行動経済学で投資のしくじりを減らそう

行動経済学で投資のしくじりを減らそう

先日紹介した「日経WOMAN」24年1月号には、実はもうひとつお勧めしたい記事がありました。前回紹介した内容(日経WOMANがためになりました)とは趣が異なるため別記事にしましたが、わたしが過去記事で何度か紹介した行動経済学に関する記事です(2023.12.23)

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「損したくない!」が妨害

記事のタイトルは、 

「損をしたくない!」が合理的判断を妨害する 

行動経済学を知れば 

投資の”しくじり”を減らせる! 

というものです。グロースX執行役員でデータサイエンティストの松本健太郎さんへの取材をまとめた内容で、 

この投資行動、「行動経済学」で解説できます

と記して7つの「よくある」投資行動を分析・解説しています。 

気質効果(損失回避

【1】が「保有株がどんどん下落。いつまでたっても『損切り』できずそのまま放置…」。誰しも思い当たる塩漬け株です。 

投資で特に難しいのが「損切り」。買った時より株価が値下がりしている株式を”塩漬け”にしてしまう傾向を、行動経済学では「気質効果」という。 

「人間は『得したい』より『損したくない』思いの方が強い。同じ金額でも、損失は利益の2倍のインパクトがあるので、損失の確定は避けるのです。含み損で悩みたくないなら『買値から〇%下がれば売却』など、損切りルールを決めて機械的な判断を」 

全部引用したら記事の意味がなくなってしまうので、2~4と6は見出しと行動経済学の用語のみ記します。 

  • 【2】SNSで「有望株!」として有名人がすすめていた株。よく調べず買ってしまった → ハロー効果 
  • 【3】企業型確定拠出年金、どんな投資信託だったっけ? 数年間チェックしていない… → 現状維持バイアス 
  • 【4】「人気ランキング1位」の投資信託。みんなが買っているなら!と、すぐに購入 → ハーディング効果 
  • 【6】保有株式のマイナス情報は見て見ぬふり。プラスの情報を探してひと安心 → 確証バイアス 

ギャンブラーの誤謬

【5】はわたしも思い当たるフシがあるので紹介します。「連日下がっている株価だけど『そろそろ上昇に転じそう』と直感で判断」というケースで、 

わたしたちはコイントスで5回続けて「表」が出たら、そろそろ「裏が出るのではないか」と予想しがち。しかし、6回目に裏が出る確率はあくまで2分の1であり、前の結果は関係ない。このように、確率を無視して、経験則や流れなどから判断してしまう傾向を「ギャンブラーの誤謬」という。「投資も同じ。『そろそろ株価が上昇するのでは』という予測に合理的な根拠はあるのか、一度立ち止まってみて」

フレーミング効果

【7】も「あるある」と思わず頷く落とし穴です。「『100万円購入の場合、ギフトカード3000円分進呈!』の投資信託の広告に心引かれる」というケースで、 

上記の投信の販売手数料について考えてみよう。「手数料1・5%」と「手数料1万5000円」では、どちらも同じことだが、後者の表現だと「ギフトカード3000円」の魅力度はぐっと下がって見える。このように、情報の見せ方によって判断が変わるのは「フレーミング効果」によるもの。「日常的によくあるので避けるのは難しい」と松本さんは指摘するが、金融商品を買うときには注意したい。 

いかがですか。胸に手を当ててみて、自分のあの時の判断がコレかな……と思い当たることがありませんか。 

しくじり防ぐ3つのポイント

日経WOMANのこの記事は「人間である限り、さまざまなバイアスからはなかなか逃れられないもの。3つのポイントを心がけることで、『しくじり投資』を回避しよう」と注意を促しています。その3つのポイントとは 

1 投資ルールを決める 

「現状維持」や「損失回避」などの心理が働くと身動きが取れず損失が広がることも。「投資方針」をあらかじめ決めておくと、悩んだり、判断が遅れたりせずに済む」と松本さん。自分のリスク許容度から判断した投資額、投資スタイル、損切りルールを設定してから始めよう 

2 「イメージ」だけで飛びつかない 

投資するときは「直感」よりも「熟考」が大事。お金をつぎ込む前にいったん立ち止まってリサーチする習慣を。イメージや他人の評価に惑わされず、自分が納得したうえで投資したい。「広告などをうのみにしない、有名人がおすすめしてもすぐ飛びつかない、などを心がけて」 

3 「失敗」から自分のしくじり傾向を学ぶ 

損切りできない、周囲に同調しすぎ、現状を変えられない、根拠のない直感ーあなたがよく”しくじる”のはどんなパターンか。過去を振り返り、失敗傾向をつかんでみよう。「バイアスから逃れるのは難しいですが、『やってしまった』という経験は次に生かせます」 

年の瀬ですから、この1年を振り返るにはよいチャンス。自分のしくじり傾向を自覚して、ぜひとも来年に生かしたいものです。 

行動経済学については、わたしも何度か記事にしていますので、併せてお読みいただければ幸いです。 

(いしばしわたる)

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