87歳デイトレーダーの本は良書でした

87歳デイトレーダーの本は良書でした

知人に勧められて、いま話題の87歳現役トレーダー、藤本茂さんの本を読みました。デイトレードはする気はないので自分には縁のない本と思ってましたが、意外や意外、とても学ぶことの多い本でした(2024.1.27)

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「この本は良かったです」

今週初め、知人からショートメッセージが届きました。

僕はあんまり投資本は読まないんですが、この本は良かったです。もうお読みかも

そう書いてリンクが貼ってあったのが、藤本茂氏の「87歳、現役トレーダー シゲルさんの教え」(ダイヤモンド社刊)でした。

本の紹介を兼ねたニュース配信記事は何度か読みましたが、デイトレードには関心がなかったため本まで買って読もうとは思っていませんでした。でも、知人から「この本は良かった」と言われると、やはり読みたくなって書店で購入しました。 

どんな本なのか、冒頭のまえがきに相当する部分を引用しましょう。 

1936年(昭和11年)、二・二六事件が起きた年、兵庫県の貧しい農家の家に4人兄弟の末っ子として生まれた。 

高校を出してもらってから、ペットショップに就職。 

そこでお客だった証券会社の役員と株の話をするようになった。 

そして19歳のとき、3つの銘柄を買ったことが株式投資の始まりとなった。 

あれから68年、高度経済成長、ブラックマンデー、バブル崩壊、阪神・淡路大震災、リーマンショック、東日本大震災、コロナショック……時代の移り変わりと危機をこの目で見てきた。 

テレビや雑誌では、「日本のバフェット」と呼ばれることもある。 

バブル崩壊では10億円あった資産を2億円まで減らしてしまった。 

しかし資産が10億円まで増えて、減ったとはいえ2億円も残ったのだから、バブルには感謝だ。 

87歳になったいま、資産は18億円まで増え、月6億円を売買しながら、現役デイトレーダーとして日々相場に挑んでいる。 

お金を増やしたいのは二の次、ただただ楽しいから毎朝2時起きで株のことを考えている。 

本を書くことになるなんて思ってもみなかったが、どうせ書くなら読んでくれるみなさんの役に立ちたい。だから、隠しごとなしに日常生活から投資法まで全部書いた。 

デイトレードは究極の”脳トレ”でもある。 

ボケてる暇はあらへんで。 

すごいまえがきですが、内容は本当にまえがきの通りでした。読み終えて思ったのは「すごいな」ということと、「自分には真似できないな」ということでした。 

自分には「ほったらかし投資」が向いているし、そのバリエーションとしての高配当株投資がせいぜいです。 

”イナゴタワー”に得心

 でも、いろいろと「なるほど、このことだったのか!」とストンと来ることがありました。 

例えば、以前に読んだ「ダイヤモンド・ザイ」連載中のホイチョイ・プロダクションズ「マンガ 恋する株式相場!ーーゼロからわかる!投資入門」(ダイヤモンド社刊)に出てくる”イナゴタワー”について、「恋する…」で読んだ時は、

そんなイナゴみたいに群がる人たちって多いのか?

と話半分で読んでいたのです。

でも、藤本茂さんの本にも出てくるので「ほんとにいるんだ!!」と得心がいきました。 

最初に「恋する…」から該当部分を紹介します。登場人物のひとりでデイトレーダーの約定澄太(やくじょう・すみた)のせりふを引用しましょう。 

ここ数年で、デイトレードの主役は、スキャルピング・トレーダーからイナゴに代わったんだ(同書注、イナゴ=いわゆる注目銘柄に群がる個人投資家) 

イナゴが飛び回るのは、マザーズやJASDAQ等の新興市場の上だ。デイトレードの邪魔になる機関投資家は東証1部狙いなので、新興市場にはあまり入り込んでこないからね。 

