前回の記事(新NISAは夫婦そろってやるのがお得) で、新NISAは夫婦で口座を開設して資産運用すれば非課税枠が拡大するので「そろってやらないともったいない」と書きました。同じように株主優待でも夫婦そろってやるとメリットがあります。実際に我が家のケースで紹介します(2023.8.14)
自社商品や食事券・割引券…
株主優待は、企業が株主に対して品物やサービスを提供する制度です。
楽天証券の記事(株式投資で株主優待を楽しむ)から引用しましょう。

優待内容は、その企業が取り扱っている商品や食事券・割引券・お米・図書カードなど様々です。
保有100株から株主優待を受けられる企業が多く、銘柄によっては数万円~数十万円で100株購入できる場合もあります。
この記事のとおり、自社商品のセットや自社食事券を提供する企業が目立ちます。クオカードを提供する企業も多いです。
企業にとって優待制度を設けるメリットは、
- 自社の商品・サービスの宣伝になる
- 長期保有の株主が増えれば株価が安定しやすい
- 多くの人が保有すれば買収されにくくなる
などが挙げられます。
でも、なぜ夫婦そろってやるのがお得なのか。
それは、株主優待は、保有株数に応じて優待内容がグレードアップするのですが、「100株」保有がもっともコストパフォーマンスがよいからです。
多くの人に100株ずつ長期に保有してもらえば株価が安定し、敵対的買収も受けにくくなる。だから、企業側のメリットからみても、「100株」保有の優待を充実させるのは理にかなっているのです。
わたしと妻が実際に保有している銘柄で具体的に説明しましょう。
KDDIはカタログギフト
最初は、3大通信キャリアの一角「KDDI」(9433=証券コード、以下略)です。
KDDIの株主優待は、100株以上保有で3000円相当、1000株以上保有で5000円相当のカタログギフトが送られてきます(5年以上保有は100株以上で5000円相当、1000株以上で1万円相当に)

KDDIの配当利回りは3・33%(予想=8月14日時点)と悪くないので、200株保有したいと思ったとしましょう。株価は4177円(8月13日の終値=以下略)ですから、200株保有するには83万5400円必要です。
もしわたしだけで200株保有しても、カタログギフトは3000円相当ですが、わたしと妻で100株ずつ保有すれば、それぞれに送られてくるので、合計6000円相当です。ひとりで1000株保有して5000円相当のカタログギフトをもらうより、コスパがよいのがわかるでしょう。
【追記】KDDIは優待内容を変更し、カタログギフトから「自社関連サービスの特典から1つ選択」となり、「1年以上2000円相当、5年以上3000円相当」のみとなっています(2024.4.5)
ニッスイは自社商品詰め合わせ
次は、水産大手の「ニッスイ」(1332)です。500株以上で3000円相当、1000株以上で5000円相当の自社商品詰め合わせです。

株価は770・7円(8月13日の終値)ですから、1000株保有するなら77万700円必要です。でも、もし夫婦ふたりで500株ずつ保有する形にすると、購入に必要な金額は同じでも、優待は6000円相当になり、ひとりで購入するよりお得です。
ファンケルの発芽米がお気に入り
3番目は、化粧品や健康食品を展開する「ファンケル」(4921)です。100株以上で3000円相当、200株以上で6000円相当の自社製品です。

株価は2730・5円ですから、200株保有するなら54万6100円必要です。
我が家はファンケルの「発芽米」(上記ページの20番)を愛用しているので、わたしと妻で200株ずつ保有しています。200株で6袋なので、合計12袋です。
楽天市場で買えば、1袋あたり963円です。12袋なので、1万1556円相当です。

以前は楽天市場で購入していましたが、ファンケルの株を購入して以来、すっかり株主優待(+株主割引の購入)に置き換わりました。
国内株の購入には、どうしてもまとまった資金が必要になります。資産を増やしたいなら、複利効果が期待できる積立投資信託や、高配当の国内株の購入が優先されるべきです。
たとえば、高配当で有名な「JT」(2914)は、配当利回りが6・03%(予想=8月14日時点)です。株価が3110円ですから、31万円余りで100株保有でき、そのまま持ち続ければ、毎年1万数千円の配当金が入ってきます(22年12月期は1万8800円)
株主優待を実施している企業は、総じて配当利回りが低いです。KDDIは例外のほうです。
「遠いものは避けよ」の格言
ただ、株の世界には「遠いものは避けよ」という格言もあります。
ともすれば投資に消極的といわれる女性に株式投資をすすめるなら、身近な自社商品が得られる銘柄などで株主優待の魅力を説くことも、ひとつの”方便”ではないでしょうか。
いずれにしても、資産運用は夫婦そろってやるのが吉です。
非課税枠の拡大、暦年贈与による資金移転などのメリットは前回記事で書いたとおりです。わたしの友人のような「夫はやっているけど、妻は消極的」というケースの方は、ぜひ株主優待のメリットもすすめる理由のひとつに挙げてみてください。
(いしばしわたる)