するなど、収入に変動があった場合でも支払いは続く。

安定した手堅い会社に勤めてる人なら、あまり心配はないかもしれませんが、債務がふたつに分かれていて、たとえ収入に変動があっても返済は続くのです。どちらかが肩代わりするという話し合いができていれば別ですが、この点も、よく加味すべきでしょう。

返済額は年収の20~25%以内に

もちろん、今は首都圏のマンションや住宅市場が爆上がりしていて、ペアローンでないと手が届かないという事情があるのでしょう。

ただ、(前述の私の知人はそうではないようでしたが)頭金をしっかり確保しないまま、多額のローンを組むのはやはり慎重であるべきです。住宅ローンを借りるなら、返済額を年収の20%から25%に抑えるべきと言われています。

夫婦合わせて手取り年収がいくらか、頭金がどのくらいあるのかなどによって、購入できる住宅の条件は変わっていきます。

物件選びも慎重を期して

また、物件選びは時間をかけて、慎重にも慎重を期しておくことです。

以前、わたしの知り合いで新築住宅から1か月で引っ越すことになったケースがありました。何と入居してみたら「地下鉄の振動音が聞こえて、眠れない」という”欠陥”住宅だったそうです。

そんな目に合わないためにも、物件選びと住宅資金の捻出法については、夫婦で知恵を総動員してほしいものだと思います。

(ruru)