地銀株は株主優待も楽しみ:優待に地元特産品がズラリ

地銀株は株主優待も楽しみ:優待に地元特産品がズラリ

わたしは昨年暮れから地方銀行の株を意識的に購入しています。そんな中、今週発売の週刊ダイヤモンドの特集が「地銀・メガバンク・信金・信組残酷格差」というもの。久々に紙の雑誌を買って熟読しました(2024.1.24)

【追記】地銀株を新規買付したため、銘柄と記事中の数字を更新しました(2024.02.02) 

「金利のある世界」意識

なぜ地銀株を意識的に購入しているのかーー。その理由は主に3つあります。 

1つは、日本にもようやく「金利のある世界」が到来しそう…という経済情勢です。 

日銀のマイナス金利政策解除が今年春にもあるだろうと予想され、そうすれば早ければ今年後半、遅くとも来年中には金利上昇があるのではないか、と予想するエコノミストは多いです。 

金利上昇は金融機関にプラスに働きますから、昨年来、銀行株は軒並み上昇しています。地銀株も例外ではありません。 

地方経済を支えるのは地銀ですし、長期トレンドでみれば地銀株の割合は増やしておいて損はないな、という判断です。 

理由の2つ目は、1つ目とも関連するのですが、メガバンクや大手行の銘柄はすでに相当買い増してきているため、分散投資の観点から、地銀にも広げる必要が生じたことです。 

株主優待に地元特産品

そして3つ目は、地銀株には株主優待が充実している銘柄が多いことです。 

例えば、「日経マネー」でコラムを持つ元プロ棋士の桐谷広人さんは、同誌24年1月号で、福島の東邦銀行について、こんなふうに書いています。 

東邦銀行(東プ・8346)もお薦めの優待。福島県が地盤の地銀で地元特産品のカタログギフト3000円相当が届きます。1000株1年以上保有でもらえますが、5年以上保有すれば5000円相当の品にランクアップします。私は5000円相当のブドウのセットを頂いており、これがとても豪華。実際に買えば1万円ぐらいするのではと思っています。 

日本経済新聞(電子版)でも、桐谷さん推奨の地銀株の特集記事が読めます。  

以前は定期預金の金利上乗せという優待が多かったのですが、地方銀行を中心に地元特産品を選べるカタログギフト優待が多くなりました。特産品を提供すれば地元企業を応援できる。地元企業が元気になれば地銀はうれしい。特産品がもらえる株主も喜ぶ。こういう構図なのでしょう。最近は銀行の株価が上がっています。それでも私の銘柄選びの基準、総合利回り4%以上の銘柄はまだたくさんあるので、選びがいがあります。 

桐谷さんが選ぶ「銀行のお薦め優待株10」

プロ厳選500銘柄にも

いま発売中の「会社四季報プロ厳選500銘柄」にも、いくつかの地銀株が取り上げられています。株主優待の用意されている銘柄だと次の2つです。 

ふくおかフィナンシャルグループ(8354)=反発期待 

地銀首位級。福岡、熊本、十八親和の3銀行が主力。第二地銀の福岡中央銀を23年10月に完全子会社化。ネット専業のみんなの銀行も展開する。配当は業績連動型。日経平均構成銘柄で株価は大手行と連動しやすい。 

前期末の外債実現損が峠超えるが、円債実現損が拡大。貸出残高漸増だが利ザヤ底ばい。新規連結の福岡中央銀が予防的引き当て実施。経常増益幅縮小。株価は23年11月高値での26週線プラス乖離解消後、反発探る。 

山陰合同銀行(8381)=ボックス 

拠点の島根、鳥取両県で預金や融資シェア首位。大手銀行・証券の店舗が少なく投信販売に注力。不良債権の少ない堅実経営でも定評。山陽側と兵庫にも店舗網を展開し、業容拡大の先兵となる。累進配当を導入。 