イナゴは、新興市場においしい銘柄がないか目を光らせ、値が上がりかけている銘柄を見つけたとたん、瞬時にその株に群がって株価を押し上げていく。 

理由なんか関係なく、とにかく沸騰している銘柄を見つけたら、群がってタワーを押し上げ、人より速く売って儲けるんだ。 

今のイナゴは足が速いので、遅れたイナゴが餌にありつこうとタワーに飛びついたら、最初からいたイナゴが、とっとと売り抜けて去ってしまい、イナゴタワーが崩壊して大損を食らう、なんてことがザラだ。 

「マンガ 恋する株式相場!ーーゼロからわかる!投資入門」1巻、VOL17「殿様イナゴとデイトレーダー」より 

続いて藤本茂さんの著書から。 

株をやっていると、株価が上がる(下がる)材料が何も出ていないのに、急に株価が動くこともあるのです。そんなときには注意が必要です。 

売買のなかでは、約定する意思がないのに大量の注文を出すことを「見せ板」といいます。本来は禁止されているのですが、実際の取引では、「明らかに見せ板だろう」と思われる注文が結構あります。 

(略) 

自分が買った株の値をつり上げたいばかりに見せかけの注文を出し、約定しそうになったら即座に注文をキャンセルするというやり口です。 

そして株価が1000円を上回ったところで売り、儲けるわけです。もちろん、本当に売るつもりだったけれど、結果的に見せ板になってしまうケースもゼロとは言いませんが、意図的に高く売りつけてくる投資家は残念ながらいますし、今後もなくなることはないと考えていいでしょう。 

これは、ほかの投資家に誤解を与えることを目的としたかなり”グレーな行為”です。悪質な場合には違法な相場操縦として摘発される可能性もあります。 

株の世界には、このように「株価を操作してやろう」と考える”ずる賢い人たち”が少なからずいるのです。 

そして、個人投資家は「見せ板がある」と頭でわかっていても、大量の買い注文や売り注文が板に表示されてしまうと、経験が少ない人ほど買ったり売ったりしたくなってしまうんです。 

見せ板に踊らされてしまう人が多いことが、見せ板がなくならない理由です。 

相手の動き方を読む。そして自分の頭で考える。この2つを意識しない限り、株式市場では”いいカモ”になってしまいます。 

藤本さんの本に、

2022年に金融庁が発表した報告書によると、投資信託などを購入した顧客のうち、2020年3月時点の損益がプラスになっている人は30%程度なのだそうです。ということは、70%程度の人が、損益がマイナスの状態だということですね。

と出てきます。

全世界株や米国株(S&P500)に連動するインデックス型投信でふつうに積立投資信託を行っていれば、こんな数字にはならないはずです(自分が勧めた知人や子供たちにも積立投資信託で損益マイナスの人はいません)

ということは、普通ではない投資商品(仕組み債など)や、イナゴのような特異な手法に手を染めている投資家が少なからずいるのだろうな…と想像します。藤本さんの本で「知らない世界」を垣間見た気分です。

日々是勉強」を再確認

ただ、藤本さんの本は、デイトレードに関心がない人にも、有益な情報がいっぱい書かれています。

特によかったのは、繰り返し「自分の頭で考えろ」「勉強しろ」と強調しているところです。 

誰かがその場で言ったことを鵜呑みにするのではなく、自分の頭で考えることの重要性を、この本を通してお伝えしているつもりです。たとえ証券アナリストが言っていることであっても、その言葉を頭から信じてしまうような人は投資向きではありませんよ。 

常に「これは本当かな?」と疑える人が資産を伸ばしていくんです。 

よく株で儲けた人を「運が良かった」、負けた人を「運が悪かった」と言いますが、運なんかじゃありませんよ。 

運よりも勉強がものをいう世界です。 

何事にも通じることだと思います。「日日是勉強」を肝に銘じたいと思います。 

藤本茂さんの本には(わたしは読了してもなおやろうとは思いませんが)デイトレードの具体的なやり方も出てきますし、テクニカル分析のくだりはとても勉強になります。 

知人が勧めてくれたとおりでした。わたしも「この本は良かったです」と自信を持って言えます。 

(いしばしわたる) 

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