8月の暴落相場に「投資の達人」はどう行動したか… 

8月の暴落相場に「投資の達人」はどう行動したか… 

ダイヤモンド・ザイ」の最新号を楽天マガジンで読みました。8月の大暴落の時、投資家の皆さんは何を考え、どう行動したかーーという特集で、いろいろと”気づき”につながる読み物でした(2024.9.23) 

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日記形式で暴落時の行動を記録

「ダイヤモンド・ザイ」の2024年11月号で、わたしが読んだ特集は表紙の左上、株主優待で有名な桐谷広人さんの写真がついている「実録 株の達人たちの暴落時の必勝法!」です。 

「ダイヤモンド・ザイ」2024年11月号

5人の「達人」が8月の暴落相場での行動を、日記形式で書いています。ひとり目はもちろん桐谷さんですが、日記は8月1日から始まっています。 

8月1日(木)
日経平均は前日比975円下落。「株価が安い時に買う」を信条としているため、5銘柄を購入。(以下、略)

そうなのです。8月5日は1987年のブラックマンデー越えの大暴落でしたが、下落は8月1日から始まりました。わたしも「株価が安い時に買う」の原則のもと、1日は株主優待目当てで1銘柄を購入しました。まさかさらに下落するとは思いもせず…… 

8月2日(金)
日経平均は、前日の下げ幅を大きく超えて下落。ただ、この日も冷静に買いに動いた。(以下、略)

そうです! 2日はさらに下げたのです。この日は1日に購入した1銘柄を妻名義で購入。さらに株主優待が魅力の5銘柄をわたしと妻名義で購入し、手元の余剰資金はほぼ使い果たしました。その日は「しめしめ」と思ったものです。まさか翌週月曜日に大暴落が起こるとは想像もせず……

そしていよいよ8月5日(月)の暴落となります。桐谷さんはどう動いたかーー。 

8月5日(月)
この日は、珍しく朝から相場を見ていた。
日経平均が4000円以上も下がると思わず、寄付きや前場から買いに動いた。全部で18銘柄を購入。買った銘柄は、主に2パターン。「含み損になって後悔している銘柄のナンピン(さらに安値で買い増すこと)」と「利益確定後も値上がりし続け悔しい思いをしていたら、再び売値を割込んできた銘柄」だ。
このように、過去に売買した銘柄にとらわれてしまったが、冷静に全体を見て、下がっていた優良大型株を買うべきだった、と少し後悔。昔大失敗したため、信用取引をしないと決めているが、信用取引を使ってでも買って、あとで現引きすればよかったかも、という想いも……。(以下、略)

信用取引「大失敗」の体験談

 桐谷さんが信用取引で「大失敗」したくだりは、楽天マガジンで読んだ「AERA Money 2024年春夏号」に桐谷さんのロングインタビューが掲載されていて、桐谷さん自身が赤裸々に語っています。

AERA Money 2024年春夏号

「さっと血の気が引いたのは(2008年)1月20日のことです。はじめての追い証(*)を入れました」

「午後3時の取引終了後、新宿のスポーツクラブのプールにぷかぷか浮いていました。株価が下がったなぁと心の中で嘆いたあと、午後6時に家に帰って、パソコンでネット証券の取引画面を開くと赤一色でした。まず注意喚起の黄色い画面が出るそうなんですが、僕の場合はそれを飛び越えていきなり真っ赤です。信用取引で買いまくった株が下がったので、2~3日後までに二百数十万円を入金せよと画面に書かれていました。その後、株価が下がるたびに追い証です。大切に持っていた金(ゴールド)もたたき売りました。他の証券会社に置いていた株も、信用取引の担保の足しにするためネット証券に移しました」

*追い証:「追加保証金」の略。信用取引で保有中のポジションが予想と反対方向に動いたとき、追加でお金を入れる。入れなければ一定ラインで強制決済される

このあとリーマン・ショックが起きて「食べ物もないし、夜も眠れず、体調も悪くて、ひもじくて、本当に死ぬかと思いました」という状態まで追い込まれる…と続くのですが、信用取引の怖さはやはり追い証でしょう。こういう経験談を読むと、投資初心者の自分は信用取引には手を出すまい…と改めて思います。

