バレンタインデーにもってこいのラブロマンス映画「めぐり逢えたら」

バレンタインデーにもってこいのラブロマンス映画「めぐり逢えたら」

もうすぐバレンタインデーですね! きょう紹介するのは、恋の日に観るのにピッタリな恋愛映画、トム・ハンクスメグ・ライアン主演の「めぐり逢えたら」(原題:Sleepless in Seattle)です(2025.2.11)

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 シアトルの眠れない男性

「めぐり逢えたら」は1993年公開のアメリカ映画です。もうかれこれ30年以上も前の映画なんですねえ。 

「めぐり逢えたら」

最愛の妻を癌で失い、思い出の地シカゴを遠く離れてシアトルに8歳の息子ジョナとともに引っ越したサム。夜になると亡き妻の面影を思い出し、妻に話しかける日々……。 

そんな父親を見かねたジョナはクリスマス・イブの夜、ラジオ番組に電話をかける。リスナーの悩み事に女性の精神科医がアドバイスする「”心のクリニック”案内」という番組だった。 

ーーあなたの望みは? 

「パパに新しい奥さんを見つけたい」 

精神科医はサムに電話を替わるようにジョナに言い、サムに「本当に誰かを愛した人は愛情豊なのよ。奥さんと同じに別の人を愛せるのでは?」と聞くと、サムは「そんな事は想像もできない」と答える。精神科医は「じゃどうするの?」と訊ねる。 

「そうだな。毎日朝になったら起きて一日中呼吸をする。そのうち努力しなくても毎朝ベッドを出て呼吸し続けるようになる。やがて幸せな日々があった事をあまり思い出さなくなる」 

精神科医が「シアトルの眠れない男性」(Sleepless in Seattle)と呼びかけた男性の話を聴いていたひとりがアニーだった。ボルチモアで新聞社に務めるアニーはその日、会社で知り合った婚約者を両親や兄夫婦に紹介し、ひとり車でボルチモアに帰る途中だった。 

カーラジオから聴こえる「シアトルの眠れない男性」の声が、「やがて幸せな日々があったことをあまり思い出さなくなる」と告げたところで、アニーの左目から一筋の涙がこぼれた。 

ーー奥さんはどんな魅力が? 

「番組は何時間? いろいろあってとても短時間では言えない。とにかく僕らは一緒になるべき運命だった。彼女と触れ合った瞬間に分かった。帰りつくべき家を見つけたという感じだった。車から降りる時に手を貸してそう感じた。運命のマジックだった」 

アニーは涙をぬぐうこともなく、「シアトルの眠れない男性」の声に合わせて「マジック…」と呟いた。自分は婚約者に運命を感じているのだろうかーーと思いながら。 

独り眠れず…考えてる

翌日、新聞社に出社すると、編集デスクたちが前夜のラジオ番組を話題にしていた。2000人の女性が「シアトルの眠れない男性」の電話番号を知りたいとラジオ局に電話したためシカゴの電話線がパンクしたーーという。アニーの友人でデスクのベッキーはアニーに取材するよう水を向けた。 

数日後、自宅で婚約者と一緒にベッドに入ったもののアニーは眠ることができない。ひとり階下に降りて冷蔵庫からリンゴを取り出し、果物ナイフで向き始める。ラジオをつけると、番組のハイライトとして「シアトルの眠れない男性」の声がふたたび流れてきた。リンゴをむきながら目を潤ませ、ひとり眠れないアニー。 

このシーンにかぶせるように流れるのが「In the Wee Small Hours of the Morning」です。もとはフランク・シナトラが唄った曲ですが、この映画ではカーリー・サイモンのカバーが流れます。 

木々までも静かに寝ている真夜中すぎ 
世界中が深い眠りに閉ざされている 
わたしだけが独り眠れず 
あの人のことを考えてる 

モチーフの「めぐり逢い」

「シアトルの眠れない男性」のサムとラジオを聴いて心揺れるアニーを結ぶ「愛のキューピッド」役は、サムの息子ジョナです。 

でも、ジョナ以外にも様々なキューピッド役が登場します。そして、彼らに陰に陽に影響を与えるのが(=監督が映画のモチーフにしているのが)一本の映画ーーケーリー・グラントデボラ・カーが主演を演じた1957年製作のアメリカ映画「めぐり逢い」(原題:An Affair to Remember)です。

