就活は恋愛に似ている

就活は恋愛に似ている

人の一生は3つの時期に分類できます。生まれてから社会人になるまでの幼年期・青年期。続いて、社会人の時期。最後に、仕事をリタイアしてからの老年期。会社でバリバリ仕事をするのも、恋愛から結婚、子育てに精を出すのも第2の時期であり、ここが人生の「あんこ」部分と言えましょう。そう考えると、社会人になるための就職活動は、人生の方向性を大きく左右する一大イベントであることがわかるでしょう(2023.7.1) 

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「こうやれば必ず合格」の処方箋はない

とはいえ、就活につまずく人は決して少なくないように思います。 

志望する企業・職種で採用通知が来ないケースもあるでしょうし、受けても受けても受からずに就職留年を余儀なくされるケースもあるでしょう。朝井リョウ氏の小説「何者」を読んでも(あるいは映画をみても)、就活が人生の難所であるという言い方は決して大げさではありません。 

高校受験や大学受験は、受験科目の問題集を解けば合格の可能性を高めることができますが、就活の場合、「こうやれば必ず合格する」という処方箋があるようには思えません。 

ただ、ひとつアドバイスするとしたら「就活は恋愛に似ている」ということでしょうか。 

あなたがラブレターを受け取ったとしましょう。 

自分がいかに勉強ができるか、スポーツ万能か、などなど、自分のアピールばかり書いてあったら、あなたはどう思いますか? 

自分のどこに惹かれたのか書いてなければ、「どうしてわたしを好きになったの?」と疑問に思うはずです。 

志望企業・職種への思いを語れるか 

就活も同じです。 

エントリーシートの書き方、あるいは面接の受け答えで、自分が学生中(サークル活動などで)何をやったかを延々とアピールするだけの学生と、志望する企業や職種への思いをきちんと言語化して語れる学生と、どちらが合格の可能性が高いか。答えはおのずと明らかでしょう。 

「就活=恋愛」説は、「『就職四季報』パーフェクト活用術」(東洋経済新報社)にも出てきます。 

就活を始めるにあたって、資格の有無やサークルでの役職ばかりを気にする学生は多い。にわかに英会話学校に通い始めた人もいるのではないだろうか。 

だが、人事はそんなことでは学生を判断しない。 

エントリーシートは会社へのラブレターだ。ラブレターをもらった人がまず気になることを考えてみよう。 

どうして自分に興味をもってくれたのか、自分との相性はどうなのか。一緒にやっていけるだけの生活能力があるのかも重要ではあるが、それは資格やサークルでは測れない。

ESは会社へのラブレター

ラブレターだと思えば、恋愛だと思えば、就職したいと思う企業について、何を知ったらよいか、想像が膨らんできませんか。

顔やスタイルだけ褒めそやしても、かえって「キモイ」と嫌われるでしょう。もっと内面まで掘り下げて「あなたのこういうところに惹かれました」とアピールできなければ、「ごめんなさい」と断られるだけです。 

IRのページは情報の宝庫

企業のホームページひとつとっても情報の宝庫です。

採用募集のページは誰でも読むに決まっているでしょうが、さらに株主・投資家向けのIR情報のページまで行けば、社長のメッセージ、向こう数年間に取り組む中期経営計画などの情報も入手できます。 

そういう情報に触れて「あ、いいな。こんな会社で働きたいな」と思った部分を書き出してみれば、それこそが「あなたのこういうところに惹かれました」の土台になるものです。

「パーフェクト活用術」から再び引用しましょう。 

「会社のどこに惚れたのか」

「会社のどこに惚れたのか」という質問への答えが志望動機となる。 

まず好きになるには出会いがなければ始まらない。 

学生にとって、会社との出会いなどといってもタカが知れている。最初はみんあ「有名だ」とか「商品をいつも使っている」といったところだろう。 

成功と失敗の分かれ目は、それですませるか、さらに深掘りできるかにある。少しでも興味がある会社について、自分がなぜ興味をそそられるのかを考えてみるのだ。 

「パーフェクト活用術」は必携 

「パーフェクト活用術」は、2010年発刊ですこし古い本ですが、それでも就職活動の準備段階で必ず読むべき一冊だと思います(キンドル版もあります) 

エントリーシートや面接の対策だけでなく、企業のどこに着目すべきか(「3年後離職率」や会社の業績指標など)についても丁寧に書いてあります。同書を手がかりにして、最新版の「就職四季報」「業界地図」を読んでいけばいいでしょう。できれば大学1・2年生の時期に手にしてほしい一冊です。 

(いしばしわたる)