株価の値動きが不安定です。今朝の日本経済新聞は昨年8月の暴落時に似ていると書きました。暴落への備えーー。最近読んだ本から参考になりそうなところを紹介します(2025.3.8)
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目次
「外部環境が24年夏と似てきた」
でもまずは今朝の日経新聞です。「よぎる「昨夏の急落」 日経平均、大幅反落」という見出しがついています。
7日の日経平均株価は大幅反落し、終値は前日比817円(2%)安の3万6887円となった。トランプ米大統領の関税政策への懸念が続くうえ、日銀の追加利上げ観測の高まりが売りを加速させた。米景気不安を背景に、市場では2024年8月に日本株が急落した際の環境に重なるとの声が聞かれる。目先は波乱含みとなりそうだ。
日本経済新聞 – よぎる「昨夏の急落」 日経平均、大幅反落
(略)
こうした売りの構図は、24年8月5日と重なる。当時は日銀の利上げと米経済指標の悪化が急落のきっかけとなった。りそなアセットマネジメントの黒瀬浩一チーフ・ストラテジストは「足元の外部環境が24年夏と似てきた」としたうえで、トランプ大統領の関税政策次第では「日経平均が1日で2000円下がることもありうる」と警戒感を示す。
1日2000円下げなら3万5000円台割れです。暴落ありうべしーーの心構えでいないといけないかもしれません。
大切なのは居続けること
折しも最近、個人投資家ヘムさんの新刊本「「増配」株投資 年1,075万円もらう資産3.7億円の投資家が教える!」(KADOKAWA刊)を読みました。増配株の見つけ方の参考にしようと手に取った本ですが、その中にも暴落時の心構えが出てきます。

ヘムさんは「急激な下落を見て、多くの投資家が狼狽売りに走ることになります」と指摘し、こう続けます。
この時に市場を支配しているのは、理屈や理性ではなく恐怖と本能です。本質的価値も理論株価も何の意味も持ちません。
市場参加者の頭にあるのは「このままでは殺される。今すぐに逃げなくては」という恐怖だけです。
(略)
暴落時には過度に悲観的な見方をした情報があふれかえります。これらの情報を元に分析しても買えなくなるだけです。最悪のケースは狼狽売りです。賢い人ほど、色々調べて余計な情報を得たばかりに陥落売りするのです。
暴落は毎回別の顔で来ます。「今回は違う」は毎度の話ですが何も違いません。暴落時は皆が悲観的になって株価が下方にオーバーシュートするだけです。これは何度も何度も繰り返されたことです。
このように書いて、ヘムさんは次のように提案しています。
暴落で株価が下落しても、長期的に見れば回復します。
そこで最も大切なことは市場から退場せずに居続けることです。
現金を確保して買い向かえるか
同時に、ヘムさんは「多くの投資家が合理的な判断ができなくなったこのタイミングこそ、優良銘柄が安く買える『千載一遇のチャンス』と言えます」「買い向かえる投資家になることが成功への近道です」と指摘します。そのうえで、
普通の投資家が暴落を乗り切るために必要なことは、1にも2にもキャッシュポジションの確保です。

そうなんだよなぁ…。昨年8月5日は1日と2日にキャッシュを使い切って何も出来なかったからなぁ…
CP(キャッシュポジション=現金保有額)の割合は年齢、資産額、入金力等にもよるので一概には言えませんが、私は最低でも30%は確保することをおすすめしています。
実際に元証券会社勤務の友人から聞いた話ですが、多くの顧客の中でリーマンショック時に買い向かえたのは潤沢な投資資金を現金でキープしていた2人だけだったそうです。

うーん、わたしは今回は無理だなぁ……
というのも、マンション買い替えの不動産譲渡税で夫婦合わせて250万円近く納税しないといけなくて、ほかにも税理士報酬や(会社勤務をやめて会社負担分も払う)社会保険料やらで350万円相当の国内株を売却したばかり。とてもこれ以上、株を売却して現金化しておくのはムリです……。
何もしない気絶投資法もアリ
暴落時に何もしないのは、ヘムさんによると「気絶投資法」と言うそうです。
投資信託の積み立ては継続して、それ以外は何もしないパターンです。暴落はもろに喰らいますが、ひたすら積み立てを継続して、保有し続けるのみです。特に技術も相場観も必要ないので、誰もが取れる戦略です。
要するに暴落時には証券口座を何も見ず、気絶しておけば良いのです。リーマンショックを乗り切った人はこのパターンが一番多かった気がします。

