映画がきっかけで「このメロディ、いいな」と思う場面はありませんか? ミュージカルを基にした映画『ジャージー・ボーイズ』は、天使の歌声に隠された栄光と挫折というストーリーも魅力ですが、わたしにとって音楽の趣味を広げ、映画の趣味を広げる格好のきっかけとなりました。(2023.9.15)
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目次
フランキー・ヴァリ&フォー・シーズンズが題材のミュージカル映画
映画『ジャージー・ボーイズ』(原題:Jersey Boys)は、1960年代のポップス・グループ「フランキー・ヴァリ&フォー・シーズンズ」にスポットをあてたミュージカルを映画化したもの。クリント・イーストウッドの監督作品です。
70代以上の方なら「お~、懐かしいな!」となるかもしれませんが、わたしはフランキー・ヴァリ&フォー・シーズンズの全盛時代は知りません。
「天まで届くような、天使のファルセット」と称されたヴァリの高い歌声も、彼らの大ヒット曲「シェリー」を耳にしたことがあるけれど、

曲名は、何度も連呼するから「シェリー」なのかな?
という程度の、うすい前知識だけ。つまり、ファンでもなんでもありませんでした。
でも、ニュージャージー州の貧しい地区で生まれ育った彼らが、徐々にのし上がっていくサクセス・ストーリーと、彼らの陽気でキャッチーなメロディに反比例するかのように、途中から仲間割れを起こして転落していく挫折のプロセスは、映画としても心に響くものがあり、今ではお気に入りのDVDの一枚となっています。
「君の瞳に恋してる」|娘の自死、失意をバネに歌う天使の声
特に『ジャージー・ボーイズ』で惹かれた場面と曲があります。これも「シェリー」同様、どこかで耳にしたことはある…でも曲名は知らないーーという曲でした。
フランキー・ヴァリがソロで唄う「君の瞳に恋してる」(原題: Can’t Take My Eyes Off You)です。
「君の瞳に恋してる」は、最愛の娘に自死され、失意のどん底にあったヴァリにかつての仲間、ボブ・ゴーディオが曲を提供して励まし、それがヴァリ復活につながったーーというストーリーで歌われます。
ヴァリが実際に歌う動画もユーチューブの公式チャンネルにありました。
わたしは最初に打ち明けたとおり、ヴァリもフォー・シーズンスもファンではないので違っていたらお許し願いたいのですが、ヴァリが娘を失った時期は、曲の発表時期よりも後のことなので、映画のストーリー自体は創作のようです。
だからといってヴァリの失意は察して余りありますし、「君の瞳に恋してる」の歌詞、甘い歌声、せつなさすら感じさせるメロディーーは、映画『ジャージー・ボーイズ』でもっとも印象的なシーンです。
「君の瞳に…」が映画『恋のからさわぎ』を知るきっかけに
映画『ジャージー・ボーイズ』で「君の瞳に恋してる」という曲名を知りました。そうすると、たいていの人はきっと同じようにすると思うのですが、

こんなステキな曲だから、きっとカバーしてる人も多いだろうな…
と思ってユーチューブや音楽サブスクでカバー曲探しをするのではないでしょうか。
そうやって出逢ったのが、以前に記事で紹介したラブコメ映画『恋のからさわぎ』(原題:10 things I hate about you)でした。記事から再掲します。
おすすめの音楽シーンはぜんぶで3か所あります。
1曲目は、「君の瞳に恋してる」(原題: Can’t Take My Eyes Off You)。フォー・シーズンズのフランキー・ヴァリが1967年に発表したラブソングです。
映画では、ヒース・レジャー演じるパトリックが学校のグラウンドで、金を払ってブラスバンドにも協力してもらって、おおげさに求愛するシーンです。メイキングによると、演出ではなくヒース・レジャーの即興の演技だったそうです。
サウンドトラック盤には入っていませんが、ユーチューブで見ることができます。キャットの朗読する詩の場面と並ぶハイライトシーンであるのは間違いありません(どちらも「10 things I hate about you」で検索すればすぐにみつかります)
あなたがきらいな10の理由:映画「恋のからさわぎ」
映画きっかけで音楽の趣味が広がり、それを起点に好きな映画を見つける…そんな好循環の体験談です。
似たような映画『ベスト・フレンズ・ウェディング』との出逢い
すこし脱線しますが、同じように映画から音楽の趣味を広げた体験がもうひとつあります。こちらも以前に記事で紹介したラブコメ映画『ベスト・フレンズ・ウェディング』(原題:My Best Friend’s Wedding)です。
大ヒットドラマ『glee / グリー』(原題:glee)のシーズン1で、チアリーディング部のクイン、サンタナ、ブリトニーの3人で唄う「小さな願い」(原題:I Say A Little Prayer)が好きで、プレイリストにも入れていました。
そして、ほかのアレンジはないだろうか…とユーチューブで探して、映画『ベスト・フレンズ・ウェディング』のシーフード・レストランのシーンに行き着いた…というわけです。これも以前の記事から再掲します。
この映画はなんと言っても音楽がいいのです。中でも有名なのがシーフードレストランの場面です。
キミーは大富豪の娘ですから、結婚式に招待される親戚たちも大勢いて、シーフードレストランを借り切ってランチを予定し、そこにジュリアンと”婚約者”のジョージも招かれます。ふたりのなれそめを聞かれたジョージが語り出します。
自分が精神病棟に通っていた時、ジュリアンを見かけたこと。たまたまディオンヌ・ワーウィックだと思い込む患者と一緒にいたので、この恋が成就するか訊ねたら、その”ディオンヌ・ワーウィック”が歌い始めた……というのです(”曲ありき”で書いた脚本ですね。相当無理がある設定です)
The moment I wake up
Before I put on my makeup
(朝目覚めたとき お化粧する前に)ディオンヌ・ワーウィックの名曲「小さな願い」(I Say A Little Prayer)です。
ジョージが最初の一節を歌うと、続いてキミーの従妹ふたりが唄い、さらに太っちょの親戚までも唄い……というように、レストランにいた親戚たちが次々と歌い始め、最後は大合唱となるのです。
名曲が好演を引き出す「ベスト・フレンズ・ウェディング」
🎬あわせて観たい:音楽が魅力の「恋のからさわぎ」と「ベスト・フレンズ・ウェディング」
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キャスト全員でステップを踏む「あのすばらしき夜」
話を映画『ジャージー・ボーイズ』に戻しましょう。この映画のもうひとつの白眉はエンディングです。
最初に4人が「シェリー」を唄った後、突然、曲がアップテンポに切り替わります。
これはきっとミュージカルも最後にキャスト全員で歌って踊るんだろうな…と想像しますが、映画に登場するキャストが次々にステップの輪に加わっていきます。
売れない時代のヴァリを支える妻、人気絶頂中に付き合い出す恋人、メンバーを借金漬けにする金貸し…。そして、ヴァリの歌声に魅了されて「困った時はいつでも助ける」と宣言するマフィアのボス(演じたのは名優クリストファー・ウォーケン!)
彼らが全員で、曲に合わせて楽しそうにステップを踏むのです。
曲名は「1963年12月(あのすばらしき夜)」(原題:December, 1963 (Oh, What a Night))。この曲もお気に入りのひとつになりました。
もとはミュージカルですから、音楽が主役の映画だと言ってしまえばそれまでかもしれません。
でも、音楽を介して、ほかの作品に出逢うーーそんな機会を持たせてくれた映画、それがわたしにとっての『ジャージ・ボーイズ』です。
音楽はこころのビタミン。今後もいろいろと書いていきたいと思います。
(しみずのぼる)
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