「べらぼう」を10倍楽しむ方法:ムックは必携、おすすめサイトも

「べらぼう」を10倍楽しむ方法:ムックは必携、おすすめサイトも

NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」は週を追うごとに面白くなっています。ドラマ自体が面白いのは言うまでもありませんが、きょうはドラマを2倍3倍…いや10倍楽しむ方法をお教えしましょう(2025.3.24)

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富本節…朋誠堂喜三

「べらぼう」は横浜流星さん演じる蔦屋重三郎が主人公であるのは当然なのですが、毎回、異なる人にスポットを当てているところも魅力のひとつになっているように思います。 

例えば、先週日曜に放送した第11回「富本、仁義の馬面」(初回放送日:2025年3月16日)でしたら、江戸中期に富本節の全盛時代を築いた浄瑠璃太夫、寛一郎さん演じる富本豊前太夫にスポットがあたります。

二代目富本豊前太夫の最大の武器は、「天性の美声と巧みな節回し」でした。彼の浄瑠璃は聴く者を魅了し、常磐津を凌駕し、富本節の黄金時代を築き上げたのです。一方で、その顔立ちから「馬面豊前」として親しまれてもいました。 

サライ.jp – 美声で江戸を魅了! 富本午之助(二代目富本豊前太夫)の生涯|富本節の黄金時代を築いた江戸浄瑠璃の歌い手【日本史人物伝】 

きのう放送した第12回「俄なる『明月余情』」(初回放送日:2025年3月23日)なら、人気戯作者の朋誠堂喜三二です。 

俄祭りの企画を巡り、大文字屋(伊藤淳史)と若木屋(本宮泰風)が争う。蔦重(横浜流星)は、祭りを描く本の執筆を平賀源内(安田顕)に依頼すると喜三二を勧められる…
www.nhk.jp

オーミーをさがせ!?

それにしても、尾美としのりさん演じる朋誠堂喜三二、本名・平沢常富(つねまさ)はネット上でもずいぶん話題になっていますね。 

これまでクレジットはあるものの登場シーンが一瞬で「どこにいた?」と騒動になっていたが、ついに本格参戦。「オーミーをさがせ!」現象を本人はどう感じていたのか。このほど、尾美が取材に応じた。 

平沢は江戸在住の外交官であり当代一の覆面戯作者。公式サイトでは「のちに蔦重にとって最高かつ最大の協力者となる」と説明されている…のだが、出演1秒ほどの回もあり、前週まではセリフがあっただけで騒ぎになっていた。 

デイリー.co.jp – 「べらぼう」尾美としのり 見切れ芸楽しんでました「オーミーをさがせ!」騒動呼ぶ演出に感謝「洒落てるなって」 

山東京伝がいよいよ登場

そして次週からは、朋誠堂喜三二とともに蔦重に深く関与する戯作者・山東京伝が登場します。演じるのは古川雄大さん。 

北尾政演(山東京伝)
深川木場生まれで、北尾重政(橋本 淳)に絵を学び、その後徐々に洒落本や黄表紙などを手がけ鶴屋(風間俊介)が出した『御存商売物』で、戯作者としての地位を確立する。蔦重(横浜流星)とは、度々吉原に出入りするなかで知り合い、親交を深めていく。『江戸生艶気樺焼(えどうまれうわきのかばやき)』の大ヒット以降、蔦重のパートナーとして欠かせない存在となっていく。

【大河べらぼう】第13回から登場!古川雄大の扮装初解禁

このプロフィールに出てくる山東京伝の『江戸生艶気樺焼(えどうまれうわきのかばやき)』は、サライの別冊特集で一度記事にしています。 

黄表紙の超訳版に心躍る…雑誌「サライ」の”蔦重”特集 
書店に行くとNHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」の関連本・雑誌が平積みにされています。その中の一冊ーー「サライ」2025年2月号が非常に面白かったです…
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いよいよ江戸中期を代表する戯作者や狂歌師、そしていずれ歌麿写楽が登場してくることでしょう(ぜひ下記の記事もごらんください) 

「べらぼう」の予習するなら…谷津矢車「蔦屋」「憧れ写楽」がお勧め 
NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」は毎週楽しみに観ています。これから恋川春町の出番となるので、「べらぼう」の予習をするなら、谷津矢車さんの「蔦屋」と…
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なぜ惹きつけられるのか

「べらぼう」はなぜ、こんなにも惹きつけられるのでしょうか。 

これは個人の感想かもしれませんが、現代のポップカルチャーのルーツとも言える戯作や浮世絵がこの時代に登場したこと、そのことをNHKの制作陣も強く意識して「べらぼう」をつくっているからではないでしょうか。 

