新NISAへの移管 注意するポイントは?

新NISAへの移管 注意するポイントは?

このテーマは以前も書いているのですが、いよいよ新NISAスタートまで1か月を切り、折しも同趣旨のテーマを取り上げた配信記事がありましたから、記事の紹介かたがた改めて取り上げてみたいと思います(2023.12.7) 

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新NISAで買い直すべきなのか

配信された記事は「保有中の株や投資信託は売って新NISAで買い直すべきなのか」。執筆はファイナンシャルプランナーの鈴木靖子さんです。 

鈴木さんはいくつかケース分けして解説していますが、基本は「買い直し」推奨です。 

●パターン1:利益が出ている、または損失が少額である 

現在保有している銘柄を売って、新NISA口座で買い直すとよいでしょう。新NISAで買い直すことで、これまでは利益に対してかかっていた税金が期限の定めなく非課税で運用できるようになるためです。 

●パターン2:ある程度の損失が出ている 

今後価格が回復しそうであれば、それを待って売却するとよいでしょう。 

回復が見込めないようなら、思い切って損切りするのが得策です。 

●パターン3:株主優待目的で株を保有している 

もし長期保有で優遇される銘柄であれば、先に新NISA口座で買って、その後現在保有している課税口座で売るとよいでしょう。先に現在保有している株を売ってしまうと株主番号が変更になり、保有期間がリセットされる可能性があるためです。 

長期保有優遇銘柄は注意

自分も鈴木さんの記事に同感ですが、気を付けたいのはパターン3です。長期保有優遇の株主優待がある銘柄の場合、必ず新NISA口座で買うのが最初のアクションです。 

このことは「ダイヤモンド・ザイ」23年12月号の特集記事「すでに株をやってる人の新NISAのギモン32連発」にも出てきて、記事はauカブコム証券の人のコメントを載せています。

「ダイヤモンド・ザイ」23年12月号

「(長期保有優遇の株主優待がある銘柄を)課税口座で100株保有している場合、先に新NISA口座で買い増してから、課税口座の100株を売却します。この順番なら100株以上をキープできるので、継続保有が途切れることはありません」 

「ダイヤモンド・ザイ」23年12月号より

理由は鈴木さんが書かれているとおり、株主番号の連続性が途切れるからで、この点は注意が必要です。 

値下がりしそうな株は避ける

優待株よりも配当利回りがよい株を優先して買い替えるべきだーーという視点は、鈴木さんの記事にはありませんでしたが、鈴木さんもこう指摘しています。

株主優待目的で保有している株であっても、業績の動向をチェックしておくことは大切です。業績悪化により株主優待が廃止されたり内容が改悪されたりするケースもありますし、株主優待の廃止が原因で値下がりするリスクも考えられます。そのため新NISA口座で買い直す場合は、株主優待の内容だけでなく今後の業績もふまえて判断することをおすすめします。 

結局、値下がりしそうな銘柄は新NISAに移すと危険ーーということです。これはひとえに新NISA口座が損益通算できないためです。 

高配当+成長性・安定性

なお、わたし自身は新NISAの成長投資枠をどう使おうか、今も思案している最中です。 

以前の記事(新NISA 特定口座からお金を移すべきか)で、 

  1. 特定口座の国内株を売却して、新NISAの成長投資枠で同じ銘柄を購入する 
  2. 特定口座で配当利回りの低い国内株を売却して、新NISAの成長投資枠で配当利回りの高い国内株を購入する 

の組み合わせで考えていると書きましたが、いまは2のほうに傾いています。

贅沢な悩みかもしれませんが、買い替え候補にしている大型株の銘柄は評価益が大きく、特定口座で損益通算するためには利回りが低く(かつ評価損のある)銘柄を売却する必要があるためで、それならいっそ2の方針をメーンに据えたほうがいい……と考えているからです。

ただ、配当利回りだけに着目するのはよそうとも思っています。理由は、 

  1. 新NISAは損益通算ができないため、値下がりリスクのある銘柄は何としても避けたい 
  2. 配当利回りだけで判断するのではなく、企業の成長性・安定性も加味して銘柄を選びたい 

と考えているからです。 

例えば、以前に「かぶツミ」を試しにやってみた際に選んだ5銘柄、これを【Aグループ】とします。銘柄(証券コード)と予想配当利回り(12月7日現在)は以下のとおりです。 

【Aグループ】

  • 三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306) 3.31% 
  • 三井住友フィナンシャルグループ(8316) 3.77% 
  • 三菱商事(8058) 3.07% 
  • 伊藤忠商事(8001) 2.76% 
  • 東京海上ホールディングス(8766) 3.23% 

いずれも大型株ですが、私が保有する同じ大型株でも配当利回りだけに着目したら、下記【Bグループ】の5銘柄のセレクトになります。 

【Bグループ】

  • JT(2914) 4.91% 
  • ソフトバンク(9434) 4.74% 
  • 武田薬品工業(4502) 4.58% 
  • 日本製鉄(5401) 4.41% 
  • SOMPOホールディングス(8630) 4.22% 

でも、それぞれ10年チャート図で比較してみると、後者はソフトバンクとSOMPOホールディングス以外の3銘柄はデコボコしています。つまり購入価格より下げる可能性が他の銘柄より高いということです。

【Aグループ】
【Bグループ】

まだ【Aグループ】の5銘柄と決めたわけではないですし、きっと【Bグループ】の5銘柄からもNISA口座で買い増しを行うことになると思いますが、わたしが言いたいのは「配当利回り+成長性・安定性で選ぶ方が無難」ということです。 

新NISAスタートまでまだ時間はあります。鈴木さんの言うとおり、「業績の動向をチェックしておく」ことがとても大事になりますね。 

(いしばしわたる) 

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