損益通算の仕組みを賢く使おう

損益通算の仕組みを賢く使おう

きょうは損益通算について紹介します。大半の方は証券口座を開設する際に「特定口座(源泉徴収あり)」を選んでいるでしょうから、確定申告は不要です。ところが、確定申告すれば、源泉徴収された分を還付できるケースがあります(2023.11.2)  

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大半の人は確定申告不要

証券口座を開設する時、ほとんどの方は「特定口座(源泉徴収あり)」を選択していると思います(ほかに「一般口座」と「特定口座(源泉徴収なし)」がありますが、違いの説明は省略します) 

ご承知のとおり、売却益(キャピタルゲイン)も配当金(インカムゲイン)も約20%の税金がかかります(正確には復興特別所得税を含めて20.315%) 

「特定口座(源泉徴収あり)」であれば、源泉徴収されるので、確定申告の手続きは必要ありません。 

年間取引報告書の見方

売却益も配当金も、毎年1月上中旬に証券会社が作成する「年間取引報告書」を見ればわかります。以下、楽天証券のホームページからサンプルを載せましょう。 

詳細は楽天証券のホームページでご確認いただきたいのですが、ポイントは 

  • (5)譲渡の対価の額(収入金額) 
  • (6)取得費及び譲渡に要した費用の額等 
  • (7)差引金額(差損益金額)

の3つです。配当金は(5)に入りますし、売却で得た金額も(5)に反映されます。 

購入にかかった費用は(6)に反映され、評価損を出している場合は(5)より(6)の金額が大きくなります。その場合、源泉徴収分(所得税、住民税)は還付され、還付額は2ページ目の(17)に記載されます。 

したがって、1つの証券口座で「特定口座(源泉徴収あり)」を選んでいれば、評価損が出た時の還付を含めて証券会社がやってくれるわけです。自分で確定申告する必要はありません。 

複数の口座を損益通算

ところが、評価損があった場合に確定申告したほうがよいケースが2つあります。 

「株で損失が出たら確定申告をすべき?損益通算・損失繰越について解説」という記事が図解入りでわかりやすく解説しているので、該当部分を引用しましょう。 

1つ目が、複数の証券口座を持っているケースです。 

たとえばA証券で特定口座(源泉徴収あり)を開設し、ある取引で+5万円の利益、別の取引で▲3万円の損失を出した場合、A証券が源泉徴収を行う中で損益通算が行われて差額の2万円に課税されます。そのため本人による確定申告は不要です。 

しかしA証券とB証券で特定口座(源泉徴収あり)を開設し、取引実績がA証券で+5万円、B証券で▲3万円の場合、A証券では利益額5万円を基準に税金が源泉徴収されます。2つの証券会社の間で顧客の取引実績情報を共有して、利益と損失を相殺して差額2万円にかかる税金だけを源泉徴収してくれるわけではありません。 

参考URL:https://toushin-plaza.jp/column/kabu-sonshitsu/

過去3年分の損益通算

2つ目が、単一の証券口座でも前年、前々年に評価損があるケースです。 

▲4万円分の損失を翌年以降に繰り越すと、仮に翌年5万円の利益が出た場合は繰り越し済の損失と相殺できて差額の1万円にのみ税金がかかり、5万円を基準に源泉徴収がされても確定申告をすれば還付金を受け取れる流れです。 

このように評価損を繰り越して最大3年間は損益通算できるわけです。 

これは使わない手はありません。 

実は、わたしは来年から3年間、計画的に損益通算しようと考えています。24年1月からスタートする新NISAに合わせて、計画的に「損切り」しようと思っているのですが、その理由は次回書きます。 

損益通算の仕組みをきちんと理解しないと、わたしの計画的「損切り」の意味がわかってもらえないので、きょうは仕組みについて書きました。お楽しみに。 

(いしばしわたる) 

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