経済予想は「わからない」が正解?!

経済予想は「わからない」が正解?!

楽天トウシルでコラムを持つフャイナンシャル・プランナー、山崎俊輔氏の最新コラムがおもしろかったです。この時期は今年1年の経済を予想する記事が数多く掲載されますが、日経平均4万円を突破するという記事もあれば、米国経済のソフトランディングは簡単ではないという予想も……。そんな中で「わからない」が正解という山崎氏の指摘はなるほどと思います(2024.1.10)

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お世話になった入門書の著者

山崎氏のコラムはきのう(1月9日)配信されたもので、タイトルは「新NISA元年の経済予想は「ぶっちゃけわからない」くらいのスタンスで」というもの。 

山崎氏は、わたしが5年ほど前に老後資金を確保するため投資を始めようーーと思い立った頃、集中して読んだ投資入門本の筆者のひとりです(過去の記事でも引用しています) 

プロもはずす経済予想

以来、山崎氏の記事は読むようにしているのですが、きのうの記事は、いままさに自分が気にかけているテーマでしたので、熟読玩味しました。 

株価予想は1年前のものをチェックしてみると、趣深いものがあります。現実はやはり予想を超えてくるところがあって、予想はなかなか的中しないことが確認できるからです。 

例えば、2023年の年初に発行されたとある経済紙では、日経平均株価の高値予想の平均値が3万1,000円台で、安値予想の平均が2万5,000円台だったそうです。ご存じのとおり、2023年の大引けは3万3,464円でした。予想はなかなか当たらないわけです。 

プロでさえはずすことの多い経済予想なのだから、「個人が1年後の世界経済、国内経済の動向を読み解くことは困難」と山崎氏は言います。 

期待する意見に耳を傾けやすい

しかも、人は自分の期待する意見に耳を傾けやすい性向があるため、 

同方向、同水準で予想を立てた経済評論家のコメントを読むのがもっとも「心地よい」ことになります。自分の意見の追認のためだけに読むのであればあまり有用ではありません。 

と指摘します。 

ネット・SNSで情報を取得するのが容易な時代にあっては、これにフィルターバブル(注1)やエコーチェンバー(注2)も重なるので、ますます危うさが増すおそれがあります。最も自戒しないといけない点かもしれません。 

(注1)フィルターバブル:インターネットの検索エンジンやSNSの利用履歴により、各人に最適化されたインターネットコンテンツが表示される結果、自分の見たい情報の泡(バブル)の中に包まれてしまう現象 

(注2)エコーチェンバー:SNSで価値観の似た者同士が交流し、共感し合うことにより、特定の意見や思想が増幅されて影響力をもつ現象 

このような指摘を踏まえ、山崎氏はこう提案しています。 

私たち個人としては、株価予想、為替予想は楽しみつつも、自分の評価としては「分からない」でいいし、「分からないけれど、中長期的にはイノベーションが世界を豊かにし株価も上昇するだろう」と信じておくことが、中長期投資においてはちょうどいいスタンスだと思います。

「分からない」でいいーー。わたしもこのキーワードを胸に刻んでおこうと思います。

質問された「出口戦略

ところで、冒頭に「いままさに自分が気にかけているテーマ」と書いたのは、ちょうど知人(50歳代後半)から「つみたてNISAの出口戦略はどう考えているか?」と質問されたばかりだったからです。 

わたしの知人は、「長期・積立・分散」の原則で米国株(S&P500)中心のインデックス投信を(かなり大きな金額で)積み立ててきた結果、つみたてNISAと特定口座で合わせて1000万円以上の投資信託があるそうです。含み益は20%台ですから、見事な資産運用成績です。 

ところが、米国経済の先行きを不安視する記事を読むうちに、「米国経済はいまが天井ではないのか?」という不安が首をもたげてきたそうで、「つみたてNISAの期限はまだまだ先だけど、高値のうちに現金化したほうがよいかどうか」と聞かれたのです。 

まだ20歳代の娘たちには「そのまま放置で大丈夫」とアドバイスしたものの、知人の場合は年齢的にも事情が異なりますし、米国経済の先行きが不安になるのはわたしも理解できます。とはいえ、自分にアドバイスできるほどの知見はありません(自分は初心者と自覚しています) 

ですから「自分はこうしている」ということを伝えました。 

実は、今年は結構な金額でお金が必要な出来事(マンションの買い替えと、それに伴う住宅ローンの完済)があり、昨年末から保有する金融資産を現金化する作業を行っているのです。 

利回りの低い国内銘柄を売却して、損切りも行ったりもしましたが、同時につみたてNISAと特定口座の投資信託をすべて売却したのです。まさに「米国経済の先行きを思えば、今が高値ゾーンかもしれない」と思ったことも影響しています。 

わたしの場合は「出口戦略」も何も、必要に迫られて、すでに「出口」を通り抜けてしまった状態でした(ちなみに、新NISAのつみたて成長枠のほうも、毎年やってきた月額10万円の積み立ては、今年1年間だけは我慢しようと思い、2月以降は月額2万円の積立額に変更しています) 

そのことを正直に話して、こう付け加えました。 

「経済は長期トレンドでは右肩上がりだけど、短期では下落することはあるから、気持ちの中にすこしでも不安があるなら、また、僕のように住宅ローンの繰上償還といった資金需要が目の前にあるなら、売却するのもひとつの方法だとは思うよ」 

そのようにいったん答えはしたものの、基本的に自信を持って言える事柄ではなかっただけに、「わからない」が正解ーーという山崎氏の記事は、心の重荷がすこし軽くなった気分です。 

くだんの知人にも「読んでみたら?」と勧めてみようと思います。 

(いしばしわたる) 

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