来年の新NISA(成長投資枠)でどの銘柄を買おうーー。そういう話題が口の端にのぼるようになりましたが、その人の置かれている状況で最適解はおのずと違います。きょうは「わたしはどうするつもりか」を中心に書きます(2024.11.19)
【追記】損益通算の記述に誤りがありましたので修正しました(2024.11.19)
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NISA口座の含み益は90万円超
きょうの記事は、前回記事で記した新NISAの仕組み・特徴、成長投資枠で購入する銘柄を選定する際のポイントを踏まえた内容です。不明な単語がある場合は前回記事を読むようお願いします。
最初に、新NISA1年目の現状を共有しましょう。下記がわたし名義です(11月17日現在)
含み益が最大なのは東京海上HD(証券コード:8766)で、率にして74.76%。次いで三井住友FG(8316)の53.72%、伊藤忠商事(8001)の39.82%。評価損があるのはJ-REIT(不動産投資信託)のイオンリート投資法人(3292)の1銘柄だけです。
次が妻名義です。
含み益が最大なのは妻も東京海上HDで74.86%。次いでりそなHD(8308)の67.45%、みずほFG(8411)の47.55%。妻名義も評価損はJ-REITの森トラストリート法人(8961)の1銘柄だけです。
配当利回り+成長性・安定性で選ぶ
これらの銘柄は、1月18日にはすべて購入し終えました。どのような理由で銘柄を選んだのか、「NISA成長投資枠を埋め終えました」という記事で書いています。該当部分を引用します。
「新NISAへの移管 注意するポイントは?」(23年12月7日配信)で、わたしは次のように書きました。
NISA成長投資枠を埋め終えました・新NISAは損益通算ができないため、値下がりリスクのある銘柄は何としても避けたい
・配当利回りだけで判断するのではなく、企業の成長性・安定性も加味して銘柄を選びたいと考えているからです。
例えば、以前に「かぶツミ」を試しにやってみた際に選んだ5銘柄、これを【Aグループ】とします。銘柄(証券コード)と予想配当利回り(12月7日現在)は以下のとおりです。
【Aグループ】
三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306) 3.31%
三井住友フィナンシャルグループ(8316) 3.77%
三菱商事(8058) 3.07%
伊藤忠商事(8001) 2.76%
東京海上ホールディングス(8766) 3.23%いずれも大型株ですが、私が保有する同じ大型株でも配当利回りだけに着目したら、下記【Bグループ】の5銘柄のセレクトになります。
【Bグループ】
JT(2914) 4.91%
ソフトバンク(9434) 4.74%
武田薬品工業(4502) 4.58%
日本製鉄(5401) 4.41%
SOMPOホールディングス(8630) 4.22%でも、それぞれ10年チャート図で比較してみると、後者はソフトバンクとSOMPOホールディングス以外の3銘柄はデコボコしています。つまり購入価格より下げる可能性が他の銘柄より高いということです。
まだ【Aグループ】の5銘柄と決めたわけではないですし、きっと【Bグループ】の5銘柄からもNISA口座で買い増しを行うことになると思いますが、わたしが言いたいのは「配当利回り+成長性・安定性で選ぶ方が無難」ということです。
この考え方で選んだ結果、わたし名義も、妻名義も、どちらも含み益が100万円前後になったのですから、「配当利回り+成長性・安定性で選ぶ」という方針は正しかったーー。そのように言い切っても許されるでしょう。
特定口座からNISAに買い直す
さて、では新NISA2年目はどうするか。まっさらな気持ちで言えば、来年も「配当利回り+成長性・安定性で選ぶ」のが正しいでしょう。もし、わたしに投資に回せる余剰資金があるなら、今年と同じように来年も銘柄選びをすればよいだけです。
ところが、成長投資枠で240万円の枠を埋めるには、特定口座で一部銘柄を売却して購入資金を捻出しなければなりません。それが我が家の現状です。
そこで、前文で書いた「その人の置かれている状況で最適解はおのずと違う」という話になるのです。
損切りで税金が還付される
前回記事で、新NISAの成長投資枠は「購入したら絶対に売らないと心に決めているような銘柄から選べばよい」と書きました。ということは、特定口座で「絶対に売らないと心に決めている」銘柄を売却して、NISA口座で購入し直せばよい…ということになります。
