中古車販売・買取などを行う株式会社ビッグモーターの不正事件が連日メディアを賑わしています。不正の背景として厳しい営業ノルマがあったとの報道もあり、いわゆる「ブラック企業」の典型だったようです(2023.8.8)
〈PR〉
ニュースで学ぶ、生きた英語。「The Japan Times Alpha」ブラック企業を避けるには
大学生にとって、新卒採用は人生唯一と言ってよい機会です。それなのに入社した会社がブラック企業だったら泣くに泣けません。入社してから後悔することのないよう、就活が本格化する前に企業選びをきちんとしておかないといけません。
とはいえ、どうやってブラック企業かどうかを見極めたらよいのでしょう。
そこで活躍するのが「就職四季報」(東洋経済新報社)です。
「就職四季報」は毎年秋に最新版が出ますが、わたしなら大学1年生の秋にはまず1冊買い求め、2年生で2冊目、就活本番の3年秋にさらにもう1冊と、都合3年連続で買い求めるでしょう。また、毎年夏に発行される「業界地図」(東洋経済新報社)も、併せて購入するようにしたいところです。両書はそれだけの価値のある本だと思います。
「就職四季報」の読み方は、以前の記事(就活は恋愛に似ている)でも紹介した「『就職四季報』パーフェクト活用術」(東洋経済新報社)が必携です。
ブラック企業か否かを探るひとつの指標として知られているのが、新卒から3年以内に離職した人の割合ーー「3年後離職率」です。以下、「活用術」から引用しましょう。
「3年で30%」が目安
たくさん採用していても離職者が多くては元も子もない。
実際に、新卒者がたくさん辞めることを見越して、あらかじめ多く採用する会社はよくある。
「ついて来られない人は辞めてもかまわない」という割り切り型の採用をしている会社だ。
ガッテン承知ならよいが、知らずに入社してしまったら大変だ。
(略)
大卒以上の新入社員の3年後離職率は30%が大きな目安となる。各社の人事部門でもかなり意識される数字だ。
だから、NA(No Answer)の場合はこれより高いという可能性も大いにある。高い数字を発表するよりは秘密にしておいたほうが印象がよいからだ。
就職四季報の掲載会社の平均は15%前後で、「3年で3割」よりもかなり低い。
これには、掲載会社が比較的労働環境のよい大手有力会社が多いことに加え、離職率の高い会社がNAにすることも効いていると考えられる。
3年で3割も辞めるのか…..と思う一方、以前のように終身雇用制が当たり前の時代ではなくなって、若者のほうにも、会社にしがみつくよりは「転職が当たり前」と思う傾向があるような気がします。
ですから、いちがいに3年後離職率がブラック企業のバロメーターになるとは言えないでしょう。
しかし、事前に調べておくべき指標であるのは間違いありません。
「活用術」は、会社全体の離職率にも着目することを指摘しています。
会社全体の離職率にも着目を
全体離職率は、3割などという高率になることはまれだ。
いつものように全社チェックしてみると、特殊要因がない場合は5%を越えれば高いほうだといえる。
ただ、「3年後」と同じく、離職率が高いゆえに開示しないと言う可能性がある。NA(No Answer)には要注意だ。
ちなみに、「就職四季報」の最新版(2024年版)は、巻頭に「先輩就活生が選んだ重要データランキングベストほぼ100社」という特集を掲載しています。
- 採用人数
- 新卒定着率
- 平均勤続年数
- 平均年収
- 有給取得
の5項目です。新卒定着率ランキング100社のうち90社は、100%の定着率。つまり、新卒から3年後に1人も離職していない企業というわけです。
「就職四季報」の見方は「活用術」を参考にするとして、やはり「就職四季報」の実物は大学生になったら手元に置いておき、気になる企業や業界があったら辞書のように調べる癖をつけておくとよいでしょう。
(いしばしわたる)