2回連続で行動経済学について取り上げました(「無駄遣いを行動経済学から考えよう」と「さりげなく誘導するナッジ理論とは」)。「入門書レベルでいいので、行動経済学の本を何冊か目を通しておけば、投資詐欺のようなケースにも理性が働く」と書きましたので、最初に手にとるとよいと思う、とっておきの一冊をご紹介します。「ヘンテコノミクス」(原作=佐藤雅彦・菅俊一 画=高橋秀明 マガジンハウス)です(2023.7.22)
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電通クリエイターの漫画が秀逸
入門書なら、これまでの記事で引用した2冊ーー阿部誠氏の「サクッとわかるビジネス教養 行動経済学」(新星出版社)と平野敦士カール氏の「思わずためしてみたくなるマンガ行動経済学1年生」(宝島社)はもちろんおすすめです。どちらも、とてもわかりやすく書かれています。
それなのになぜ別の本をすすめるかと言うと、「ヘンテコノミクス」は、漫画仕立てで行動経済学を取り上げているからです。しかも、高橋秀明氏が描く漫画がどれも秀逸です(高橋氏は大手広告会社「電通」の著名クリエイターです)
幸いなことに、アマゾンの同書のページでは、「第1話『塀の落書き』の巻-アンダーマイニング効果」がそっくり読めるようになっています。
私たち人間は通常、報酬があるとやる気を起こします。
しかし、人間とは不可思議な生きもので、
時として、報酬によって逆にやる気をなくしたりします。
悪ガキどものいたずらに業を煮やした爺さんが取った行動は、
意外や意外こんなものでありました。


いかがですか。続きが読みたくなってきたでしょう。
ここには本当の経済学がある!
同書の帯に「ここには本当の経済学がある!」と大書され、背表紙側には中身のエッセンスが紹介されています。
なぜ、イチローは国民栄誉賞を辞退したのか 【アンダーマイニング効果】
なぜ、そこでは500円のコカコーラが売れるのか 【フレーミング効果】
なぜ、同じ24°Cでも、夏は涼しく、冬は暖かく感じるのか 【参照点依存性】
なぜ、あなたは、今日、そのランチを選んでしまったのか? 【極端回避性】
そして、各話の最後に必ず結びの言葉として出てくるフレーズが書いてあります。
人間とは、かくもヘンテコな生きものなり。
第2話以降は、是非、本書を購入してご一読ください。
(いしばしわたる)