その際にぜひ活用したいのが損益通算です。
今年の売買で実現益(キャピタルゲイン)があるなら、来年の売買で評価損のある銘柄を「損切り」すれば、今年の売買で源泉徴収された税金が還付されます。逆に、今年の売買で評価損が発生していたら、来年の売買では含み益のある銘柄を売却対象にすればよい、というわけです。
わたしも妻も、マンション購入資金の捻出のため、今年は数千万円規模で国内株や投資信託を売却しなければなりませんでした。その結果、どちらも実現益がかなりの額にのぼります。
上がわたし名義で、赤枠部分のとおり、実現益は445万円余、源泉徴収額は90万円超。下の妻名義も、実現益が522万円余、源泉徴収額が106万円超です。
J-REITをNISAで買い直す
ですから、わたしは来年の成長投資枠では、わたしが保有する銘柄のうち、評価損の大きいJ-REITを売却して、NISA口座で買い直すことを予定しています。
J-REITは、以前にも記事にしましたが、配当性向がほぼ100%となるため分配金利回りが5%を超えるものが多く、今年はずっと軟調が続いているものの、その利回りの高さから、わたしは「絶対に売らないと心に決めて」います。
J-REITについては、下記記事をごらんください。
まだ株価が変動するので具体的な銘柄は年末に決めますが、現時点で評価損の大きい銘柄をいくつか挙げてみます(銘柄の概要等はヤフーファイナンスから)
KDX不動産投資法人(8972)10口 評価損は10万6700円
1株配当:7868円
配当利回り:5.35%
概要:ケネディクスをスポンサーとする総合型REIT。資産規模は1兆円超。2021年にケネディクスが三井住友ファイナンス&リースの傘下となったことで、スポンサーサポートが強化森トラストリート投資法人(3274)5口 評価損は5万6200円
1株配当:3409円
配当利回り:5.59%
概要:森トラストをスポンサーとする総合型REIT。地域別では東京都心部が8割を占める。旗艦物件は東京汐留ビルディング森ヒルズリート投資法人(3234)5口 評価損は4万9880円
1株配当:6170円
配当利回り:4.92%
概要:森ビルをスポンサーとするJ-REIT。JCRから「AA」の高格付を取得。旗艦物件は六本木ヒルズ森タワー野村不動産マスターファンド投資法人(3462)5口 評価損は3万4645円
1株配当:6955円
配当利回り:4.92%
概要:野村不動産をスポンサーとする総合型J-REIT。資産規模を拡大し、1兆1000億円超に成長。旗艦物件は日本電気本社ビル
源泉徴収された一部が還付
例えば、KDX不動産投資法人(8972)10口を売却して、NISA口座で10口買い直すとします。
そうすると、評価損は10万6700円ですから、今年の実現益(445万4442円)から差し引いた434万7742円の20.315%で計算し直し、収める税額は88万3242円となります。すでに90万4903円が源泉徴収されているので、差額分の2万1661円が還付されます。
受け取る分配金も2割増しに
そして、10口ですから年間の分配金は、今までは1万8214円が源泉徴収され、実際の受取額は6万0466円でしたが、来年以降は非課税となるので、受取額は7万8680円。つまり、まるまる2割増しで受け取ることができるようになります。
特定口座からNISA口座に同額で移し替えるだけで、来年1年は税金還付分と分配金の源泉徴収分で約4万円を手にし、再来年以降も1万8000円余多く分配金を受け取れます。KDX不動産投資法人以外のJ-REITも、成長投資枠の240万円の枠内いっぱいで売却してNISAで買い直すつもりなので、受取額はさらに増えます。
特定口座からNISA口座に移し替えるーー。たったそれだけの作業で受取額がこれだけ増えるのですから、まさに「濡れ手に粟」と言えるでしょう。
冒頭書きましたとおり、個々の事情で最適解は異なるので、あくまでケース・バイ・ケースです。
でも、今年の売買で実現益があるなら、特定口座で「絶対に売らないと心に決めている」銘柄で含み損がある銘柄をNISA口座で買い直す…という手法は一考に値するのではないでしょうか。
なお、特定口座からNISA口座に保有銘柄を移し替える際、株主優待で長期保有優遇制度を採用している銘柄の場合は「NISA口座で購入⇒特定口座で売却」の手順である必要があるのですが、この点は次回改めて書きます。
(いしばしわたる)
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