最近「やっぱり投資は絶対に必要だ」と改めて思う機会がありました。とても個人的な事情ですが、誰にもふりかかる話だと思うので「私事」を共有します(2025.2.28)
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認知症の母の施設選び
「私事」というのは、91歳になる母親を介護付有料老人ホームに入居させたことです。
母はもともと軽度認知障害(MCI)と診断されていて、ものわすれや時間の見当識障害(日付や曜日がわからなくなること)はありました。
MCIは「5年で半数が認知症に移行する」と言われています。それでも、母はMCI以外はいたって元気で、父親が亡くなってからも一人で実家で暮らしていました。ところが、今年に入って急速に認知症が進行してしまいました。
妹と相談して施設選びに入り、3つの介護付有料老人ホームを見学。空き部屋があった老人ホームに無事に入居させることができました。
年金の多寡が重要になる
介護の大変さが記事の眼目ではありません(それはそれで大変でしたが…)。 ここで書きたいのは費用面のことなのです。
母が入った施設Aは、一時金が約200万円弱、月額は25万円(介護保険の自己負担分を含む)ほどです。
いちばんグレードの高い施設Bは、一時金が700万円台で、月額費用は30万円弱。 中間の施設Cは、一時金が380~580万円、月額費用は25万円ほどでした。 ただしBとCは空き部屋がなく、認知症の症状から急ぎ施設に入れたかったため、施設Aを選びました。
よく老後2000万円問題と言いますが、母は幸いなことに父が残した2000万円ほどの貯金があるほか、年金も遺族年金があるので月額換算で20万円台前半です。 これなら、いちばんグレードの高い施設Bでも、余裕で入れるだけの資産があったと言っていいでしょう。
でも、この施設の検討作業のさなか、妹がこんなことを口にしました。

おかあさんは遺族年金があるからいいけど、わたしなんて年金は月額換算で10万円台後半だろうから、施設に安心して入るには不足分を何かで補うしかないわよね…
不足分を補うなら高配当株
施設の月額費用が25~30万円なら、年金との不足分がおおよそ月10万円になります。もし貯金だけだったら、年間120万円ずつ貯金が目減りしていく計算です。
認知症が怖いのは意外と長生きしてしまうことです。施設に入って10年なら1200万円、20年なら2400万円……と資産を減らしていくことになります。
それを防ぐには、配当金を生む国内株の形に資産を変えておくのがベストです。
例えば、月10万円の不足分なら、利回り3%なら5000万円で150万円の配当金がはいってきます。20.315%は税金で引かれても、120万円弱は毎年受け取ることができます。
妹はわたしの感化を受けて数年前から積立投資信託や高配当株の購入を行っていますし、年間の配当金受け取りも200万円を超えているそうですから、どうやら大丈夫そうです。
妹と「やっぱり貯金よりも高配当株投資だよね!」と意気投合した次第です。
施設選びで参考になった本
なお、今回施設選びの必要に迫られて読んだ本がとてもためになりました。
介護・暮らしジャーナリストの太田差惠子さんが書かれた「高齢者施設 お金・選び方・入居の流れがわかる本 第3版」(翔泳社)です。

有料老人ホームでも「住宅型」と「介護付」でどこが違うかとか、クーリングオフの期間が90日であるとか、痒いところに手が届く充実した内容ですが、その中に「予算の目安を立てる」という項目があり、費用のことが出てきます。
Aさんの月々に支払える金額は、収入額によって違ってきます。例えば、Aさんの収入が月額14万円だとすると、月々支払い可能な予算は介護費や生活費込みで16万5000円です。
もし、Aさんの年金が国民年金だけで月額6万円だとすると、月々の予算は8万5000円です。介護保険施設を検討するか、子どもが支援するか……。ただし、P92で説明したように、無理な支援は長続きしないことを忘れてはなりません。
P92(「子が親への経済的支援を検討するときの注意点」)はこんな記述です。
現在は働いていて十分な収入があるとしても、子にも老後が迫っていることを認識すべきです。遠くない将来、定年が訪れ年金生活が待っています。自分の年金額などもシミュレーションしながら考えましょう。
親が100歳になれば多くの子は70代、親が110歳まで生きれば80代です。自分も介護される側になるかもしれませんし、それどころか先に亡くなることだってあり得ます。(略)支援する場合は、自身の生活設計も練った上で、「できる範囲」で行うことが重要です。
投資は、老後を迎えた年齢からでも、決して遅くはありません。
積立投資信託で資産を増やしたり、高配当株投資で不労所得を増やすといった手立てを考えることがとても大切です。昨年まで思ってもいなかった母親の施設入居から、その思いを強くしました。
(いしばしわたる)
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