ニューヨークへ向かう豪華客船のデッキで出会った画家のニッキーと歌手のテリー。二人は次第に惹かれ合うが、お互いに婚約者がいる身の彼らはそれぞれの恋を清算して、半年後、エンパイアステートビルの屋上で再会することを約束するが……。 

めぐり逢い

ひとり目はアニーの親友で編集デスクのベッキー。テレビで放映中の「めぐり逢い」をアニーとふたりで一緒に観ながら、アニーが「シアトルの眠れない男性」宛てに「ぜひ会いたいです。エンパイアステートビルで、バレンタインデーの夕方」といったんは書きながら、丸めて捨ててしまった手紙を拾って投函します。 

サムの息子ジョナはベッキーが送った手紙を読み、アニーこそ父親の運命の人だと思い込む……。そのジョナの背中を押すのはジョナのガールフレンド、ジェシカです。ジェシカもまたテレビで「めぐり逢い」を観て涙を流して「ニューヨークで会うべきよ」とジョナを説得、ニューヨーク行きの航空チケットの予約を手伝います。 

そして、運命の瞬間。アニーもエンパイアステートビルに駆けつけるものの、展望台はすでに閉まる時間。入口の男性に「終わりです」と告げられます。アニーが「お願い。人と約束してるの。ほんの1分。来ていなければそれで気が済むの」と懇願すると、入口の男性は頬を緩めて、 

「ケーリー・グラント?」 

アニーが「あの映画を?」と驚くと「女房が大好きでね」と続け、アニーを通してやります。 

ラブロマンス映画ですからサムとアニーが出逢えるハッピーエンドに決まっていますが、引用はここまでにしときましょう。全部明かすのは無粋というものです。 

なお、終盤の大事な場面で、エンパイアステートビルの壁面にハートマークの電飾が輝く印象的なシーンが出てきます。 メイキングによると、この映画の上映後、エンパイアステートビルに問い合わせが殺到したそうです。 

この電飾に合わせてプロポーズしようと考えた人が多かったんです。皆さん、CGと聞いてガッカリしたわ。 

5年後に「ユー・ガット・メール」

監督はノーラ・エフロン。サムを演じるトム・ハンクス、アニーを演じるメグ・ライアンとノーラ・エフロンの3人は、5年後に再びラブロマンス映画で顔を揃えます。「ユー・ガット・メール」(原題:You’ve Got Mail)です。 

『めぐり逢えたら』 のゴールデン・トリオがおくる、最高にキュートなラブ・ストーリー

ニューヨークで小さな本屋を営むキャスリーンは恋人がいるにも関わらずインターネットで知り合ったメール友達 “NY152”とのやりとりを何よりも楽しみにしている。店の近くに大手の本屋チェーンがオープンするのが少し気がかりだが、そんな悩みも“NY152” の存在が和らげてくれる。その大手チェーンを経営するジョーは商才はあるものの、女性に対して今一つのめりこめない性格で、彼もまた“ショップガール”というハンドルネームの女性とEメールで話をするのが今もっとも楽しい事だった。やがてジョーはキャスリーンの店で彼女に出会うが、自分のチェーン店が彼女の店にとって障害になることが判っているだけに複雑な気持ちだ。互いの立場がはっきり見えたキャスリーンとジョーは犬猿の仲になっていく。そんな二人にとってはメール友達との会話だけが心の拠り所。そしてキャスリーンは“NY152”から直接会う事を提案されるのだが、待ち合わせ場所に現れたのはなんとジョーだった……。

ユー・ガット・メール

見たことも逢ったこともない男女ふたりが、93年はラジオで愛が成就し、98年はインターネットで愛が成就する……。情報伝達手段はこの5年で劇的な変化が生まれたことが窺えますが、根っこで共通するのは「愛のマジック」ーーめぐり逢いです。 

情報伝達手段はさらに進化した現在ですが、めぐり逢うマジックは変わらないはずです。 

93年公開ですから30年以上前の映画ですが、「トム・ハンクスやメグ・ライアンがずいぶん若いなあ!」と思う程度で、決して古臭いと感じることはないでしょう。 

(しみずのぼる) 

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