最近のマネー系雑誌を見ていると、新NISAや高配当株の特集が目立ちます。新NISAは24年1月スタートと間近に迫っているので当然ですが、高配当株の方はなぜでしょう。わたしが想像するに、株主優待が魅力の銘柄は特定口座で…という人が多いからではないでしょうか(2023.10.27)
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マネー系雑誌の特集
最初にマネー系雑誌の代表格である「ダイヤモンド・ザイ」と「日経マネー」の最新刊と過去3か月の合計4か月分の表紙をごらんください。


NISAの文字がない月がひとつもないのは当然でしょうが、「高配当株」や「増配株」といった見出しが明らかに目立ちます。一時期は「株主優待」の特集が目につきました(元プロ棋士の桐谷さんは引っ張りだこでした)が、最近は明らかに「高配当」がトレンドのようです。
これには理由があるとわたしは思っています。それは、特定口座で購入した銘柄でも、株主優待品は課税対象ではないことが影響していると思います。
優待銘柄と歴然の差
少なくとも私の場合、新NISAの成長投資枠で購入するのは配当利回りの高い銘柄にして、株主優待が魅力の株は特定口座で持ち続けよう…と決めています。
私が保有している株主優待銘柄と高配当銘柄をモデルに、具体的に比較してみましょう。
我が家が毎食食べている「発芽米」が株主優待でGETできる「ファンケル」(4921=証券コード、以下同じ)の株価(10月26日終値、以下同じ以下同じ)は2281円。毎日の買い物が3%引きになるオーナーズカードが送られてくる「イオン」(8267)の株価は3096円です。
一方、私が保有している高配当株ーー「JT」(2914)の株価は3455円、「ソフトバンク」(9434)は1681・5円です。
100株ずつ購入するとして、「ファンケル+イオン」は53万7700円、「JT+ソフトバンク」は51万3650円。どちらも50万円台前半で取得できます。
ところが、株主優待の2銘柄の配当金は、ファンケルが3400円、イオンが3600円の合計7000円。 一方、高配当の2銘柄の配当金は、JTが1万8800円、ソフトバンクが8600円の合計2万7400円です。
NISAの恩恵は非課税にありまから、源泉徴収分を20%で計算すれば、特定口座で持つよりも「ファンケル+イオン」は1540円の得、「JT+ソフトバンク」は5480円の得、という計算になります。 非課税の恩恵の差は、株を保有する限り続きますので、毎年拡大の一途をたどります。
ファンケルの「発芽米」もイオンの「オーナーズカード」も、NISAであれ特定口座であれ、きちんと受け取れます。
これはもう、配当利回りの多寡だけに着目して銘柄選びをしたほうがよいのは明白です。
ちなみに、4銘柄の配当利回りは以下のとおりです(いずれも予想配当利回り)
- ファンケル:1・49%
- イオン:1・16%
- JT:5・40%
- ソフトバンク:5・08%
ザイの最新号に解説
ところで、こういうことを考えるのは誰しもなのでしょう。ちょうど「ダイヤモンド・ザイ」の最新号(23年12月号)が「新NISAのQ&A32」という特集の中で、図表もつけて解説していました(「ダイヤモンド・ザイ」は個別銘柄に触れたページは読めませんが、特集は楽天マガジンでも読めるのです)
Q:課税口座の株や投信は早く新NISAに移すべき?
A:成長株や高配当株を優先! 優待株は後回しでもOK
該当部分の本文も引用します。
株主優待に関しては新NISAによるメリットはない。もともと株主優待は、厳密には雑所得とみなされるものの実質的には課税されていないからだ。株主優待に関しては課税口座と新NISA口座で扱いは変わらないので、優待株は後回しでもOK。値上がり株が狙える成長株や、高配当株を優先して新NISA口座に移すのがオススメだ。

この記事は、すでに特定口座で保有している銘柄をどの順番で新NISA口座に移すかーーという設問ですが、これから国内株を買おうと考えている人にもあてはまります。
新NISA口座で買うのは高配当株のほうがメリットがあり、株主優待が魅力(でも配当利回りは低い)という銘柄は特定口座(源泉徴収あり)で購入すればよいでしょう。
ただ、株主優待が魅力の銘柄にも、配当利回りが悪くないところはあります。

配当利回りの高い株主優待株はこちらをご覧ください
あくまで配当利回りにこだわる…というのが新NISAの正しい活用法だとわたしは思います。
(いしばしわたる)