なるほど~。今回は手元資金もないし、気絶投資法でいくかな…
著名投資家たちの金言
ヘムさんは「暴落時に自分を律するために、『暴落時に見る著名投資家たちの金言』を整理して」いるそうです。本書にそのいくつかが紹介されています。一部引用します。
「投げ売りする人から買うことはこの世界で最良の選択肢だが、投げ売りする側になるのは最悪の道である」(ハワード・マークス)
「慌ててはいけない。売るのは暴落の前で、後ではない」(ジョン・テンプルトン)
「株は単純。皆が恐怖を感じている時に買い、陶酔状態の時に恐怖を覚えて売ればいい」(ウォーレン・バフェット)
わたし自身は手元資金がない状態で買い向かえることはできなさそうですが、これら金言を心に刻んでおきたいと思います。
長期投資の「航路を守れ」
もうひとつ、最近紹介した東山一悟氏の「投資で2億稼いだ社畜のぼくが15歳の娘に伝えたい29の真実」(JTBパブリッシング刊)からも、昨年8月の暴落時の記述を紹介しましょう。

投資でやってはいけないことを考えてみよう。
それは、方針をゆがめてしまうことだ。
個人投資家に向けてインデックス投資を開放した米資産運用大手バンガードの創業者、ジャック・ボーグル氏は「航路を守れ」という戒めを残している。
ありがちなパターンは余計な情報を入手して、怖くなってしまうこと。株価が暴落して、メディアが大騒ぎするとどうしても怖くなってしまう。
東山氏はこう書いて、昨年8月の暴落に言及します。
2024年8月6日朝、日々の日課である「マネーフォワード」(資産価値がいくらか分かるアプリ)による最新の資産状況をチェックしたところ、ぼくの資産は前日より871万8212円も下がっていた。今の会社からもらう年収の3年弱相当。1日の下げ幅としては過去最大だ。資産も一時2億円を割った。
投資を始めたばかりのころだったら、卒倒したかもしれない。しかし、長期投資について自分で腹落ちして、上がるのも下がるのも当然という今では別にどうってこともない。
(略)
調子が良いときも悪いときも「航路を守れ」。これが鉄則だ。
含み益の上下動は「一喜一憂しない」
わたしも昨年8月の暴落時は同じようなことを書いています。
わたしも含み益は大幅に下がりました。先週金曜(8月2日)の終値時点で1億0985万円だったのが、8月5日終値で9606万円。1379万円も含み益が吹き飛びました。
先週金曜に書いた「含み益の下落は「一喜一憂しない」が正解」に載せた8月1日終値の時価総額が1億1685万円ですから、この2日間で2079万円の含み益を失ったことになります。
先日の日経平均株価が4万2000円台を突破した時は含み益だけで2500万円以上になりました。
でも、いちばんへこんだ時の含み損をおぼえているので、「含み益はあぶく銭みたいなもの」というふうに気持ちを引き締める”心の碇(いかり)”のようなものがあります。
新NISAについて”怒り”をぶつけるツイートもSNS上であふれているようですが、今回の下落の痛みを覚えておけば、また上昇機運になった時でも気持ちを静める”心の碇”にきっとなることでしょう。
おやじギャグみたいなことを言いますけど、怒りではなく、碇にしてほしいーー。心からそう思います。
ブラックマンデー越えの下落でも「一喜一憂しない」でほしい

昨年8月末には「激動の8月」を振り返って次のように書いています。
この間繰り返し書きましたように「含み益の上下動は一喜一憂しない」が鉄則です。金融資産の規模が1億円台になれば、1日に100万円ぐらいは平気で増減します。これを「損した」とか「得した」と考えるのはあまり意味がありません。
大事なのは「何のために資産運用しているか」という点です。
もし、自分が20歳代だったら、長期に複利効果を狙うでしょうから、全世界株式や全米株式のインデックス投資信託で積立投資信託を行うことを主軸に据えるでしょう。
でも、わたしはいま60歳代前半です。
まだ年金受給開始年齢前ですが、いずれ公的年金(国民年金+厚生年金)で生活していくことを考えると、公的年金で不足する分は配当収入で補強しておきたい……。そう考えて資産運用を行っています。
ですので、わたしの場合は、配当利回りの良い国内株やJ-REIT(不動産投資信託)を長期保有するスタイルです。積立投資信託も行っていますが、これは自分にとってサブ資産で、あくまでメーンは国内銘柄です。
ということは、配当金収入の増減こそが、私にとっての最大の関心事だということになります。
あくまで、自身の資産運用の目的は何だろう?と考え、荒い値動きに振り回されないようにする…ということではないでしょうか。
激動の8月を振り返る:含み益は2000万円の幅で上下したが…

東山氏の「航路を守れ」と同じですね。
週明けの日経平均株価はどうなるでしょうか。日経記事のように「よぎる『昨夏の急落』」ですが、どんな場合であれ、一喜一憂することなく長期投資の基本に徹したいと思います(絶好の買い場を生かすキャッシュが枯渇しているのはすこし残念ですが…)
(いしばしわたる)
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