ポイント経済圏に関する民間調査結果が報道されていたので、調査データを覗いてみると、意外な明暗が窺える結果となっていました。個人的に注目したのはJREポイントの健闘ぶりです(2024.10.26)
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J.D. パワー社の顧客満足度調査
調査を行ったのは「株式会社J.D. パワー ジャパン」(本社:東京都港区)。顧客満足度に関する調査・コンサルティングの国際的な専門機関だそうで、10月22日に「2024年共通ポイントサービス満足度調査」を発表しました。
共通ポイントサービスの利用実態や満足度を調べる調査で、わざわざ年号を銘打っているとおり、今回で4回目だそうです。
この調査結果を報じた記事の見出しは「共通ポイントサービス満足度は『楽天ポイント』が4年連続トップ、2位に『PayPayポイント』が続く【J.D.パワー調べ】」というものでした。
「ポイントの貯めやすさ(37%)」「ポイント確認のしやすさ(30%)」「ポイントの使いやすさ(28%)」「ホームページ/カスタマーサポート(6%)」の比重で、共通ポイントサービスの満足度について質問すると、「楽天ポイント(721ポイント)」が1位だった。
記事はこう続けています。
「ポイントの貯めやすさ」「ポイント確認のしやすさ」「ポイントの使いやすさ」の3項目で最高評価を得て、4年連続で総合満足度トップに。楽天グループは楽天市場をはじめ、楽天モバイル、楽天銀行、楽天証券など幅広くサービスが展開されているため、ポイントを貯めやすく、またアクセスすることでポイントも確認しやすい。楽天サービスユーザーにとっては納得の結果だろう。
2位は「PayPayポイント」でした。
「ホームページ/カスタマーサポート」の項目で最高評価だった。PayPayを使う人にとっては、欲しい情報を探しやすいホームページ設計になっており、満足度につながったのだろう。
この種の調査で大事なのは、調査人数です。数が少なすぎると正確さに疑義が出るからですが、記事を読むと「2024年7月下旬~8月上旬、月に1回以上共通ポイントサービスを利用している人18036人を対象にインターネット調査を実施した」とあるので、調査人数は十分に確保しています。
JREポイントが3位と大健闘
1位の楽天ポイントも、2位のPayPayポイントも、「まあ、そうだろうなあ…」という結果でしたから、そこは驚きはなかったのですが、掲載されている図に驚きました。
なんと、3位がJREポイントなのです。
以前、ICT総研が実施した「共通ポイントの利用動向調査」(2024年6月20日~6月27日まで、インターネットユーザー 4,394人に対するWebアンケート)を記事にしましたが、そのグラフと比べると違いが一目瞭然です。
Vポイントが最下位に驚く
J.D.パワー調査で、JREポイントの健闘とともに驚いたのが、Vポイントがいちばん下位になっていたことです。
調査データそのものを見てみると、今回の調査からJREポイントとVポイントを加えたと出てきます。
しかし、7月下旬から8月上旬に調査したことを思うと、前者はJREバンクの開設(5月9日)、後者はTポイントとの統合(4月22日)を受けて、共に大きな話題になっていたので、こんなに違いが出るのは意外です。
キャンペーンの派手さで言えば、むしろ新生Vポイントのほうが上位に来てもおかしくはないはずです(実際ICT総研の調査ではそういう傾向が窺えます)
はて、これはどういうことだろう…
Suica充当が押し上げた?
わたしが着目したのは「業界毎のポイント使用方法」のグラフです。JREポイントは交通系、Vポイントは金融系です。
交通系が突出して高いのが「交通機関のチケット交換やアップグレードサービスで利用」です。わたしも貯まったJREポイントは通常モバイルSuicaへの交換で使用していますし、Suicaグリーン券を購入する際に使うと有利だとも喧伝されています。
JREポイントの使いやすさが評価されて上位に押し上げたんだろうな…
街中の利用で流通系に後塵
では、Vポイントが下位に沈んでいる理由はどこにあるのでしょうか。
金融系で棒グラフがいちばん長いのは「街の店舗での買い物・支払い時にポイントを使用」です。コンビニやマクドナルド等で使うと高還元な点はVポイントのいちばんのアピールポイントですから当然の結果ですが、それでも流通系(nanacoポイント、WAONポイント)には及びません。
調査自体が「満足度調査」ですから、突出して満足度が高いポイントが見当たらないから…ということぐらいしか、この調査結果からは想像するしかありません。
金融サービスとの連携に着目
J.D.パワーの調査は、同社の分析も報道資料に付記されています。
ポイント取得方法別の総合満足度スコアを見ると、前年に続き、投資信託の運用成果に応じてポイント還元される「ポイント運用サービスの利用 」が最も高く、次いで、系列の金融機関を通じた株式取引や投資信託の保有残高に応じてポイントが付与される「金融サービスの利用」によりポイントを貯めているユーザーの満足度が高い。共通ポイントサービスの満足度を向上させるには、このような金融と連携したサービス利用によってポイントを貯めるユーザーを増やす仕組み作りが重要になる。
このようにJ.D.パワー社は、金融とのサービス連携に着目しています。でも、これだとSBI証券とガッツリ組んでいるVポイントが下位に位置しているのがよくわかりませんが、次の記述から、J.D.パワー社が言外に言っているのはdポイントとPontaポイントのことだろうと想像がつきます。
一部のブランドでは前年より利用率が増加しており、金融サービスとの連携促進が上手く実施できている企業と、そうでない企業で明暗を分ける結果となった。
「金融サービスとの連携促進が上手く実施できている企業」の経済圏が楽天ポイントとPayPayポイント、「そうでない企業」の経済圏がdポイントとPontaポイントーーということでしょう。
そう考えると、SBI証券と組むVポイント陣営は間違ってないですし、今回の調査で下位だったのはあまり気にしないでいいのかもしれません。
クレカ積立でキャンペーン
今回、SBI証券と三井住友カードがクレカ積立で0.1%上乗せするキャンペーンを打ち出しました。
キャンペーン期間は、2024年12月買付分(11月10日まで設定分)~2025年5月買付分(4月10日まで設定分)までで、「三井住友カード つみたて投資」におけるVポイント付与率が0.1%アップするそうです。
「改悪」と言われた10万円未満はポイント付与しない点は維持するのか…。それならやめとこう。
とわたしは判断しましたが、少なくともクレカ積立でキャンペーンが打てるのも、Vポイント陣営がSBI証券との連携が密な証拠と言えるでしょう。
J.D.パワー社はこう指摘しています。わたしもまったく同感です。
新NISAの導入により、多くの人が投資を始め、長期的な視点で資産形成を意識する人が今後も増加していくと考えられる。自社経済圏への囲い込みに向けても、ポイントを基点とした金融サービスとの連携強化はますます重要になってくるだろう。
(いしばしわたる)
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