きょうは韓国ドラマ「マイ・ディア・ミスター~わたしのおじさん~」(2018年、全16話)の紹介です。韓流ファンなら誰もが知ってるドラマをなんでいまさら…と自分でも思いますが、今は亡きイ・ソンギュンの表情ひとつひとつに涙し、IU演じる薄幸の少女に嗚咽し…。人生に疲れたら涙を流して心を癒してくれる、そんな名作ドラマです(2024.11.6)
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オリジナルコンテンツ数No1!【ABEMAプレミアム】肩を寄せ合いながら…
最初にあらすじを紹介しますが、簡潔にこのドラマを表しているのがNetflixの紹介文です。
理不尽な世の中に翻弄され、報われない日々を生きる若い女と中年男。ふとしたことから知り合った2人は心を通わせ、肩を寄せ合いながら互いに心を癒されてゆく。
https://www.netflix.com/jp/title/81267691
中年男ーー建設会社でエンジニアとして働くパク・ドンフン(イ・ソンギュン)は、大学の後輩が社長になったとたん左遷され、直属の上司には苛め抜かれ、それでも家族を思うと会社を辞めるわけにいかない。それなのに大学の後輩だった妻は社長と不倫し、家でも居場所がない……。
若い女ーー建設会社に派遣社員として勤め始めたイ・ジアン(IU)は、障害を持つ祖母とふたりきり。母の借金の返済を闇金融から迫られる毎日。闇金融の男を正当防衛とは言え殺したという過去を隠しながら、誰とも交わらずに生きてきたが、金欲しさから社長と通じてドンフンを陥れる目的で、ドンフンの携帯電話の盗聴を始める……。
こんなふたりが、Netflixの紹介文のとおり、「心を通わせ、肩を寄せ合いながら互いに心を癒されていく」ストーリーです。
”どうってことない”
例えば、ジアンが祖母の面倒を見ているのをドンフンが偶然見かけて、祖母をおぶってジアンを助ける場面があります(第5話)
ジアンは祖母に「裕福な人がいい人になるのは簡単よ」と言いながら、帰り際、ドンフンがポツリと口にした「いい子だな」の言葉を、盗聴アプリで繰り返し再生する……。
徐々にドンフンに惹かれていくジアン。ドンフンが店でジアンを気にかける言葉を漏らすと、盗聴アプリで聞いていたジアンは走って店に現れる。互いにビールを飲みながら、ふたりでふと笑みを浮かべる(ジアンが初めて浮かべる笑顔です)
ドンフンが手伝って祖母を療養施設に入所させた場面(第10話)では、ドンフンはジアンにこう声をかけます。
君が気にしなければ
みんなも気にしない過ぎたことは
どうってことない名前どおり生きろ
いい名前なのに
ジアン(至安)ーー安らぎに至るーーの名前に触れて励ますドンフンに、ジアンはどんどん気持ちを寄せていきます。それでも、ドンフンはこう答えます。
なぜ俺を好きかわかるか
俺が哀れだからだ
哀れな自分を重ね合わせ
なぐさめてるだけだ
21年間で一番温かかった
しかし、ドンフンの優しさは会社という組織ではスキャンダルとして利用されます。社長派の常務が、ドンフンの昇進を決める場にジアンを呼び、スキャンダルとして取り上げます(第12話)
ジアンが「会食に来いという単純な厚意の言葉を初めてかけられました。パク部長は私が派遣社員だからと差別しませんでした」と証言すると、社長派の常務が「それで好きになったか」と追及します。ジアンはしばらく躊躇った後、「はい。好きです」と答えます。
無視されることに慣れて
認められたいとも
好かれたいとも
考えませんでした。
でも今は頑張ってみたいと思います私が好きだと言えば非難されるかもしれません
解雇されても結構です
私を人間扱いしてくれた会社ですから
私も価値のある人間だと思わせてくれた
パク・ドンフン部長に心から感謝しますここでの3か月が
21年間で一番温かかったです
こんな愛の言葉があるでしょうか。純愛です。
情けない俺の人生を聞いても…
社長の指示で動いた当初の脅迫行為と盗聴が露見する寸前、ジアンはドンフンに”別れ”を告げます(第14話)
はじめてだったのに
4回以上助けてくれた人
私と似た人
私が好きになった人私は来世でも生きていける
生まれ変わってもいい
もう平気です偶然会ったら
笑顔で挨拶を?
