三井住友DSアセットマネジメントが「新NISA白書」を発表しました。個人回答で5407人も参加した白書ですが、暴落時にどう行動したかという設問がありました。今後につながる話題なので取り上げます(2025.10.8)
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個人5407人が回答
「新NISA白書」は、三井住友DSアセットマネジメントが行ったもので、
新NISAもいよいよ2年目。
次のステップに進むにあたり、去年の振り返りや今後への期待などを
「個人投資家」「金融機関」「金融機関の営業担当者」にそれぞれ
聞いてみました。
と書いています。このうち個人投資家は5407人の回答をもとに分析しています。
昨年8月の暴落「静観」多数
個人的にもっとも興味深かったのが「2024年8月の相場変動時の対応について」という設問への回答と分析です。
Q15. 2024/8/5の相場急落後、どのような投資行動を行いましたか?
Q16. 2024/8/5以降の相場上昇時にどのような投資行動を行いましたか?
どちらの設問でも「静観」した人が圧倒的に多く、特にQ16をみると、次の投資行動の原資に充当した、もしくは充当する予定の人が多くを占めています。
「予定はない」と答えた人は、おそらく急落を機に投資から距離を置いた人ではないかと想像しますが、そういう人はあくまで少数派だということが、このアンケート結果からうかがえます。
新NISAを機に「貯蓄から投資へ」の流れが定着しつつあるーーとみてよいのでしょう。
若い人ほど「売却」「解約」
ただ、この設問を詳細版でみてみると、若干気になる傾向が読み取れます(詳細版は上記ページからPDFで無料ダウンロードできます)
24年8月の相場急落時に取った行動について、男女別・年代別にグラフ化しています。
これをみると「静観」と回答した人は、男女とも年代が高い人ほど多く、20代・30代に「損失が出る前に売却した」「損失が出てから売却した」「売却し、口座も解約した」と回答した人が多いことがわかります。

うわあ、なんてもったいない! 若い人ほど複利効果が発揮されるのに。複利効果やドルコスト平均法について基本的な知識がなかったのだろうな…

複利効果はこちらをごらんください
ラテマネーを運用すればいくらになるか
ドルコスト平均法はこちらをごらんください
「ほったらかし投資」をご存じですか
SNS情報の影響?
白書の詳細版は、若い人に売却や口座解約が多い理由について次のように分析しています。
20~40代の投資家はSNSなども積極的に活用し、能動的に情報を取得している方が多いと考えられますが、その反面、情報発信元の影響を受けた行動を取った方も一定数いた可能性があります。
これはよくわかります。昨年8月の暴落時、わたしは「ブラックマンデー越えの下落でも「一喜一憂しない」でほしい」という記事をまとめ、その中でSNS内の言説も紹介しています。
この週末、同じような年頃で資産運用をしている知人と連絡をとりました。記事を読んだAさんは昨晩、
それでも(投資初心者は)狼狽売りをしてしまうのですよね。新NISA熱も一気に冷めてしまうかも。結局、古参組が安く仕入れて生き残るのでしょうか…
きょうは、X(旧ツイッター)上で
- 「新NISAのオルカン損切りします」
- 「私も投資信託を全額売りました。新NISAに手を出すべきじゃなかった」
というツイートがあることも教えてくれました。
新NISAを機に資産運用を始めた人は、これで「羹(あつもの)に懲りて膾(なます)を吹く」になったら、ほんとうに不幸なことだと思います。でも、Aさんの予想が的中して「羹に懲りて」しまった人が、少なからずいるみたいです。
ブラックマンデー越えの下落でも「一喜一憂しない」でほしい
「投資が怖くなった」
白書の詳細版は、「売却」した人に理由も聞いています。
「投資を続けることが怖くなったから」という回答の多さをみても、昨年8月の暴落時に「羹に懲りて」しまった人が一定数いたのは間違いないのでしょう。なんとももったいないことです。
最悪はトランプ関税ショック
個人へのアンケート調査は、今年2月28日から3月4日に実施したと書いてあります。つまり、トランプ関税ショックで急落した今年4月7日よりも前の調査ということです。
わたしは昨年1月から新NISAを始めて、成長投資枠では1年目から含み益が100万円を超えましたが、唯一、含み損となった日が1日だけあります。それがトランプ関税ショックの今年4月7日です。
NISA口座は一足先に含み損となりました。24年1月以来、評価損益がマイナスになったのは初めてです。
多い時は120万円台の含み益だったのに、たった1日でマイナスまで落ち込むとは…。
トランプショックとして「永遠に記憶される」のではないでしょうか
ブラックマンデー超えの昨年8月の暴落時でも、NISA(成長投資枠)は19万円あまりの含み益でした。
では、ブラックマンデー越えの下落を経た数字はいくらでしょうか。
まだプラスなのはマシなほうでしょう。
いかにトランプ関税ショック後の市場暴落がすごかったかがわかります。
ちなみに、きょう現在、わたしのNISA口座はこうなっています(9時10分時点)

含み益がプラス163万円超です。なかなか立派ですよね?
金融教育の充実が必要
トランプ関税ショック時のマイナス27万円、昨年8月のブラックマンデー超え時のプラス19万円。こういう凹んだ時の経験を先に持っていれば、市況が回復したら持ち直すと信じることができただろうに…と悔やまれます。
市場は「高市トレード」で上がり基調が続いていますが、暴落は繰り返し起こるものです。
その時の心構えとして、若い世代に対する金融教育(ドルコスト平均法や複利効果といった基礎知識を伝えること等)の充実が必要なのかもしれません。
(いしばしわたる)
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