ピーター・パンの史実に涙:映画「ネバーランド」

ピーター・パンの史実に涙:映画「ネバーランド」

きょうは、ジョニー・デップ主演の映画「ネバーランド」(原題:Finding Neverland)を紹介します。ディズニーアニメで有名な「ピーター・パン」の物語にまつわる史実をベースにしたストーリーです。音楽も素晴らしく、最後に登場するネバーランドのシーンは涙なしに見れません(2023.10.27)  

【追記】YouTubeの公式(認証済み)チャンネルに関連動画がありましたので加筆修正しました(2024.5.5)

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史実に基づくストーリー

「ピーター・パン」は、イギリスの劇作家ジェームズ・M・バリ(1860-1937)の戯曲(のちに小説版も)で、1904年12月27日にロンドンで初演。その後、サイレント映画やディズニーによるアニメも手伝って、知らぬ人はいない物語のひとつと言えるでしょう。 

でも、この物語にはバリが親しくしていた実在の子供たちがいて、その子供たちとバリとの出会いと交流が「ピーター・パン」という不朽の名作を生んだ……という史実に基づいて、劇作家のアラン・ニーが戯曲「ピーター・パンだった男」(原題:The Man Who Was Peter Pan)を発表。この戯曲をもとに映画にしたのが、2004年製作のマーク・フォースター監督、ジョニー・デップ、ケイト・ウィンスレット主演の「ネバ―ランド」です。 

あらすじを紹介します(ウィキペディアによる)

ロンドンの劇場で劇作家のジェームス・バリは新作「リトル・メアリー」の初日を迎えていた。しかし、観客の反応は芳しくなく、翌日の新聞でも酷評されてしまう。 

そんな中、ケンジントン公園に散歩に出かけたジェームスはデイヴィズ家の若き未亡人シルヴィアと4人の息子に出会う。ジェームスは一家と親しくなり、足しげくケンジントンの一家の家まで行く。 

三男ピーターは父親を失って以来、夢を持つことをあきらめ心を閉ざしていた。心の傷と戦うピーターに、ジェームスは空想で遊ぶことと物語を書くことを教え、その中で物語の着想を得る。 

観ている人はピーター・パンのストーリーをおぼろげでも知っているので、「ああ、この場面がヒントになったんだ…」とわかるという仕掛けです。 

子供たちとの交流から着想

例えば、シルヴィアが男の子4人を何とか寝かしつけようとしても、子供たちはベッドの上で飛び跳ねてシルヴィアの言うことを聞かない場面が出てきます。 

これはウェンディとその弟たちがベッドの部屋でピーター・パンと最初に出会い、ベッドで飛び跳ねていると空を飛べて…という場面に重なります。 

末っ子のマイケルが何度も失敗しながら凧を上げるシーンは、ピーター・パンがウェンディを助ける場面ーー映画にも出てきますが、ネバーランドから現実のロンドンへウェンディひとりを逃がし、ピーター・パンが「死ぬってすごい冒険だろうな」とつぶやくシーンと重なります。 

子供たちとの交流にインスピレーションを得て書いたピーター・パンの初演は、バリの意向で孤児院の子供たちが招待され、子供たちの笑いに促されて大人の観客にも好評を博し、大成功となります。 

映画でも、役者たちは当初戸惑いながら、ダスティン・ホフマン演じるプロデューサーも半信半疑で初演を迎えますが、実際の初演では、バリも役者たちも、観客から受け入れられるかどうか、本当に自信はなかったそうです。 

映画のメイキングによると、初演ではセリフの途中で拍手が起こり、ピーター・パン役の女優は感動のあまり泣き崩れてしまったそうです。 

ネバーランドを見せる

しかし、初演に招かれながら、シルヴィアは劇場に行けませんでした。

映画の途中からシルヴィアは咳き込むようになり、当人が検査を拒んで何の病気かわからない、しかし深刻な病気であることが徐々に明白になっていきます。初演の日も、結局臥せってベッドで過ごすしかありませんでした。 

その夜、シルヴィアはバリに対し「ネバーランドを見てみたかった」と漏らし、バリは「必ず見せる」と伝えます。シルヴィアのためにバリがネバーランドを用意する場面は、もう涙、涙、涙ーーですが、これはさすがに映画で観てください。 

Finding Neverland | Official Trailer (HD) – Johnny Depp, Kate Winslet | MIRAMAX

即興のピアノソロ

映画の音楽を担当したのは、ポーランド出身の作曲家ヤン・A・P・カチュマレク。とにかく美しい映像を音楽で盛り上げてくれます。 

特に私が好きなのは、マイケルがみんなの協力で凧を上げるシーンに流れる「カイト」です。 

そして、エンドロールに流れるピアノ・ソロ「ネバーランド-ピアノ・ヴァリエーション・イン・ブルー」 

この曲を含めてサウンドトラック盤には3曲のピアノ・ソロが収録されています。 

サウンド・トラック盤のライナーノーツ(前島秀邦氏)によると、ピアノを担当したレシュク・モジェルの演奏があまりに良かったため、急きょセッション終了後にスタジオで披露してもらった即興演奏を録音していて、そのままアルバムに収録したーーということだそうです。 

「これが即興なの?」と驚く演奏です。気に入った方はオリジナルサウンドトラック盤を探して聴いてみてください。 

(しみずのぼる) 

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