三浦しをん氏の傑作小説を原作とし、多くの感動を呼んだドラマ『舟を編む 〜私、辞書つくります〜』の地上波再放送が決定しました。本作は、映画版や原作小説では後半部分にあたるエピソードを中心に据え、現代的な視点から辞書編纂の舞台裏を描き出した名作です。本記事では、今回の地上波再放送が持つ意義や、作中で描かれる「言葉の持つ真の重み」について解説します。映像を通して言葉の奥深さに触れてみたい方は、ぜひ参考にしてください。(2025.6.21)
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原作小説と映画の後半部分を軸にドラマ化
『舟を編む』は三浦しをんさんの小説で、2013年には主人公・馬締光也を松田龍平さん、その恋の相手・香具矢を宮崎あおいさんが演じて映画化されています。
小説や映画は14年かけて中型国語辞典『大渡海』の編纂に挑む馬締らを描きますが、2024年にNHKBSで放送されたドラマ版は、小説や映画の後半部ーー辞書編纂がいよいよ動き出すこととなり、辞書編集部に女性誌編集部から岸辺みどりが加わったところから始まります。映画版は黒木華さん、ドラマでは池田エライザさんが岸辺みどりを演じます。
ドラマ版(全10話)はすでにDVDにもなっていますし、有料動画配信サービスのAmazonプライムビデオでも視聴できます。DVD発売に合わせたPR動画もあります。
今この時代に観るべき地上波再放送の意義
にもかかわらず、地上波で再放送するのはかなり珍しいでしょう(ずいぶん前の朝ドラを昼の時間帯に再放送したりしますが、それとは意味が違うと思いますので…)
ドラマ版で馬締役を務めたロックバンド「RADWIMPS」のボーカル、野田洋次郎さんが地上波放送の意義をインタビューで答えています。
――地上波放送でより多くの方が観る機会となります。あらためて今再放送される意義はどんなところにあると感じますか?
過度な表現、目を引く安直な表現がSNS含め普段僕たちが生きる世界でどんどん幅をきかせているように感じます。強い言葉の陰に隠れ、本来僕たちの心が持つ小さな機微や陰影にどんどん気付かなくなっていってしまうとしたらそれは怖いことだなと感じます。「自分の言葉で話したい」「あなたのことを理解したい」そう思わせてくれるこの作品が今回放送されるのには、大きな意味があると信じています。
ドラマ10「舟を編む」放送開始!野田洋次郎さんからコメントが届きました!
なるほど。確かにSNSの普及で過度な表現がどんどん幅をきかせている…という時代にあって、言葉のひとつひとつにこだわる馬締や岸辺みどりらの姿を多くの人に観てもらう意義は大きいな…とわたしも思います。
「なんて」という言葉に隠された真意に気づく
今週火曜に放送した第1話なら、岸辺みどりが頻繁に使う「なんて」というフレーズに光をあてています。
日の出の撮影に情熱を持つカメラマンの恋人に対して「日の出なんて…」とつい口走るみどり。『大渡海』の監修を務める老国語学者・松本(ドラマ版は柴田恭平さん)の前でも「辞書なんて…」と口走る……。
柴田さん演じる松本先生に「『なんて』を今度辞書でひいてみてください」とにこやかな表情で言われ、辞書をひいて「軽視」を意味すると知った時のみどりの驚愕。恋人が離れたのはみどり自身の言葉の使いかたのうかつさ……。知らず知らずに相手を傷つけていたことを自覚するエピソードとなっています。
今度の火曜夜放送の第2話なら「恋愛」という言葉の辞書の語釈に違和感を覚えるみどりの言葉との格闘が描かれます。
(ちなみに「なんて」と「恋愛」は上記PR動画でも触れています)
そして第3話は、わたしがいちばん好きな元辞書編集部員・西岡が登場します。映画ではオダギリジョーさん、ドラマ版では向井理さんが演じます。

あ~、毎週1話なんて待ってられない!BS放送の時に全10話録画してあるから、もう一度観直そう!
不埒なわたしは2話、3話…と観直し始めてしまいましたが、未見の方はぜひ地上波放送を楽しみにしてください。
野田洋次郎さんの言うとおり、ネットやSNSで短くきつい誹謗中傷の言葉が飛び交う時代だからこそ、言葉の意味に徹底してこだわる『舟を編む』を通じて、多くの人が言葉の持つ奥深さを覗いてみる、再認識してみるきっかけになったらいいな…と強く思います。
なお、ドラマが始まる前に小説や映画の魅力を書いた過去の記事もぜひお読みください( わたしが好きな西岡について熱く書いています)
📖あわせて読みたい:三浦しをん『舟を編む』の魅力|小説・映画・ドラマで描く言葉の力👉
三浦しをんさんの代表作『舟を編む』は、辞書編纂に情熱を捧げる人々の姿を描いた名作です。映画も好評で、多くの読者や視聴者を魅了してきました。さらに、新たなTVドラ…hintnomori.com
(しみずのぼる)
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