これからのリスクは「預金のまま」:インフレ時代の資産管理法

これからのリスクは「預金のまま」:インフレ時代の資産管理法

デフレの時代が長かったせいか、インフレ時代にふさわしい資産管理法がまだ体に染みついていない人も多いでしょう。最近読んだ2冊の新NISAガイドムックが強調していたのは、インフレ時代に「預金のまま」では資産を減らしてしまうこと。「投資はギャンブル?」「投資は怖い」の誤解を解かないままだと、あなたの資産は目減りする一方です(2024.4.7) 

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新NISAのガイドムック

最初に2冊のムックを紹介しましょう(どちらも最近「楽天マガジン」で配信されました) 

1冊は「新NISA完全ガイド 失敗しない!新・非課税投資のすべて」(晋遊舎刊)、もう1冊は「大人のおしゃれ手帖特別編集 はじめましょう新NISA」(宝島社刊)です。 

預貯金だけでは資産が減っていく

「新NISA完全ガイド」の「新NISAの基本 知らなきゃ損する7ルール」で解説しているのはマネーコンサルタントの頼藤太希さん。そのルール1が「”預金が一番”はもう古い! 預貯金だけでは資産が減っていく」です。 

日本銀行は物価安定の目安として、消費者物価の上昇率(インフレ率)を2%としている。一方で、都市銀行の金利は過去には8%近くあった時代もあるものの、現在は0.01%程度とほぼゼロに近い。目標通りにインフレが進んだ場合、この差の分だけどんどん資産価値は目減りしていくことになるのだ。 

物価上昇率2%が30年続いた場合は銀行預金の資産価値は約半分、物価上昇率3%が30年続いた場合は4割程度に減ってしまう。

「はじめましょう新NISA」の巻頭インタビュー記事「『新NISA』時代を賢く生き抜くお金の新常識」でアドバイスするのは、ファイナンシャルプランナーの高山一恵さん。御存知の方は多いと思いますが、高山さんと頼藤さんはご夫婦です。 

 ここ数年で一気にデフレからインフレ時代へと突入したこともあり、皆さんが想像している老後資金の2000万円は30年後には今の2000万円の価値がないお金になるかもしれないのです。
(略)
 物の値段は上がっており今まで通りの値段で買い物ができなくなっていることを、実感されている方も多いでしょう。今、お金の価値はどんどん下がっていて、今後も下がり続けると予測されています。
 もし今2000万円持っていたとしても、お金の価値がどんどん下がった30年後の2000万円では、同じ2000万円でも買える物が少なくなってしまうのです。

高山さんは卵の値段やリンゴの値段で説明していますが、中身は頼藤さんと一緒です。 

30年後にはお金の価値は半減

ムックからグラフを紹介するのは憚られるので、別のサイトから同様のグラフを紹介しましょう。大和アセットマネジメントの「人生100年時代読本」です。

インフレ率が2%で推移すると、
お金の価値は30年後にはおよそ半分に減ってしまいます。
インフレによって公的年金は実質的に減額されます。

大和アセットマネジメント「人生100年時代読本」

目減りに鈍感は現状維持バイアス

シミュレーションも可能です。30年というと実感が湧かない人もいるでしょうから、1000万円の資産価値がインフレ率2%なら10年後にどの程度目減りするか試算してみましょう。 

もし国内株の投資で、1000万円の元本に対して200万円近く評価損を出したら、心がズキンとするか、顔が青くなりませんか? 

それなのに、預貯金の200万円近い資産価値の目減りには鈍感なのは、行動経済学で言うところの「現状維持バイアス」(未知のものや変化を受け入れず、現状維持を望む心理作用)に陥っているからかもしれません。 

行動経済学についてはこちらもごらんください 
行動経済学で投資のしくじりを減らそう 

複利効果から早めの対策説く

頼藤さんは「新NISA完全ガイド」で「資産を守るには早めの対策が吉」とも書いています。 

投資で得た利益に利益が発生する「複利効果」は運用期間が長くなればなるほど大きくなる。同じ金額で投資するなら、できるだけ早く運用を始めたほうが効率よく資産を増やせることも覚えておこう。 

高山さんも「はじめましょう新NISA」のコラム「今すぐ投資をはじめた方がいい理由とは!」の中で、毎月1万円、年利3%で運用した場合、50歳から80歳までの30年間と、60歳から80歳までの20年間で貯まるお金をグラフで比べ、こう書いています。 

10年長く投資すると、その差は255万円と大きな金額に。投資することを先延ばしにするより、今はじめた方がお金が貯まるスピードは速くなります。

複利効果という単語こそ使っていませんが、言っていることは頼藤さんと一緒です。 

「さすがご夫婦!」と言いたくなりますが、どちらも常識的な内容なので、夫婦で口裏合わせて同じ内容を言っているわけではありません。至極まっとうなアドバイスだとわたしも思います。 

複利効果についてはこちらもごらんください 
「三体」主人公もビックリ!「複利効果」を侮ってはいけない 

なお、2つのムックを読んで、個人的にいちばん衝撃を受けたのは高山さんが「大きく損をした」話をしていることでした。 

私はファイナンシャルプランナーというお金のプロフェッショナルとして、株式、不動産、FX、暗号資産などあらゆる投資を行ってきました。大きく儲けたことも、大きく損をしたこともあります。そんな中で一番安定して利益を得ていたのは、実は新NISAのような非課税制度を利用した長期保有の積立投資だったのです。これには私も驚きました。 

「長期・積立・分散」の3原則でインデックス型投資信託をコツコツと積み立てていく。これに勝る投資法はないーーとは、頼藤さんも高山さんも著書などで強調されていることですが、その裏にこんな体験をなさっているとは! 

いくらプロでも自分の財産を目減りさせてまで試すとは、これには私も驚きました。 

(いしばしわたる) 

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