「暴落時にどう行動したらよいか」という趣旨で記事を書いたら、公明党の連立離脱や米国市場の急落が重なって、3連休明けの14日(火)は暴落必至の気配です。一方で絶好の買い場でもあるので、連休明けは市場と政局の動向を注視する必要があります(2025.10.11)
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市場は連立離脱に反応
それにしても、公明党が連立離脱を決断するとはなかなか予想できませんでした。わたしは「チキンゲームを仕掛けつつも、最後は公明党が折れるのでは…」と思っていました。
そういう人が多かったせいでしょうか、自公関係の雲行きが怪しくなった10日の東京株式市場は利益確定の売りが先行、一時600円以上の下げ幅に。 さらに市場が閉じてから正式に連立離脱が表明されると、大阪取引所で日経平均先物12月物が一時2440円安の4万5180円まで下落。これで3連休明けの東京株式市場は急落を予想する空気が支配的となりました。
運悪く米国市場も急落しています。中国によるレアアース輸出規制に反発したトランプ米大統領が「大幅な関税引き上げを検討」とSNSに投稿。これに反応してダウ工業株30種平均は前日比878ドル安となりました。
「ブラックスワン」の声
今朝(10月11日)の読売新聞は、「「高市トレード」一転、想定外の連立離脱で日経平均先物は大幅下落…野党大連合なら「ブラックスワン」の声」という記事を載せています。
10日の東京金融市場は、公明党が自民党との連立政権離脱を表明したことで円高が進み、日経平均先物も大きく下落するなど動揺した。最高値圏を推移していたこのところの過熱感から一転、市場は不透明さを増す国内政局に身構える。3連休明けとなる来週も神経質な展開が続きそうだ。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の大西耕平氏は、予測できない出来事を示す「ブラックスワン」の可能性に言及する。「仮に野党が大連合を組み、高市氏が首相に就任しなければブラックスワンのシナリオだ。来週は相場の変動が大きくなる可能性がある」と話す。
読売新聞 – 「高市トレード」一転、想定外の連立離脱で日経平均先物は大幅下落…野党大連合なら「ブラックスワン」の声

ブラックスワン! もしそうなら、それは大変…
リーマンショック級?
ブラックスワンとは、
マーケットにおいて事前にほとんど予想できず、起こったときの衝撃が大きい事象のこと
を指します。SMBC日興証券の「初めてでもわかりやすい用語集」から引用します。
従来、すべてのスワン(白鳥)は白色と信じられていましたが、オーストラリアで黒いスワンが発見されたことにより、鳥類学者の常識が大きく覆されました。これにちなんで、確率論や従来の知識や経験からは予測できない極端な事象が発生し、それが人々に多大な影響を与えることをブラックスワンと呼んでいます。
具体例としては2008年のリーマンショック、2016年6月の英国EU離脱が挙げられます。また、2020年の新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)は、究極のブラックスワンといえるでしょう。
SMBC日興証券 – 初めてでもわかりやすい用語集「ブラックスワン」
自民単独か、野党大連立か
20日過ぎには首班指名選挙が行われる見通しです。
その時にははっきりしますが、個人的に予想するなら”本命”は自民党単独政権で高市首相、”穴馬”が野党大連立で玉木首相、そのいずれかではないかと……。
3連休明けの14日が公明党の連立離脱や米国市場の急落を反映してかなりの急落に見舞われるのは確実でしょうが、自民党単独政権なら株価は持ち直す可能性もあり、万万が一、野党大連立政権ならさらなる暴落ーーという感じでしょうか。
いずれにしても、14日以降しばらくは政局関連の情報にも気を配る必要がありそうです。
「静観する」が正解
暴落時にはどう対応するのがよいでしょうか。
ブラックマンデー越えとなった24年8月5日の暴落時の対応について、記事にまとめたばかりです。5000人以上の個人投資家に対するアンケート調査結果のポイントは次の3点です。
- 男女とも各年代とも圧倒的に「静観した」が多数を占めた
- しかし、「損失が出る前に売却した」「損失が出てから売却した」「売却し、口座も解約した」と回答した人は20代・30代に多い
- 若い世代はSNSの情報に影響を受けた可能性がある
3連休明けに急落したとしても、大半の人は「静観」するでしょうし、それが正解です。特に若い世代は株価の上下動に一喜一憂しないでほしいものです。
ブラックスワンと言われるリーマン・ショックやコロナ禍でも、時間はかかっても株価は回復しています。暴落時に売却したり、投資から遠ざかるのは絶対NGーーと心得ておいてほしいものです。
絶好の買い場でもある
他方、暴落は絶好の買い場であるとも言えます。
今年3月に個人投資家ヘムさんの新刊本「「増配」株投資 年1,075万円もらう資産3.7億円の投資家が教える!」(KADOKAWA刊)を紹介した記事で、次のように書きました。
ヘムさんは「多くの投資家が合理的な判断ができなくなったこのタイミングこそ、優良銘柄が安く買える『千載一遇のチャンス』と言えます」「買い向かえる投資家になることが成功への近道です」と指摘します。そのうえで、
よぎる「昨夏の急落」? 暴落への心構えを再確認しよう普通の投資家が暴落を乗り切るために必要なことは、1にも2にもキャッシュポジションの確保です。
CP(キャッシュポジション=現金保有額)の割合は年齢、資産額、入金力等にもよるので一概には言えませんが、私は最低でも30%は確保することをおすすめしています。
実際に元証券会社勤務の友人から聞いた話ですが、多くの顧客の中でリーマンショック時に買い向かえたのは潤沢な投資資金を現金でキープしていた2人だけだったそうです。
今回は妻の方に買付余力があるので「千載一遇のチャンス」と思って、株価が下がったら買う「監視銘柄」のブラッシュアップに努めています。
ヘムさんの本に出てくる金言を、以前の記事から改めて引用します。
「投げ売りする人から買うことはこの世界で最良の選択肢だが、投げ売りする側になるのは最悪の道である」(ハワード・マークス)
「慌ててはいけない。売るのは暴落の前で、後ではない」(ジョン・テンプルトン)
「株は単純。皆が恐怖を感じている時に買い、陶酔状態の時に恐怖を覚えて売ればいい」(ウォーレン・バフェット)
よぎる「昨夏の急落」? 暴落への心構えを再確認しよう
暴落に動揺しないで静観できるか、むしろチャンスに生かせるかーー。3連休明けの1週間は、市場と政局の動向から目が離せません。
(いしばしわたる)
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