ドラマも原作漫画もどっちもいい…「しあわせは食べて寝て待て」 

ドラマも原作漫画もどっちもいい…「しあわせは食べて寝て待て」 

毎週楽しみに観ているドラマがあります。「しあわせは食べて寝て待て」。水凪トリさんの漫画が原作で、ゆったりとした漫画の世界観を味わい深くドラマに仕立てています(2025.5.21) 

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ドラマは第8話、原作は第5

水凪トリさんの漫画「しあわせは食べて寝て待て」(秋田書店)は、膠原病で仕事をパート勤務に切り替えざるを得なくなった主人公が、築45年の団地住まいになって大家の女性や居候の男性と親しくなり、薬膳料理の魅力に惹かれながら、徐々に自身の生活を取り戻していく…というストーリーです。

以前にも記事にしています(薄味でほっこりあたたか:水凪トリ「しあわせは食べて寝て待て」)が、ドラマ化に合わせて秋田書店がPV動画を作成しているので、最初にそちらをごらんください。 

【公式】「しあわせは食べて寝て待て」PV【TVドラマ放送中】

NHK「ドラマ10」枠で放送中の「しあわせは食べて寝て待て」(火曜夜10時から)は、きのう(5月20日)が第8回目の放送日でした。 

第8回あらすじ
鈴(加賀まりこ)の娘の透子が遠方からやってきた。さとこ(桜井ユキ)に部屋をあげると聞いて、あわててやって来たのだ。透子が来たことで団地についての思わぬ事実も判明する。将来建替えとなったら、工事費の高騰や諸事情から膨大な費用負担を強いられるという。払えなければ出ていくしかない。透子は鈴に老人ホームへの入居を勧める。ここで暮らしたいと言う鈴だが…。そして透子はある提案を司(宮沢氷魚)にするのだが…

原作漫画では現在発売されている最新刊ーー第5巻に相当する内容でした。 

「しあわせは食べて寝て待て」第5巻

あれ? でも、鈴さんの娘なんて出てきたっけ? 団地の建替えの大変さや老人ホームへの入居という話もおぼえがないなあ… 

そう思って第5巻(と念のため第4巻も)を読み直してみると、やはりありませんでした。 

母と娘で統一した

わたしも、いくら親しくなっても赤の他人に「部屋をあげる」というのは現実的かな?と思いますし(鈴さんが亡くなれば遺産相続の権利は娘さんにあるわけで、あとで揉めるのでは…とか)、築年数の経った団地の建替えの難しさは社会問題でもあるわけで、そのあたりは脚本家が加えたんだろうな…と想像します。 

とはいえ、無用な挿入かと言えば全然そんなことはありません。この回には、桜井ユキさん演じるさとこのおかあさんが登場します。 

母と娘(鈴さんと娘さん、さとことおかあさん)というテーマで統一感があって、とてもうまい構成に仕立てたなあ…とむしろ感心しました。 

ドラマでは、朝加真由美さん演じるおかあさんが、さとこを心配してスーパーの出来あいを持参してさとこの部屋に訪ねてきます。 

「あんた、痩せたんじゃないの?もっと食べないと…」と言っておかあさんが食卓に並べるのは、ギョウザ、酢豚、煮込みハンバーグ、海老グラタンと、どれも脂っこいものばかり。さとこはギョウザと酢豚に手を伸ばしますが、ほとんど口にせず…。 

若いうちに治しておきなさいよーー病気 

そんな一言がさとこを傷つけます。 

難病は治らないんだって 何百回説明したっけ 

このセリフは原作漫画から引用しましたが、ドラマでも出てきます。 

でも、原作漫画にない部分もあります。おかあさんの忘れたスマホを届けに実家に立ち寄ると、兄の娘が庭でおままごとをしている姿をみて、さとこは自分が幼かった頃のことを思い出します。ハンバーグもグラタンも、幼い頃の好物だったことを… 

すれちがう母と娘のせつない気持ちがとてもよく描けていて、思わずウルッときました。 

ウズラさんの生き方に共感

第5巻には、宮崎美子さん演じる「ウズラ」さんも登場します(ドラマでは第7回と第8回に登場) 

第7回あらすじ
八つ頭と反橋の移住が決まり、さとこ(桜井ユキ)のレンタルルームを唯一利用していた弓も関西へ。みんな旅立っていくのを横目に、移住をあきらめたさとこは体に力が入らない。そんな時、鈴(加賀まりこ)から意外な申し出が。さとこの借りている部屋を将来くれるというのだ。ずっと団地に住むという覚悟ができるのか。悩むさとこは、同じ団地に住む、ウズラ(宮崎美子)という名前でSNSに投稿している女性と知り合うのだが…

ウズラさんは原作漫画から紹介しましょう。ウズラさんの本を出版したい…と考える雑誌社の青葉さん(ドラマでは田畑智子さん)がさとこに説明する部分です。 

ウズラさんっていう方がいらしてね
スーパーのセール品で見事なイタリアンを作るのよ
その方 定年後 一人で暮らしているみたいなの

そのウズラさんがさとこと同じ団地に住んでいるとわかり、青葉さんがさとこにも同席を求める…という展開です(ドラマも原作漫画も同じです) 

離婚して働きながら子供たちを育て、子供が独立して一人になったウズラさんが、SNSにアップした料理をひとりで食べた後、こんなふうに思う場面が挿入されます。 

やっと手に入れた
24時間を自分のために使える喜び
なんて 豊かな

そんな気持ちを、青葉さんとさとこにも説明します。 

私こう見えて若い頃はロック少女だったんですよ
パンク全盛期に20代を送ったもので

私が好きだったのはカリスマ的なバンドで
本当に格好良くて知的で皆の憧れ
そんな彼らが自分たちの音楽について聞かれてこう言ったの
「我々はどのジャンルにも属さないオルタナティブなんだ」って

だから私には どこにも属さない人間は格好良いものだとすりこまれていて
1人でいることにネガティブな感情を抱きがちな今の風潮は苦手です

いいですね~ すごく恰好いい! そのウズラさんを宮崎美子さんがとても素敵に演じています。 

最終回はどんな結末

さて、こんなに毎週楽しみにしていたドラマも来週が最終回。漫画の最新刊までで描かれていないストーリーなんでしょうが、どういう展開になるのか……。 

ちなみに、第5巻の最終ページに次回予告がついていますが、 宮沢氷魚さん演じる司がさとこに 

今度体調の良い日に出かけませんか?
お見せしたい場所があるんですよ

と声をかけるシーンが載っています。 

宮沢氷魚さんもインタビューでこう言っています。 

「謎の多い司が最後にどんな行動をとるのか。心情の変化を楽しんでいただけたら」 

毎週火曜に放送中の「しあわせは食べて寝て待て」。人当たりはいいものの、人との距離を一定以上に保ち、多くを語らない司。今後、司はどうなるのか? 司を好演している宮…
steranet.jp

とっても楽しみです! 

ドラマもいずれ全話配信されると思いますが、原作漫画が優れているからこそのドラマでもあるので、現在5巻まで発売中の水凪トリさんの漫画「しあわせは食べて寝て待て」(秋田書店)も、ぜひ手に取ってみてください。 

(しみずのぼる) 

薄味でほっこりあたたか:水凪トリ「しあわせは食べて寝て待て」
きょう紹介するのは水凪トリさんの「しあわせは食べて寝て待て」(秋田書店)です。新刊を心待ちにしている漫画のひとつで、今月は4巻が発売されたばかり。まだ連載中の漫…
hintnomori.com

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