しかし、いちばん知られたくなかった盗聴行為を、ドンフンに知られてしまいます。そして逃走の果て、ついにドンフンに見つかってしまう…(第15話)
「誰にでも優しくするからひどい目に遭うのよ」。そう言葉をぶつけるジアンに、ドンフンはこう言います(このあたりはもう涙、涙、涙です)
ありがとう
感謝してる
情けない俺の人生を聞いても
味方してくれて幸せになるよ
君は俺のせいで胸を痛めている
俺も胸が痛くて見てられない
まだ子供なのに
大人の俺を哀れんでいる
それがつらくてたまらない俺が幸せになる姿を見届けてくれ
どうってことない
恥をかくことも
後ろ指をさされることも
なんてことない幸せになれる
俺は大丈夫だ
幸せになる 絶対に
こんな愛の言葉があるでしょうか。純愛です。
俺を救うために来たんだな
すべてが終わった時、ドンフンがジアンにこんな言葉をかけます。
君は俺を救うために
この町に来たんだな
死にかけてる俺を
君が生き返らせた
ジアンが言います。
私はおじさんに会い
初めて生きた気がします
全16話。途中で止めるのが難しくなるほど心動かされる場面の連続です。ドンフンとジアンのふたりが「心を通わせ、肩を寄せ合いながら互いに心を癒されていく」ストーリーに、どうぞ気持ちよく涙を流してください。
場面と重なるOSTも名曲揃い
ドラマの紹介が長くなり過ぎましたが、もうひとつの魅力ーーOSTも触れておかないわけにいきません。
ジアンの登場シーンで流れる「Grown Ups(大人)」と、ドンフンの登場シーンで流れる「An Ordinary Day(普通の一日)」は、歌詞を読んでも泣けてきます。
もう1曲、ドラマが盛り上がるシーンで流れる「Rainbow」もいいです。
記事の終わりにDVDの紹介動画と一緒に3曲のユーチューブ動画をつけておきますので、ぜひお聞きください。
イ・ソンギュンの冥福を祈る
最後に、ドンフンの名演とともに永遠に記憶に刻まれるであろうイ・ソンギュンのことに触れます。
イ・ソンギュンは昨年12月、麻薬不法投薬の嫌疑をかけられ、身の潔白を訴えながら、自死を選びます。享年48。
「マイ・ディア・ミスター」で、ドンフンが妻の不倫を兄弟に知られてもなお感情を表に出さないことに対し、弟から「兄さんに思い切り泣いてほしい。兄さんが壊れそうで怖いんだよ」と責められる場面があります(第13話)
父さんが言ってた
”どうってことない”
”なんてことない”今は誰も言ってくれない
だから自分に
”どうってことない”
と言い聞かせる
盗聴で聞いていたジアンから「どうってことない」とショートメッセージが届くと、車の中でポツリと一言。「ありがとう」。弟から返事はしなくていいのかと聞かれて、
死にたいと思う時に
”死ぬな”
”君は価値のある人間だ”
”頑張れ”
そう応援してくれると
息ができるこんなこと言えるか
誤解される
弟が「だからって礼も言えないのか。絶望から救ってくれたのに。それくらい言ってもいいだろ」と重ねると、ジアンを思い浮かべながらもう一度言葉にします。
ありがとう
隣にいてくれて
隣にいて”どうってことない”と言ってくれる人がいないーーイ・ソンギュンはそんな気持ちになってしまったのでしょうか。とてもとても残念です。
(しみずのぼる)
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