外債実現損や外貨調達用重い。ただ法人融資増勢、法人コンサルも伸びる。経常益伸長。連続最高益。株価は11月高値1079円から軟化し13週線割れで上げ一服の形状。高配当利回りを支えに下値は限定的。 

昨年前半は地銀株を視野に入れていなかったので読み飛ばしていた記事も、こうやって眺め直してみると、ポートフォリオに組み入れてもいいかも…と思い、株価の推移を意識して下がった時に買うーーと繰り返しています(でも、まだまだ高値圏の地銀株もあって、監視中のところも当然あります) 

関西・中京圏事情が参考に

そんなふうに地銀株を意識している最中とあって、今週の週刊ダイヤモンドは月曜日の発売当日に書店で購入。ドトールでコーヒーを飲みながらじっくり熟読したというわけです。 

特集の前文を引用しましょう。 

四半世紀ぶりに本格的な金利上昇局面が訪れようとしている。銀行業界には、本業復活による収益改善が見込めるとあって高揚感が漂う。だが現実は甘くない。保有債券の含み損が拡大し、それによる銀行間の格差も浮き彫りになるからだ。 

記事をそのまま引用してしまうと雑誌の売り上げを妨害するので、見出しと前文の紹介にとどめます。

大阪で金利たたき合いが熾烈化 山陰合同が仕掛ける消耗戦 

金利が上がり、本業の預貸金ビジネスが復活するーー。多くの地銀関係者は今、そんな期待を抱く。だがそれとは裏腹に、大阪では熾烈な金利の”たたき合い”が勃発している。 

京都&滋賀で世代交代、次は南都銀か 近畿で着火間近の「再編第2幕」 

2017年以来、再編から遠ざかっていた近畿の地方銀行の間で、再編の火種が再び燃え盛ろうとしている。引き金は23年から相次ぐ頭取の世代交代だ。再編のシナリオとは。 

愛知県で地銀再編機運が急浮上! 名古屋銀の「加藤家」が鍵 

愛知県は”名古屋金利”と称されるほど低金利競争が熾烈だ。そんな金融激戦区で、愛知銀行と中京銀行の統合に続く再編機運が浮上している。頭取人事から、その実情をひもとく。

わたしは西日本に土地勘がないため、関西圏や中京圏の地銀動向はとても読みでがありました。 

デジタル版は記事が制限

このうち楽天マガジンで読めるのは「山陰合同が仕掛ける消耗戦」だけ。特集Part3の「地銀&信金・信組ランキング」も、デジタル配信版はごっそり落とされています。 

新聞広告をみて「読みたい!」と思った特集のときは紙の雑誌を買わないとだめか……と思いましたが、これは仕方ないですね。今後も紙の雑誌と楽天マガジンを賢く併用しようと思います(例えば冒頭に引用した「日経マネー」の桐谷さんのコラムはデジタル版でも読めます) 

保有する地銀株の優待内容

最後に、わたしが現時点で保有する株主優待目当ての地銀株は以下の通りです(証券コード、株価=2月2日終値、予想配当利回り=2月2日現在、企業概要と優待内容はヤフー・ファイナンスから) 

いよぎんHD(5830) 989.8円 2.02% 

企業概要:伊予銀行を中核会社として22年10月発足。傘下に保証会社やカード会社。事業領域拡大狙う 

優待内容:5000円相当の愛媛県特産品等の商品カタログ(1000株以上)

ちゅうぎんFG(5832) 1032.5円 2.91% 

企業概要:中国銀行を中核に22年10月発足。傘下に証券やリース会社。総合サービス業への転換目指す 

優待内容:5000円相当の岡山県特産品等の商品カタログ。1年以上継続保有が条件(500株以上) 

めぶきFG(7167) 438.9円 2.73% 

企業概要:傘下に地銀大手の常陽銀行と足利銀行。茨城と栃木でシェア首位、北関東軸に1都1府7県へ展開 

優待内容:2500円相当の地元特産品等の商品カタログ。1年以上継続保有が条件(1000株以上) 

