新NISAでお勧めの優待銘柄「10選」

新NISAでお勧めの優待銘柄「10選」

24年1月スタートの新NISAでは、つみたて投資枠で積立投資信託を、成長投資枠で高配当銘柄の国内株を購入するーーこれが我が家の方針、と書きました。すると知人から「株主優待銘柄を買う場合はどうしたらいいの?」と質問が。株主優待銘柄は5回にわけて書きましたが、新NISA向けの視点となると話は若干違ってきます。そこできょうは「新NISAで購入する優待銘柄なら、ここがおすすめ!」という銘柄を紹介します(2023.9.2)

【追記】お勧めしていた10銘柄の中で、業績予測を下方修正して減配した銘柄がありました。本文中にも追記しましたが、減配した銘柄を除外して原稿を書き直す必要が生じましたので、別記事をのちほどアップします(2023/10/30)

長期保有優遇の銘柄を狙え 

まず、これまで書いた内容のポイントを抜粋します。 

新NISAで購入した投資信託等の分配金、国内株の配当金や売却益はすべて非課税。

新NISAは損益通算ができないため、国内株なら売却益を狙うよりも、長期保有を前提とした高配当株の購入が望ましい。 

参考:成長投資枠では高配当株を買おう

この「長期保有を前提」というのがミソです。 

株主優待のある国内株には、長期保有者を優遇する優待を実施している銘柄があります。そういう優遇措置があって、かつ配当利回りが高ければ、それこそ新NISAでの購入にもっとも適した銘柄ではないでしょうか。 

まず、わたしが保有する銘柄で、長期保有優遇がある銘柄を配当利回りが高い順に8銘柄紹介します(銘柄の後の数字は証券コード、配当利回りは9月2日現在。記載のないものは100株以上の優待内容) 

長期優遇+高配当銘柄

スクロール(8005) 

 配当利回り:4.73% 

 株主優待:自社カタログ商品の購入等に使えるポイント1000円分 

 長期保有優遇:1年以上で500ポイント、2年以上で1000ポイント、3年以上で1500ポイントを追加 

 企業概要:生協向けカタログ通販からM&Aでネット通販等へ展開。 

【追記】スクロールは今期経常利益を一転20%減益に下方修正し、配当も6円減額を発表しました。23年3月期の配当が48円でしたから、24年3月期の配当は42円となります。減配により配当利回りは大きく後退しますので、お勧め銘柄から除外します(2023/10/30)

ウェルネオシュガー(2117) 

 配当利回り:4・25% 

 株主優待:自社商品1000円相当 

 長期保有優遇:3年以上で2000円相当に 

 企業概要:23年に伊藤忠製糖と経営統合し持株会社化、製糖2番手に。 

ヤマハ発動機(7272) 

 配当利回り:3・80% 

 株主優待:優待品から選択1000ポイント 

 長期保有優遇:3年以上で2000ポイントに 

 企業概要:2輪で世界大手。稼ぎ頭はマリン、産業ロボットも強化。

INPEX(1605) 

 配当利回り:3・52% 

 株主優待:クオカード1000円分(400株以上) 

 長期保有優遇:2年以上で2000円分、3年以上で3000円分に 

 企業概要:原油・ガス開発生産国内最大手。政府が黄金株保有。

ヒューリック(3003) 

 配当利回り:3・50% 

 株主優待:グルメカタログギフト3000円相当(300株以上) 

 長期保有優遇:3年以上で6000円相当に 

 企業概要:都区内の駅近接ビル中心に好物件保有、物件多角化へ。 

リコーリース(8566) 

 配当利回り:3・46% 

 株主優待:クオカード2000円相当 

 長期保有優遇:1年以上で4000円相当、3年以上で5000円相当 

 企業概要:中小企業が顧客基盤。集金代行や投資事業など強化。 

みずほリース(8425) 

 配当利回り:3・43% 

 株主優待:クオカード3000円相当 

 長期保有優遇:1年以上で4000円相当 

 企業概要:19年みずほFGの持分会社に。丸紅とも資本業務提携。持分会社にリコーリース。 

全国保証(7164) 

 配当利回り:3・36% 

 株主優待:クオカード3000円相当 

 長期保有優遇:1年以上で5000円相当(カタログギフトも選択可) 

 企業概要:独立系の信用保証大手。金融機関全業態と提携の住宅ローン向けが柱。

4%超の高配当で優待あり

次に、長期保有優待制度はないものの、株主優待を設けていながら、配当利回りが4%を超えている2銘柄を紹介します。 

長谷工(1808) 

 配当利回り:4・37% 

 株主優待:1回利用可能の優待券 

 企業概要:マンション建築首位。土地手当て、計画立案から施工まで一貫モデル構築。 

ゆうちょ銀行(7182) 

 配当利回り:4・25% 

 株主優待:カタログギフト3000円相当(500株以上) 

 企業概要:預貯金額で国内最大。国債主体の運用を近年多様化。営業は郵便局に委託。 

これで合わせて「10選」です。 

この10銘柄なら、新NISAの成長投資枠で購入して、長期保有すれば配当金も多く入ってきますし、株主優待も存分に楽しむことができるでしょう。 

貸株はしてはいけない 

ただ、長期保有優遇の銘柄は、ひとつだけ注意することがあります。 

それは「貸株はしてはいけない」という点です。 

貸株サービスとは、投資家が、保有している株券等を証券会社に貸し出すことで、証券会社からこれに見合う貸株金利を受け取ることができるサービスです。 

証券会社は、主に信用取引で株を空売りしたい投資家に借りた貸株を貸し出します。借りた側は「貸株料」を支払い、それが証券会社を通じて貸株をした投資家に支払われます。 

ほとんどの銘柄の貸株金利は0・1%ですが、それでも「塵も積もれば山となる」なので、配当金や株主優待に影響しない形で貸株している投資家は多いだろうと思います。 

たとえば、楽天証券の場合なら、権利確定のタイミングに借りた株を戻す「株主優待・予想有配優先」コースの貸株サービスが用意してあります(くわしくは楽天証券の貸株サービスのページをごらんください) 

ところが、長期保有優遇の銘柄の場合、貸株をしてしまうと、権利確定のタイミングだけ戻されても、長期保有とみなされないため、せっかくの優遇措置を受けられなくなってしまうのです。 

上記「10選」なら、長谷工とゆうちょ銀行は「株主優待・予想有配優先」で貸株をしても大丈夫ですが、それ以外の銘柄は「貸株はしてはいけない」というのが正しい選択です。 

みなさんの資産運用の参考にしてもらえたら幸いです。 

(いしばしわたる)