達人たちも「異常」と形容

「ダイヤモンド・ザイ」の特集ーー8月5日の行動に話を戻すと、わたしは余剰資金を使い果たして8月5日はただ傍観していただけでしたから、やっぱり桐谷さんはさすがだと思います。あの日に18銘柄も購入したのですから。 

ほかの「達人」の日記で「なるほど」「そうだよな」と思ったくだりをいくつか引用しましょう。 

信用取引をしていると暴落時は焦ってしまう。常に買い余力の現金がある状態はオススメ。冷静に判断できるし、底値で買いやすい(まつのすけさん) 

(下落で)配当利回りが4%を超えるなど買いたい株がたくさん出てきた。しかし証券口座の資産はほぼ100%株で現金がない(かんちさん) 

やっぱり手元に買い余力の現金を確保することは大事だな… 

でも、5日に身動きできなかったのは余裕資金だけでなく、自身の臆病な性格のせい…と思っていたら、「達人」のみなさんも、5日の後場は身動きできなかったようです。 

後場の下がり方は尋常ではなく7月末に比べて資産額は1億4000万円減っていた。だがそれはあまり気にせず、あと1~2日が買いの勝負と判断した。場が引けてから2~3時間かけて新たに買う銘柄を入念に精査した(かんちさん) 

前場は売買できたが、後場は異常事態! 日本株のVIX指数(恐怖指数)がコロナショック時の60を超え84くらいまで上昇。保有銘柄は中小型株ばかりなので板がスカスカで売買できなかった(かぶ1000さん) 

後場が異常すぎた。いったん防御的に売ることに。1、2、5日の3日で1億2000万円を売却。9億円あった株資産は売却と値下がりで6億円に…(DAIBOUCHOUさん) 

下げ相場では買い向かうのがセオリーと言いますが、「達人」でも急落した銘柄を買えたわけではないようです。 

「尋常でなく」「異常事態」「異常すぎた」……。「達人」たちもそう形容する8月5日だった、ということでしょう。 

新NISA初心者「狼狽売り」は否定

「ダイヤモンド・ザイ」の人気連載漫画「マンガ 恋する株式相場!」(ホイチョイ・プロダクションズ)も、8月5日の暴落を取り上げています。 

「マンガ 恋する株式相場!」はこれまでに単行本が2冊出てます

暴落の引き金と言われる円キャリートレードなどの説明も出てきますが、新NISAを機に投資を始めた初心者が狼狽売りした…という説は明確に否定しています。押目華衣(元アイドル)と約定済太(オタク投資家)のやりとりを紹介しましょう。 

押目華衣:新NISAで株を始めたばかりの若者層が、怖くなって投げ打ったのが原因じゃないの? 

約定済太:それは関係ないね。確かに、新NISAのつみたて投資枠の投資先として圧倒的人気のオルカンは、8月5日の週に過去最大の資金流出を記録したと言われたが、それでも流出したのはたかだか全体の0.2%に過ぎない。99.8%の人は売らなかったんだ。 

約定済太はこう言います。 

将来に備えて新NISAで株を買う若者は、投資のゴールを1年先、2年先じゃなくて30年先、40年先だということをわかっているんだね。 

とにかく日本の若者はそういった長期投資の本質がわかってくれていて、頼もしいよ。 

もうひとりの登場人物、見切千両(広告マン)が「本当は暴落で手がすくんで動けなかっただけじゃね?」と茶々を入れていますが、確かにオルカン売却が0.2%しかいないのですから、約定済太の分析のとおりなのでしょう。 

タネを蒔き、苗を丁寧に育てれば、時間はかかるけど必ず実りを手にすることができる。 

約定済太のこの言葉どおりだと思います。「長期・積立・分散」の原則を、わたしは国内株の買い付けでも(積立以外は)援用していますが、これからも同じスタイルを貫こうと思います。 

成長投資枠では高配当株を買おう
きょうは新NISAの成長投資枠です。知人友人に「僕はこうするつもり」と話している方法を書きます。成長投資枠は国内株も購入できるので、配当利回りの高い銘柄を毎年年…
hintnomori.com

(いしばしわたる)

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