成長株投資としてグローバルニッチな企業に注目

成長株投資としてグローバルニッチな企業に注目

グローバルニッチ」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。市場規模は小さいものの、サプライチェーンを維持する上で重要不可欠で、グローバルな市場で競争優位性があるような技術に使われる用語です。日本には、そんなグローバルニッチな技術を持つ企業が数多くあります。投資先としても注目してよいのではないでしょうか(2024.3.31) 

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ニュースで学ぶ、生きた英語。「The Japan Times Alpha」

世界市場での「隙間産業」

ビジネス雑誌や銘柄情報を見ていると、時折目にするのが「グローバルニッチ」という単語です。 

「ニッチ」(niche)はもともと「壁面の一部に設けたくぼみ」という単語ですが、ビジネス用語としては隙間産業を意味します。 

Quick Money World「グローバルニッチとは何か? ニッチトップ戦略のメリット・デメリット、成功企業も紹介」という記事にも、次のように書かれています。 

グローバルニッチとは、世界的にマイナーや小規模であることを指しています。そもそもニッチとは、「隙間」という意味です。世界進出し海外の企業と競合する中でも依然としてニッチな分野である場合にこの言葉が使われます。グローバルニッチとは、世界市場での「隙間産業」のことです。

グローバルニッチとは何か? ニッチトップ戦略のメリット・デメリット、成功企業も紹介

ものづくり大国・日本としては、こういうグローバルニッチな技術を持つ日本企業に世界規模で頑張ってもらいたいわけで、経済産業省が過去2回、「グローバルニッチトップ(GNT)企業」の選定を行っています。 

経済産業省が113社を選定

最新の2020年版「グローバルニッチトップ企業100選」の選定資料にも、 

日本には、マーケティングや技術開発を通じた差別化戦略により、個々の市場規模は小さいものの、世界シェアが極めて高い製品が多数あり、それを製造する企業は世界のサプライチェーンにおいて「なくてはならない」存在 

とあります。 

戦略性・競争優位性・国際性

経産省は、そうした企業を公募したうえで、 

  • 戦略性:技術の独自性・唯一性・展開可能性 
  • 競争優位性:サプライチェーン上の重要性 
  • 国際性:海外売上高比率 

など10項目を重視して選定したのが「グローバルニッチトップ企業100選」で、 

  • 大企業:世界市場の規模が100~1000億円規模であって、概ね20%以上の世界シェアを保有 
  • 中堅企業(大企業のうち売上高が1000億円以下):概ね10%以上の世界シェアを保有 
  • 中小企業者:概ね10%以上の世界シェアを保有 

する113社を選定しています。 

2020年版「グローバルニッチトップ企業100選」は、経済産業省(関東経済産業局)のホームページから、選定された113社の「選定企業集」がダウンロードできますが、読み物としても大変おもしろいです。 

へええ、日本にはほんとにおもしろい企業がたくさんあるんだなあ… 

と素直に感心してしまいました。 

「成長株」投資の観点から注目

もっとも、わたしがグローバルニッチな企業に関心を持ったのは「投資対象の拡大」が動機です。 

最近読んだ記事で参考になったのは「週刊ダイヤモンド」3月30号の「『配当&優待株』の楽々老後術」という記事でした。 

49歳のときに公務員を早期退職したかんちさん(ハンドルネーム、62歳)のインタビュー記事ですが、かんちさんの基本的なポートフォリオは、 

  • 高配当株:50% 
  • 優待株:30% 
  • 成長株:20% 

というもので、

現在の資産の配分が「自分的にはバランスが良くて一番心地良い」 

とありました。 

かんちさんは資産8億円だそうですから、わたしなんて足元にも及びませんが、わたしも高配当株投資で年間数百万円の配当収入を得るしくみを作っています。株主優待株も多く保有しています。 

でも、自分に圧倒的に足りないのが成長株でした。 

この1か月あまり、半導体関連株を単元未満株で買い出したのが「成長株」に分類されるでしょうが、高配当株・優待株と比べたら、すべて集めても5%にも届きません。 

単元未満株で成長株をコツコツ増やしていくか… 

そんなふうに思って、半導体関連株以外にも単元未満株を買うとしたら?と考え、目に留まったのが「グローバルニッチ」だったわけです。 

経産省認定の113社には非上場の企業も含まれていますし、いくらグローバルニッチでも最近の業績は会社四季報でチェックするのは当然の作業です。 四季報チェックを踏まえて新しいポートフォリオを作り、先週から値動きをチェックし、一部購入も始めたところです。 

まだ始めたばかりですし、全部を紹介するのは紙幅をとるだけですから、最新版の「会社四季報プロ厳選の500銘柄」(2024年春号)で「本命銘柄50」に選ばれたGNT(グローバルニッチトップ)企業を紹介しましょう(企業名の後ろのカッコ内は証券コード) 

レオン自動機(6272)
包あん機や製パン機で高シェア占める食品製造機械大手。基盤の練り技術に設計力を組み合わせた提案営業で海外展開加速。欧州も小型機主力に拡大。製パンは米国事業育成。人手不足で強まる自動化需要捉える

酉島製作所(6363)
ポンプ専業で国内3位、火力発電用高効率ポンプは首位。中東の淡水化設備向けに強み。上下水道、災害時排水関連も。関連液化水素昇圧ポンプなどの開発強化。短期売買少なく値動きに安定感。小型バリュー株

古野電気(6814)
船用電子機器の世界大手。魚群探知機、レーダーで高シェア。無線やセンサーの技術を核に、ETC車載器や生化学分析装置など医療機器も展開。防衛装備品も手がけ、艦艇や潜水艦向けなどの防衛予算増は追い風

エスペック(6859)
温度や湿度、振動など環境変化の影響を分析する試験装置首位。世界シェア30%以上で海外売上比率5割超。電池や半導体の試験装置、自動車等の受託試験も。EV向けで愛知に新拠点開設など拡充進める小型株

マニー(7730)
栃木の医療機器メーカー。生産はベトナム軸。手術用縫合針で国内首位。眼科ナイフ、歯科用の根管治療機器のリーマ、ファイルは世界シェア高い。売上高の8割が海外のグローバルニッチ首位企業。製品開発に強み

「会社四季報プロ厳選の500銘柄」(2024年春号)より

でも、本当は経産省の選定企業集がとにかくお薦めです。たとえば、レオン自動機なら、 

同社の機械は、レオロジー(物質の粘性や弾性に関わる流動学)の応用工学に基づいて設計がなされています。(略)同社は、世界で初めて「自動包あん機」を実用化したパイオニア企業です。 

マニーなら、 

「世界一の品質」には徹底的にこだわり、年2回「世界一か否か会議」を開催しています。(略)万が一、ある要求特性において他社に劣後した場合は、次の会議までに、その原因を分析し、対抗策を講じ、世界一の品質を取り戻す活動を行っています。 

というような「目からうろこ」の記述が満載です。 

日本にはまだまだおもしろい企業があることがわかって、うれしくなること間違いなしです。 

(いしばしわたる) 

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