ですから、これも個人的な意見ですが、「べらぼう」はドラマを楽しむだけではもったいない!と思ってしますのです。 

ドラマだけではもったいない

一例を挙げましょう。第11回「富本、仁義の馬面」で岡山天音さん演じる戯作者の恋川春町がはじめて登場するシーン。地本問屋・鱗形屋孫兵衛の家で子供相手に何やら絵を描いているところが出てきます。 

これは恋川春町の『金々先生栄花夢』(きんきんせんせいえいがのゆめ)と並ぶ大ヒット作『辞闘戦新根』(ことばたたかいあたらしいのね)に出てくる大木の切口の絵です。 

小学館発行のムック「初めての大河ドラマ べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~ 歴史おもしろBOOK」から紹介しましょう。

大木の切口太いの根
江戸時代に大ヒットしたギャグ本『辞闘戦新根』(ことばたたかいあたらしいのね)に出てくるフレーズ。「大木のはえぎわ太いの根」という元ネタを作家が適当(?)に引用して「大木の切口」になり、以降、広まった。この言葉の「根」は、今も使われる「〇〇よね」の「ね」の元祖という説も。

小学館のムックから

ドラマではチラッと出てくるだけですし、解説もありません。知らなければ見落としてしまうシーンですが、「べらぼう」は江戸の文化をきちんと踏まえて精緻につくりあげているのです。 

だったら、江戸の文化について少し基礎知識をつけて観たほうが「べらぼう」は絶対おもしろいに決まっています! 

関連ムックを手元に置いて

わたしがお勧めしたいのは、まず「べらぼう」関連のムックをいくつか手元に用意しておくことです。 

個人的にお勧めは先述の小学館のムック(「初めての大河ドラマ べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~ 歴史おもしろBOOK」)です。こちらは第1回から第16回までのあらすじが出てきますので、いずれ第17回以降のあらすじが載るムックが発売されるでしょう(絶対買います) 

もう一冊紹介すると中央公論新社のムックで「歴史と人物 蔦屋重三郎 江戸文化の仕掛け人」。こちらはあらすじや役者のインタビューなどが載っていない分、江戸文化に関する記述が豊富です。 

例えば、朋誠堂喜三二のくだりを紹介しましょう。 

他にも、喜三二は「道陀楼麻阿」(どうだろうまあ)というペンネームで、遊女評判記『娼妃地理記』(しょうひちりき)の蔦重版を刊行している。この本は地誌に擬した遊女の評判記で、吉原を日本一国、遊女屋を国郡、遊女をその中の名所旧跡に見立てて紹介している。 

第12回「俄なる『明月余情』」のラスト、喜三二と蔦重が「どうだろうまあ」と口にするシーンはこれなんですね。 

ですから蔦重関連のムックは必携です。 

おすすめの2つのサイト

もうひとつ、「べらぼう」を楽しむためにわたしが利用しているのが「文化遺産オンライン」と「国立国会図書館デジタルコレクション」です。 

本を読む五代目瀬川

これは以前も記事で紹介しましたが、第10回「『青楼美人』の見る夢は」(初回放送日:2025年3月9日)に出てくる、小柴風花さん演じる五代目瀬川が本を読む姿が描かれている『青楼美人合姿鏡』(せいろうびじんあわせすがたかがみ)は文化遺産オンラインで見ることができます。 

雀踊りの大文字

第12回「俄なる『明月余情』」に登場する、朋誠堂喜三二が序を書いた『明月余情』(めいげつよじょう)は、国立国会図書館デジタルコレクションで大正時代の復刻版を見ることができます。 

ネット上でも「ダンスバトル」と話題になった伊藤淳史さん演じる大文字屋市兵衛本宮泰風さん演じる若木屋与八の雀踊りのシーンは圧巻でした。 

その雀踊りを先頭に立って踊る大文字屋の姿が『明月余情』に描かれています(下記リンクをクリックすると大文字屋が描かれたページにダイレクトにジャンプします) 

いかがですか。「べらぼう」に出てくる戯作をこんなふうに楽しめるなんて、とても幸せなことではないでしょうか。 

歌麿や写楽の浮世絵も

もうすこし回を重ねれば歌麿写楽も登場します。戯作なら「国立国会図書館デジタルコレクション」ですが、浮世絵なら絶対「文化遺産オンライン」に出てきます(以前紹介した谷津矢車氏の「憧れ写楽」に出てくる写楽の6枚の浮世絵はすべてありました) 

本物の写楽は誰か…伏線が史実の極上ミステリー:谷津矢車「憧れ写楽」
きょう紹介するのは谷津矢車氏の新刊「憧れ写楽」(文芸春秋)です。突然現れ、わずか10か月で姿を消した謎の浮世絵師、東洲斎写楽は何者かーー。当時の版元が関係者を訪…
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これからでも遅くありません。「べらぼう」関連のムックを横に置いて、各放送を堪能したあと、この2つのサイトで実物を楽しむーー。そんな楽しみ方をしてみてはいかがでしょうか。 

(しみずのぼる) 

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