新NISAは夫婦そろってやるのがお得:専業主婦は運用金額に注意

新NISAは夫婦そろってやるのがお得:専業主婦は運用金額に注意

2024年1月からNISAの制度が大きく変わります。我が家は夫婦そろってNISA口座を開設しているので、24年からは夫婦とも枠いっぱい使って資産運用するつもりですが、友人と話していると「妻はやっていない」というケースが意外と多いのです。なんてもったいない!と思うので、夫婦そろって資産運用するメリットについて取り上げます(2023.8.12)

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友人たちとの会話

最初に友人たちとの会話を紹介します。わたしと友人Aは、妻も会社員で共働き夫婦、友人Bの妻は専業主婦です。 

わたし:新NISAは夫婦そろってやれば1年間の非課税枠が720万円にもなるから、やらない手はないよね。 

友人B:いやあ、うちは妻が「投資は怖い」と言って、証券口座の開設さえも否定的なんですよ。 

友人A:うちも僕だけですね。 

わたし:(友人Aに向かって)でも、奥さんは会社の企業型DC年金はやっているんでしょ? DC年金だって商品を選んで積み立てる方式だから、NISA口座を作って積立投資信託をするのとどこが違うの? 

友人A:確かにそうですけど、そういう話、家ではしないんですよね。

ということで、我が家のスタイルが”少数派”だったのです。

女性は投資に消極的

酒の席でお金の話ばかりするのも無粋なので、これ以上の深入りはしませんでしたが、総じて女性のほうが投資には消極的という話も聞くので、夫婦そろって証券口座を開設している家庭は少ないのかもしれません。 

金融庁の新NISA特設サイト

共働きなら非課税枠は720万円に

新NISAの仕組みについては、以前の記事(NISAとiDeCoについて知ろう)をお読みいただくとして、通常、投資によって得た利益は約20%課税されます(現在は復興特別所得税が加えられて20・315%)が、NISA口座での運用はこれが非課税となるうえに、24年1月から非課税枠が年間360万円に拡大されます。

つまり、共働き家庭の場合、夫だけで新NISAをやるよりも、妻も一緒に行ったほうが非課税枠が2倍に拡大するので、やらない手はないのです。 

専業主婦は運用金額に注意

なお、友人Bの妻のような専業主婦の場合、無職でも証券口座は開設できますから、口座開設自体はまったく問題ありませんが、一点気を付けるとしたら運用する金額です。 

専業主婦ということは自身の収入はゼロですから、夫の収入から積立投資信託などの原資を充てることになります。これは金額が大きいと贈与とみなされる可能性があります。 

国税庁のホームページにはこう書いてあります。 

贈与税がかからない財産は、生活費や教育費として必要な都度直接これらに充てるためのものに限られます。したがって、生活費や教育費の名目で贈与を受けた場合であっても、それを預金したり株式や不動産などの買入資金に充てている場合には贈与税がかかることになります。 

参考URL:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4405.htm

ただ、贈与の場合、年間110万円までは非課税という「暦年贈与」の仕組みがあります。

贈与税は、一人の人が1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産の合計額から基礎控除額の110万円を差し引いた残りの額に対してかかります。したがって、1年間に贈与を受けた財産の合計額が110万円以下なら贈与税はかかりません(この場合、贈与税の申告は不要です。)。 

参考URL:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4402.htm

110万円以内なら主婦もOK

ですから、友人Bの場合は、自分自身で360万円の非課税枠をフルに使い、妻にもNISA口座を開設して、年間110万円以内で運用すれば、まったく税金を気にしないで資産運用できるわけです。 妻にパート収入があるようなら、運用額は110万円+パート収入分の範囲で可能となります。

三菱UFJ国際投信が運営する「mattoco Life」の記事(専業主婦(夫)が自分名義で投資する場合の注意点 押さえておきたい基本を簡単解説)もこう書いています。 

贈与の金額が基礎控除額である年間110万円以下の場合であれば、贈与税が発生することはありません。 

つまり、他に贈与を受けていなければ、この範囲内での投資については贈与税を気にする必要はありません。 

参考URL:https://life.mattoco.jp/post/2022101701.html 

もちろん、夫婦共働きの友人Aは、妻にも給与所得があるので、360万円×2=720万円の非課税枠をまるまる使って資産運用すればよいだけです。 

したがって、結論は妻も証券口座を開設して新NISAを行う。この一択しかありません。 

贈与リスクを減らすことに寄与

これは長い目でみても贈与のリスクを減らすことにつながります。 

我が家がマンションを購入した時、持ち分を夫婦で2分の1ずつにしようとしたら、不動産会社から「贈与とみなされます」と言われたことがあります。 

「いえいえ、妻も給与所得者ですから」と言って、妻の源泉徴収票を示して持ち分2分の1ずつにしたのですが、夫婦間の資金移転は贈与にあたるかどうか気にしなければいけないケースがあることを如実に示すエピソードです。 

でも、専業主婦の場合も、先述のとおり、証券口座で年間110万円(毎月9万1666円)ずつ積立投資信託を行うだけなら、贈与とみなされるリスクを気にする必要はありません。 

年利4%なら、10年で元本1099万9920円に対して、評価益が249万7881円で総額1339万7801円になります。20年なら元本2199万9840円に対して評価益が1162万0923円で総額3362万0763円になります。 

これだけの金額のお金を、贈与とみなされずに夫婦間で資金移転できるわけです。 

新NISAは成長投資枠で国内株も購入できるので、株主優待でも夫婦そろってメリットを享受できるのですが、これは次回書きます。 

(いしばしわたる)