第四北越FG(7327) 4055円 3.45% 

企業概要:新潟県首位の第四銀行と同2位の北越銀行が経営統合。21年1月に両行合併。地銀上位 

優待内容:2500円相当の新潟県の特産品等の商品カタログ。1年以上継続保有が条件(100株以上) 

群馬銀行(8334) 733.8円 3.00% 

企業概要:地銀上位。県内シェアは預金、貸出金とも35%程度で断トツ。NYなど海外拠点も。国際基準行 

優待内容:2500円相当の地元(群馬・埼玉・栃木等)商品カタログ(1000株以上) 

ふくおかFG(8354) 3637円 3.16% 

企業概要:傘下に福岡銀行、熊本銀行、十八親和銀行。総資産で地銀首位級。ネット専業「みんなの銀行」も 

優待内容:地元(福岡・熊本・長崎)特産品6品から1品プレゼント等。1年以上継続保有が条件(200株以上) 

東邦銀行(8346) 314円 2.23% 

企業概要:福島県地盤、茨城、東京にも店舗。財務基盤安定し、県内シェアは預金が4割半ば、貸出が約4割 

優待内容:福島県の特産品等の商品カタログ。1年以上継続保有で3000円相当、5年以上で5000円相当(1000株以上) 

百五銀行(8368) 570円 2.63% 

企業概要:地銀上位。三重県で断トツ。三菱UFJ銀、十六銀、名古屋銀と親密。愛知県での出店を加速 

優待内容:3000円相当の三重県の地元特産品等の商品カタログ(1000株以上) 

山陰合同銀行(8381) 1007円 3.57% 

企業概要:山陰地盤。鳥取、島根で預金高1位。広島、岡山、大阪、兵庫にも展開。営業地域が広範な点が特徴 

優待内容:5000円相当の地元(島根、鳥取)特産品等の優待商品から選択。1年以上継続保有が条件。1年未満は1000円分のギフトカード(1000株以上) 

山口FG(8418) 1397円 3.08% 

企業概要:傘下に山口銀、もみじ銀、北九州銀。証券やリースにも展開し、金融コングロマリット化を標榜 

優待内容:5000円相当の地元(山口、広島、九州等)特産品の商品カタログ(1000株以上) 

七十七銀行(8341) 3550円 3.10% 

企業概要:仙台拠点で東北最大の地銀。預貸率向上が課題。仙台再開発に照準。横浜銀らとシステム共同化 

優待内容:地元特産品等から選択。1年以上継続保有が条件(300株以上) 

滋賀銀行(8366) 3895円 2.31%  

企業概要:滋賀県内の融資シェア4割超だが県外にも積極進出。好財務。不動産や環境関連の融資に強み 

優待内容:3000円相当の滋賀県の特産品等の商品カタログ。1年以上継続保有が条件(200株以上以上) 

池田泉州HD(8714) 344円 3.63% 

企業概要:大阪地盤の金融持株会社。京阪神地域に展開。池田泉州銀行が中核。証券、総研、リースなども 

優待内容:地元特産品の商品カタログ等。2000円相当で、3年以上継続保有は3000円相当(2000株以上) 

ひろぎんHD(7337) 990.9円 3.63%

企業概要:地銀上位の広島銀行が中核。預金シェア4割弱、貸出金3割半ば。規制緩和でサービス多様化へ

優待内容:地元特産品(5000円相当)のカタログギフト等(1000株以上)

京都FG(5844) 2448円 1.43%

企業概要:地銀上位。京都地盤に近畿一円や愛知、東京にも展開。地元大手企業中心に株式含み益潤沢

優待内容:自社グループ運営オンラインショップ取り扱い商品(4000円相当)贈呈、3年以上継続保有は6000円相当に(500株以上)

地銀株にご関心があるようなら、参考にして頂ければ幸いです。 

(いしばしわたる)