投資商品は利回りと手数料に着目しよう

投資商品は利回りと手数料に着目しよう

以前の記事(ほったらかし投資」をご存じですか)で、資産運用の初心者なら「積立投資信託から始めたらよい」と書きました。とはいえ、投資信託だけでも数多くの商品があります。何を基準に選んだらよいでしょうか(2023.7.12)

〈PR〉

お仕事の種類は246種類!在宅ワークならクラウドワークス

高利回りに幻惑されないように

まず最初に着目したらよいのは「利回り」と「手数料」です。 

利回りは、以前の記事(ラテマネーを運用すればいくらになるか)で紹介したとおり、利回り(年利)が1%上がるごとに複利効果によって評価益がうなぎ上りになるので、利回りが高ければ高いほどよいことは間違いありません。 

一方、手数料は逆に安ければ安いほうがいいですね。高利回りをうたいながら、手数料もがっぽり頂く、などという金融商品もありますから、利回りだけに幻惑されないことが大事です。 

例えば、頼藤太希氏と高山一恵氏の「定年前後のお金の教科書」(宝島社)には、「手数料が高い商品は損しやすい 退職金で買ってはいけない金融商品を知っておく」という一節があります。

例えば、定期預金と投資信託やファンドラップなどをセットにした退職金運用プランです。定期預金は5~7%という高い金利が提示されますが、投資信託で購入時手数料や信託報酬が高く設定されているケースがほとんどであり、トータルで計算すると損をしやすい商品です。オプションつきの投資信託や仕組み債も同様です。

年利6%に釣られ手数料で損

同書には、「円定期預金3か月ものの金利年6%」の定期預金1000万円と「販売手数料3%」の投資信託1000万円の抱き合わせ商品が、図解入りで掲載されています。 

定期預金で得られる金利(3か月分)=1000万円×1・5%=15万円 

投資信託の手数料=1000万円×3%=30万円 

金利が「6%」で手数料が「3%」なら差し引き3%の利回りか、と錯覚させる商品ですね。儲けるのは手数料で稼ぐ金融機関というわけです。こんな商品を金融機関の営業担当に勧められないようにしないといけません。 

3種類の手数料がかかる

手数料のことをもう少し掘り下げます。 

同じ頼藤、高山両氏の「1日1分読むだけで身につくお金大全100」(自由国民社)は、「投資信託であれば、買うときに購入時手数料・持っているときに信託報酬、売るときに信託財産留保額」がかかり、金融機関によって手数料が異なる場合が多いことを指摘して、次のように勧めています。 

一般に、街の中に店舗を構えていて営業している店舗証券よりも、ネット上で営業しているネット証券やスマホの取引に特化したスマホ証券のほうが手数料が安くなっています。ですから、これから口座開設するのであれば、ネット証券やスマホ証券がおすすめです。 

わたしも同感です。特に取り扱い商品が多い楽天証券SBI証券がおすすめです(おすすめの理由は別の機会に改めて書きます)

 おすすめはインデックス型投信

もうひとつ、手数料の多寡で必ず出てくるのが、投資信託商品の「インデックス型」「アクティブ型」の違いです。 

前者は日経225やS&P500といった指標(ベンチマーク)と連動した値動きを目指す商品で、後者は指標を上回る運用成果を目指す商品です。後者はファンドマネージャーが運用する分、手数料が高めに設定されています。 

したがって、投資初心者が最初に手を出すならインデックス型投信がよいと言われています。 

「ほったらかし投資」を勧める書物のひとつ、水瀬ケンイチ氏の「お金は寝かせて増やしなさい」(フォレスト出版社)から引用しましょう。 

インデックス型の勝率は7~8割

アクティブファンドはインデックスを上回ることを目指すのだから、アクティブファンドの方がインデックスファンドよりも儲かる気がしませんか。直感的にはそういう感じですよね。 

ところが、事実は直感と違い、インデックスファンドの方が圧倒的によい運用成績を上げているのです。 

日本の大手投資信託評価会社であるモーニングスターの2015年の調査では、国内株式クラスのアクティブファンドのインデックスファンドに対する勝率は、1年で26%、3年で33%、5年で39%、10年でも32%しかなく、全期間をとおして20~30%台の勝率しかありません。つまり、アクティブファンドの70~80%はインデックスファンドに負けているということになります。 

(略) 

この傾向は日本だけでありません。世界的にも同じ結果が出ています。 

世界最大の指数提供会社であるS&Pダウ・ジョーンズ・インディシーズの2016年の調査によると、米国株式クラスのアクティブファンドのインデックスに対する勝率は、1年で15%、5年で8%、10年で15%しかなく、全期間をとおして10~15%の勝率しかありません。

ユーチューブチャンネルで有名な「両@リベ大学長」さんの「お金の大学」(朝日新聞出版)も、インデックス型の投資信託を勧めています。 

資産運用のスタンダード

インデックスファンドより良い成績をおさめられるアクティブファンドは、なんとたったの10~30%程度しかないことが、世界各国の数々の研究で明らかになっとるで。 

プロでさえ、指数に勝ち続けるのは難しいんや。素人が指数に勝ち続けるのはさらに難しいことなんやで。 

結論、ワシは圧倒的にインデックスファンドをおすすめするで。今やインデックスファンドこそが資産運用の世界のスタンダードや。 

・小額から幅広く分散投資ができる(リスクが下げられる) 

・圧倒的に低コスト!(運用手数料が安い)

・大手のアクティブファンドに勝てる! 

指数に連動するインデックス型の投資信託を積み立てるだけなら、営業トークがなくて済むネット証券で十分ですね。 世間を騒がせている仕組み債あたりを掴まされたりしないですし、ネット証券のほうが安心です。 

おすすめのインデックス型投信

「両@リベ大学長」さんの「お金の大学」は、具体的に推奨するインデックス型投資信託をいくつか挙げています。 

頼藤、高山両氏の「1日1分読むだけで身につくお金大全100」は、次の商品を「おすすめ」として挙げています。 

通称「オルカン」と呼ばれる「eMAXIS Slim全世界株式」と「eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)」は、両方の書籍が推薦しています。 

純資産総額もトップクラス

両書が推薦する計7商品は、どれも売買手数料はゼロで、信託報酬料も低く設定されています。

純資産総額がトップクラスのものばかりですので、資産運用のため最初に積み立てする投資信託として適しているでしょう。 

次回は利回りのことを掘り下げたいと思います。

(いしばしわたる)